猫も『貧血』になる?考えられる5つの原因と改善方法 歯茎や耳を見て白ければ要注意

猫も『貧血』になる?考えられる5つの原因と改善方法 歯茎や耳を見て白ければ要注意

「最近、愛猫がいつもよりだるそうで、ご飯もあまり食べない…」そんな経験はありませんか?もしかしたらそれは、貧血が原因かもしれません。猫も人間と同じように、貧血になることがあるのです。そこで今回は、猫の貧血について原因や改善方法をご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の『貧血』とは?

血液のイラスト

猫の貧血は、赤血球が減少する状態です。原因はさまざまで、出血、赤血球の破壊・産生の低下などが挙げられます。

赤血球の中でも特にヘモグロビンは酸素とくっついて体に酸素を送り届けるという重要な役目を担っているので、赤血球が不足すると猫にさまざまな症状があらわれます。

たとえば歯茎や耳の内側が白っぽくなったり、元気がなくなったり食欲が減退したり、めまいでふらついたり。

「貧血」と聞いても驚かない飼い主さんもいるかもしれませんが、適切な対処を行わないと、命にもかかわります。

そのため愛猫の症状に貧血を疑ったら、様子見を見ずにまずは獣医師に相談しましょう。

猫の『貧血』で考えられる原因5つ

イスのうえでまったりする猫

1.出血

猫の貧血の原因のひとつは出血で、交通事故や高所からの転落、他の動物との喧嘩などによって引き起こされます。

また体内での見えない出血、たとえば消化管からの出血(胃潰瘍など)、または腫瘍からの出血も貧血を引き起こす原因です。

2.寄生虫感染

猫が寄生虫に感染し、それによって生じる出血でも貧血は起こります。

たとえばノミ。これらの寄生虫は猫の血液を吸引して生活するため、大量に寄生すると猫が貧血を引き起こすのです。

とくに子猫や高齢猫、また免疫力が低下している猫では、より重症化しやすい傾向にあるため要注意。

また回虫や鉤虫などの、体の内部に寄生する虫も貧血の原因となります。

これらの寄生虫は腸管内で猫の血液や栄養を奪うだけでなく、腸管を傷つけることで出血を引き起こし、貧血の原因となるのです。

3.中毒

中毒による貧血は出血と異なり、摂取した毒物が赤血球を破壊することで起こります。

代表的な例としては、ネギ類(玉ねぎ、ネギ、ニラなど)の中毒です。ネギ類に含まれる「アリルプロピルジスルファイド」という成分は、猫の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。

また人間用の薬剤、特に解熱鎮痛剤に含まれる「アセトアミノフェン」も、猫に中毒症状を引き起こし、貧血の原因となる場合があります。

4.栄養不足

猫の貧血の原因としては、栄養不足も挙げられます。

猫にバランスの悪い食事や、特定の栄養素が不足した食事を長期に渡って与え続けると、貧血を引き起こすリスクを高めるのです。

とくに鉄分、ビタミンB12、葉酸などの造血に必要な栄養素が不足すると、赤血球が十分に作られなくなり、貧血が生じやすくなります。

5.ウイルス感染や骨髄の病気

猫の貧血の原因として、ウイルス感染や骨髄の病気などが挙げられます。

たとえば猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)などは、免疫系を抑制したり、骨髄の機能を損なったりすることで貧血を引き起こす可能性があります。

自力で赤血球を産生する力が弱くなって貧血になってしまうのです。

また骨髄異形成症候群や白血病といった血液のがんも、血液をつくる骨髄の働きに異常を生じて、貧血の原因となります。

猫の『貧血』の改善策

動物病院で診察をされる猫

猫の貧血を改善するためには、まず原因を特定し、それに応じた適切な治療を行うことが重要です。

駆虫や栄養改善など原因に合わせて治療をおこなうと、貧血が回復するケースも少なくありません。

また自宅で行えることといえば、鉄分不足にならないこと。あとは寄生虫の予防や、中毒食材の管理を徹底する・怪我や事故の防止策をたてる・年一回の健康診断なども、貧血の改善・予防には不可欠です。

まとめ

こたつの上で横たわる猫

猫の貧血は、さまざまな原因で起こり得ます。

そのため日頃から猫の健康状態を観察し、異変を感じたら早めに動物病院を受診することが大切です。

とくに歯茎や耳の内側が白っぽくなっている場合は、貧血のサインかもしれませんので、注意深く観察してみましょう。

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