今が見頃の『紫陽花』は猫には危険!近づけないほうがいい理由や誤飲した場合の症状を解説

今が見頃の『紫陽花』は猫には危険!近づけないほうがいい理由や誤飲した場合の症状を解説

紫陽花は青や紫が雨に映える美しい花で、人間にとっては癒しを与えてくれますが、猫にとっては危険な植物です。本記事では、紫陽花が猫に与える影響や中毒症状、万が一誤飲した場合の対処法、飼い主が気をつけるべきポイントを詳しく解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.紫陽花が猫にとって危険な理由

紫陽花

紫陽花(アジサイ)は梅雨の時期の風物詩として親しまれており、観賞用植物として人気がありますが、猫にとっては命を脅かす可能性がある危険な植物のひとつです。

紫陽花には「グリコシド(青酸配糖体)」と呼ばれる毒性成分が花や葉、茎に含まれており、猫が口にすると中毒症状を引き起こす恐れがあります。摂取したのが少量だとしても、体に悪影響を及ぼす恐れがあるのです。

紫陽花は日本全国で初夏から梅雨時期にかけて咲き、多くの家庭や公園に植えられているため、散歩中や庭先での接触リスクが高い植物でもあります。

一部の品種では甘い匂いを放つものもあり、見た目や香りに惹かれて近づいてしまう猫も多いため、飼い主は十分な注意が必要です。

2.紫陽花によって起こる中毒症状

食欲不振の猫

猫が万が一紫陽花を口にした場合、以下のような症状が現れます。

  • よだれが大量に出る
  • 嘔吐、下痢
  • 食欲不振
  • 元気消失
  • 震え
  • けいれん

紫陽花の毒成分は消化管だけでなく神経系にも作用するため、症状が多岐にわたるのが特徴です。

早いと数時間以内に中毒が起こり、重症になると呼吸困難や昏睡状態に陥ることも。特に子猫や高齢猫、体力の落ちた猫は症状が急速に進行する傾向があり、命に関わるケースも少なくありません。

愛猫が「いつもと様子が違う」「ぐったりしている」と感じた場合や庭や室内などの猫の行動範囲に紫陽花がある場合は、紫陽花の誤食を疑ってすぐに行動を起こす必要があります。

3.紫陽花を口にした時の対処法

聴診器を当てられる猫

猫が紫陽花を食べた可能性がある、または紫陽花による中毒症状が出た場合は、すぐに動物病院へ連絡・受診してください。受診時は、誤飲した植物の一部(可能なら現物や写真)を持参すると治療の手がかりになります。

病院への移動時間や待ち時間など、気が気ではなくなってしまうと思いますが、飼い主が落ち着いて対処することが大切です。

まずは自力でなんとかしようと焦ってしまう気持ちは分かりますが、無理に吐かせてしまうと食道を傷つけるリスクや、誤嚥の危険性があるのでやめましょう。

動物病院では、必要に応じて催吐処置、胃洗浄、点滴などが行われます。何よりも早期発見・早期対応が重要ですので、症状が軽く見えても油断は禁物です。

4.飼い主が気をつけること

ぐったりする猫

紫陽花の開花時期(6月~7月頃)は特に注意が必要です。庭やベランダに紫陽花を植えている家庭では、猫が近づけないように柵を立てるなど物理的な対策を講じましょう。

猫が自由に出入りできる室内にも、紫陽花など有毒な植物は置かないことが原則です。

また、外を出歩く野良猫や他の動物との接触で体に紫陽花の一部がくっつき、毛づくろい中に口に入ってしまうこともないとは言えません。お散歩をする猫はリードを使って行動範囲を管理し、紫陽花や他の猫・動物に接触しないよう注意を払いましょう。

自宅に植物を飾る場合は「猫にとって安全な植物」であるかどうかを必ず確認し、不明な場合は飾らない判断をすることも大切です。

そして、万が一のために、近隣の動物病院の連絡先を手元に控えておくと安心ですよ。

まとめ

紫陽花と猫

紫陽花は人間にとっては美しく癒しの存在ですが、猫にとっては命を脅かす可能性がある危険な植物です。

毒性成分による中毒症状が原因で、最悪の場合は死に至ることもあります。誤飲が疑われる場合は、ためらわずにすぐ動物病院を受診しましょう。

「うちの子に限って大丈夫だろう」は通用しないものと思って、日頃から猫の行動範囲に紫陽花を置かない、散歩時には目を離さないなど気を引き締めて対策することが愛猫の命を守ります。

紫陽花以外の有毒な植物を調べてみることも、大切な愛猫との安心・安全な暮らしを続ける鍵になるでしょう。

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