猫にとっても『ヨーグルト』は体にいい?与えるメリットや注意点をご紹介

猫にとっても『ヨーグルト』は体にいい?与えるメリットや注意点をご紹介

私たち人間にとってヨーグルトは健康食品ですが、一方、猫が食べると、健康面でどんな影響があるのでしょうか?今回は、いくつかのメリットと、与える際の注意点について解説します。愛猫の健康のためにひと通り理解しておいてください。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

お腹の調子を整えてくれる

スプーンでヨーグルトを食べる猫たち

私たち人間がヨーグルトを習慣的に食べ続けると、腸内環境の改善をはじめ、内臓脂肪の減少やコレステロール、血糖値の低下など、さまざまな効果があります。美肌力アップも期待できるため、毎日、ヨーグルトを欠かさない飼い主さんもいるはずです。

では、猫の健康上、ヨーグルトはどんなメリットをもたらすのでしょうか?

結論から言うと、最大の利点は、人間と同じように、腸内環境を改善できることです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌を摂取すると、猫の腸内でも善玉菌が増え、その結果、便秘や下痢の解消だけでなく、免疫力強化も見込めます。

ヨーグルトの種類によっては、口内炎や歯周病の原因菌を抑制する乳酸菌(ロイテリ菌、LS1)が入っているものもあり、口腔内に問題を抱える愛猫には良い効果が期待できるかもしれません。

被毛や歯、骨の健康維持に効果的

コップのヨーグルトを舐める猫

乳酸菌以外にも、ヨーグルトには猫の健康に役立つ栄養素がたくさん含まれています。ビタミンAやB1、B2などがその代表例です。

猫の場合では、ビタミンAは視力や免疫力の維持を担い、ビタミンB1には神経機能を正常に保つ働きがあります。そして、ビタミンB2は、被毛や皮膚の調子を整えるうえに、脂質の代謝にも深く関わっています。

さらに、数種のビタミンと同様に、カルシウムもまた、ヨーグルトには豊富に含まれているため、適量を摂取すれば、猫の歯や骨の健康維持に大きな役割を果たします。

ちなみに、カルシウムを摂り過ぎると、尿路結石症のリスクが上がり、深刻なダメージをもたらす恐れもあります。愛猫にヨーグルトを与える際は、適量(成猫の場合、1回につき小さじ2杯まで)に留めるようにしましょう。

乳糖不耐症や肥満、食物アレルギーに要注意!

トイレで頑張る猫

ヨーグルトを摂取するうえで注意したいのは、「乳糖不耐症」である可能性があることです。

「乳糖不耐症」とは、乳糖を含んだ食べ物(牛乳やヨーグルトなど)を猫が食べると、小腸内でスムーズに吸収、消化しきれず、下痢や腹痛を引き起こしてしまう症状を指します。

なぜ猫が「乳糖不耐症」になりやすいかと言うと、先天的にラクターゼ(体内で乳糖を分解する酵素)の量が少ないからです。母乳を飲んで育つため、子猫時代にはラクターゼが十分に分泌されますが、成長するにつれて、その量は低下していきます。

特に、胃腸が弱い猫や身体が未発達な子猫については、健康を害する場合もあり、ヨーグルトの摂取は避けたほうが無難です。

前項でも少し触れましたが、ヨーグルトの過剰摂取は、尿路結石症だけでなく、脂肪の摂り過ぎによる肥満にもつながります。また、ヨーグルト内のタンパク質に反応して、アレルギー症状を引き起こす猫もいるので、事前に注意が必要です。

普段の主食が総合栄養食であれば、あえてヨーグルトを猫にあげる必要はありません。何らかの事情(高齢猫で食欲がない)などで、猫にヨーグルトを与える際は、猫用のヨーグルトか、人間用のものでは無糖、無脂肪のプレーンヨーグルトを選んでみてください。

まとめ

食事中のヨーグルトを見上げる黒猫

みなさんのなかにも、健康のために、毎日の習慣として、ヨーグルトを食べている飼い主さんもいるはずです。

今回は、私たちの食生活に欠かせないヨーグルトが、猫の健康上、どういったメリットをもたらすのか、手短に解説しました。

簡単にまとめると、ヨーグルトの適量摂取は、人間と同様に、整腸や免疫力効果があり、歯や皮膚の健康にも役立ってくれます。

とは言え、体質により猫の大半は「乳糖不耐症」の可能性があるので、総合栄養食をメインにしているなら、わざわざヨーグルトを食べる必要性はありません。

もし特別な理由でヨーグルトを与える際は、種類や量、頻度に十分に留意してください。

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