1.スフィンクス

無毛猫、いわゆる「ヘアレスキャット」で最も代表的なのは、「スフィンクス」です。古代エジプト感満載の名前ですが、実は比較的歴史が浅い猫種として知られています。
スフィンクスは、1966年にカナダのトロントで見つかった突然変異の無毛猫が始まりです。しかし、遺伝的な問題により、数代で血統が断絶。現在の「スフィンクス」は、1970年に発見された無毛猫の子孫がベースになっています。
華奢な見た目と違って、「スフィンクス」は筋肉質で、高い運動能力を誇っています。活発に動き回る傾向があり、遊ぶのも大好きです。
性格的には、犬のように人懐っこく、甘えん坊で、飼い主さんに対しても従順です。社交性抜群なので、他の猫やペットとも仲良くできるとも言われています。一方で、甘え上手ゆえに寂しがり屋な一面もあり、留守番はちょっと苦手です。
最後に、「スフィンクス」を含めた無毛猫についての注意点を簡単に述べておきましょう。
「ヘアレスキャット」は、毛がほとんどないため、皮膚の皮脂腺が非常に発達しています。放置しておくと、皮脂による汚れがたまりやすく、皮膚を清潔に保つ意味でも、蒸しタオルなどを使って拭くなど、定期的なケアが欠かせません。
また、体質上、「ヘアレスキャット」は気温の変化に弱く、冬や夏場は特に体調を崩しやすくなるので、快適な室温維持を心がけることが大切です。
2.ドンスコイ

続いては、ロシア原産の「ドンスコイ」を紹介しましょう。
舞台は1987年のロシア南西部にあるロストフ・ナ・ドヌという街。当時、地元で働いていた女性が、少年たちにいじめられていた雌猫を救出したことから、「ドンスコイ」の歴史が始まります。
「バーバラ」と名づけられた雌猫は、成長段階で毛が抜けていき、やがて、数匹の子猫を産みます。そのなかには毛のない猫も含まれていました。遺伝的な疑いもあるため、処分を検討していたところ、とある女性ブリーダーが聞きつけ、子猫たちを救出します。
やがて、無毛の原因が遺伝的な要素でないことが判明し、新しい猫種として、1997年にFIFe(国際猫連合)に「ドン・スフィンクス」(スフィンクスに似ていることから)、2005年にTICA(国際猫協会)に「ドンスコイ」という名で登録され、現在に至ります。
歴史が示す通り、「ドンスコイ」の誕生には2人の女性が重要な役割を果たしていたわけです。
前置きが長くなりましたが、「ドンスコイ」の性格は、好奇心旺盛で活発のひと言に尽きます。おもちゃ遊びをしようものなら、喜んで走り回ってくれます。おまけに「スフィンクス」と同様に、飼い主さんLOVE。いつも甘えて欲しい飼い主さんにはうってつけです。
身体面で「スフィンクス」と異なる点は、「ドンスコイ」には全身に汗腺があることです。そのため、暑い夏場でも汗をかくことで体温調節できます。ちなみに、通常の猫は、鼻先や肉球にしか汗腺がないので、ほとんど汗をかきません。
3. バンビーノ

最後の3つ目は、アメリカ原産の「バンビーノ」です。
「バンビーノ」は、前述した「スフィンクス」と「マンチカン」を交配させた結果、生まれた猫種です。両者の特徴をそれぞれ譲り受け、無毛と短い手足がトレードマークとなっています。
「バンビーノ(イタリア語で赤ちゃん)」という名前にもあるように、成猫になっても、どこかしら赤ちゃんっぽさが際立つ外見です。
「バンビーノ」は、2006年にTICA(国際猫協会)に実験的なカテゴリーで登録されたものの、新しい猫種としてはまだ正式には認められていません。
どこか赤ちゃんっぽさが残る「バンビーノ」ですが、意外にもやんちゃな一面を持ち合わせており、運動神経も抜群で、飛び回るのが得意です。マンチカンの血を引き継いでいるせいか、性格は朗らかで、他の猫種にも負けないくらいに人懐っこいところがあります。
スフィンクス譲りの社交性もあって、人見知りもせず、他のペットともフランクにつき合えます。ある意味、「バンビーノ」は、多頭飼いに向いている猫種と言えるでしょう。
まとめ

今回は、強烈なインパクトで目を引く「ヘアレスキャット」について、代表的な3つの猫種を紹介しました。
本文でも示したように、「スフィンクス」「ドンスコイ」「バンビーノ」、いずれの猫種もフレンドリーで好奇心旺盛、飼い主さん想い、という点では共通しています。
もしみなさんが今後、「ヘアレスキャット」を飼うようなことがあれば、皮膚を清潔に保つこと、適切な室温管理を心がけながら、遊び盛りで甘えん坊な愛猫と楽しく毎日を過ごしてみてください。