1.老化現象の影響

猫の毛色が変わるひとつ目の原因は、「老化現象」です。いちばんわかりやすい変化は、白髪が増えることかもしれません。
猫の毛が白髪になるメカニズムは、基本的に人間と同じです。加齢などの影響により、毛を着色するメラニン色素の供給が滞ると、本来なら色のつくはずの毛が、白髪となって生えてきます。
たとえば、いつの間にか、黒毛の艶やかな愛猫に白髪が増えてきたと感じたら、主に加齢が引き金になって、色素細胞(メラノサイト)の働きが衰えてきた証拠と言えます。
人間にも「若白髪」という言葉があるように、若い猫でも白髪になる例もありますが、白髪の増加は、多くの場合、シニア期に入ってから起こりやすい現象です。
シニア期とは、一般的には7~10歳を入り口として、高齢期の11~14歳、老齢期の15歳以上、といったように分類されています。
特に猫の白髪が出やすいのは口や耳、目のまわりなどで、体全体の色合いが薄くなっていくのもひとつの特徴です。
2.栄養不足が一因かも

2つ目に考えられる要因は、「栄養不足」です。
毎日適切な量の総合栄養食を主食としていれば、栄養面でも、被毛の面でも問題ありません。ただ一般食やおやつの食べ過ぎで、肝心の主食がしっかり食べれていない状態が続くと、栄養不足になってしまうことがあります。
猫の栄養面で偏りが生じると、まず毛ヅヤに変化があらわれます。パサついたり、ゴワゴワしたり、本来の美しい毛並みとはほど遠い状態です。毛並みが全体的にくすんだ状態になるため、あたかも毛色が変わったかのように見えてしまうことがあります。
健やかな被毛、皮膚の維持には、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンAやビタミンB群などのビタミン類、オメガ3、オメガ6(必須脂肪酸)、ミネラル(亜鉛と銅)といった栄養を継続的に摂取することが不可欠です。
みなさんの愛猫の毛色が加齢以外の理由で変わり始めていたら、もしかすると食事面での偏りが原因かもしれません。
今一度、愛猫の食事メニューを見直し、バランスの取れた総合栄養食をメインに食べてもらうようにしましょう。
3.皮膚病などの病気の可能性

最後の3つ目の原因は、「皮膚病」や「尋常性白斑」などの病気です。
猫が「皮膚病」にかかると、毛が抜けたり、しきりに身体を掻いたり、大量のフケが出たり、といった症状が出ます。毛色の変化に直結しないものの、結果として、毛が薄くなり、フケが目立つようになるので、外見的にも色が変わったように見えます。
ちなみに、「皮膚病」には、アレルギー性皮膚炎や疥癬(かいせん)、皮膚真菌症などがあります。
一方、「尋常性白斑」は、前述したメラニン細胞が十分に機能しなくなる病気で、黒猫がやがて白ブチ猫に変わってしまうような毛色の変化をおこしますが、黒猫だけにおこるものではありません。。
猫が「尋常性白斑」にかかるケースは非常に珍しく、白毛が増えるものの、健康面での影響はないと言われています。また、原因に関してはまだ未解明ですが、主に遺伝的な要素が関わっていると考えられています。
万が一、みなさんの愛猫の毛色に著しい変化があった場合は、迷うことなくかかりつけの動物病院で診てもらってください。
まとめ

結論から言うと、猫の毛色が変わるのは、「老化現象」「栄養不足」「皮膚病などの病気」といった原因が挙げられます。
猫にとって被毛は、外部の刺激から身を守り、体温調節をはかるなど、大切な役割を果たしています。美しい毛ヅヤを保つことは、そのまま健康維持にもつながります。
大切な愛猫が健やかに暮らせるように、飼い主さんは、栄養バランスの取れた食事と適度な運動、さらにこまめなブラッシングを日々、心がけてみてください。