猫がしきりに『頭を振っている』ときに考えられる原因5選 取るべき対応は?

猫がしきりに『頭を振っている』ときに考えられる原因5選 取るべき対応は?

猫が頻繁に頭を振っている様子を見ると、何かしらの不調があるのではと心配になりますよね。猫が頭を振る原因には、耳の中の異物や耳ダニ、炎症、さらには脳や中毒による症状などさまざまな理由が考えられます。この記事では、猫が頭を振る代表的な原因と、飼い主が取るべき対処法についてご紹介します。猫が安心して過ごせるよう、気になる症状があれば早めの対応を心がけましょう。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫がしきりに頭を振る5つの原因

首をかしげる猫

猫がしきりに頭を振っていると、何かしらの不調のサインかもしれません。大切な猫の健康を守るため、考えられる5つの原因について見ていきましょう。

1.耳の異物

猫が頭を振っているときに考えられるのは、耳の中に小さな異物が入ってしまっていることです。特に、虫やゴミなどが耳の奥に入ると、猫は不快に感じて頭を振って異物を取り除こうとすることがあります。

この場合、異物が耳の奥深くに入っていると、家庭で無理に取り出そうとすると耳を傷つける危険があります。異物が見える場合でも慎重に対処し、基本的には動物病院で適切な処置を受けるのが安心です。

2.耳ダニ(耳疥癬)

外で保護された猫や、他の猫との接触がある場合、耳ダニ感染のリスクがあります。耳ダニ(耳疥癬)は猫の耳の中で繁殖し、激しいかゆみを引き起こします。耳が非常に汚れて黒い耳垢が多く出ている場合は、耳ダニ感染を疑いましょう。

耳ダニの治療には動物病院での耳掃除と専用薬の使用が必要です。また、耳ダニは他の猫にもうつることがあるため、感染がわかったら治療が完了するまで他の猫と接触させないように気をつけましょう。

治りが悪い場合や同居の猫の耳にも垢が出ている場合は、全頭同時に駆虫薬を使用することも検討しなければなりません。

3.細菌による炎症(外耳炎・中耳炎など)

猫の耳に細菌や真菌の感染が起こると、外耳炎や中耳炎といった炎症が生じ、頭を振ることがよくあります。アレルギー・アトピーや耳ダニの感染が引き金となり、そこから細菌が増えて炎症が悪化することも。

炎症が起きると耳が赤く腫れたり、痛みやかゆみが強くなったりします。耳だれや悪臭がする場合もあるので、こうしたサインが見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

4.脳の問題

脳に異常がある場合にも、猫が頭を振る症状があらわれることがあります。脳炎や脳腫瘍などが原因となる場合があり、この場合には他にもふらつきやバランスを崩したり、首をかしげたりする行動が見られることが多いです。

脳の異常が疑われる場合、動物病院で神経学的検査を受け、状態によってMRI検査を受けることで、原因を特定しやすくなります。早期発見・治療が重要となるため、こうした症状が見られた場合には早めに受診するようにしましょう。

5.中毒症状

猫が思わぬものを口にしてしまい、中毒症状を起こしている場合にも頭を振ることがあります。特に危険なのは、猫に有害な植物や家庭用の薬品などです。中毒の際には、頭を振る行動のほかに、よだれや嘔吐、下痢などの症状が見られることもあります。

口を噛むような仕草と一緒に頭を振っている場合は、口腔内異物や口腔内に炎症を起こしている可能性もあります。

中毒が疑われる場合は、速やかに動物病院に連絡し、必要な処置を受けることが大切です。猫が口にしてしまった可能性のあるものをできるだけ詳しく伝えると、診察がスムーズに進むでしょう。

猫がしきりに頭を振るときの注意点や対策

耳を掻く猫

もし猫がしきりに頭を振っていたら、まずは落ち着いて様子を見守ることが大切です。猫が少しでも快適に過ごせるよう、次のようなポイントをチェックし、できることを丁寧に行いましょう。

無理に触れず、そっと観察する

猫が頭を振るのは、何かしらの違和感を感じているサインかもしれません。まずは、耳の汚れ具合やにおいが気にならないか、耳を触ると嫌がるかどうか、そっと様子を観察してみましょう。

耳の奥まで無理に見ようとせず、特に敏感になっているようなら触れずに早めに診察を検討しましょう。

家でできるケアを試す

耳に少し汚れが見える場合、やわらかいコットンやガーゼをぬるま湯で湿らせて、軽く耳の表面を拭いてあげると良いでしょう。

ただし、奥の方まで掃除しようとすると耳を痛めてしまうことがあるので、軽いお手入れに留めておくのが安心です。もし耳の奥に異物が見える場合は、動物病院で処置してもらいましょう。

動物病院で伝えると良い情報

動物病院で診察を受ける際、猫の症状についていくつかのポイントを伝えるとスムーズです。

  • 頭を振る頻度や、いつから始まったか
  • 耳に汚れやにおいがあるか、色の変化が見られるか
  • 触れると嫌がるか、痛がる様子があるか
  • 食欲や元気に変化はないか
  • 歩き方に異常がないか
  • 頭が傾いていないか、目が揺れていないか

耳の状態や日々の様子を詳しく伝えることで、より的確な診察が行われやすくなります。

診察後のケアと過ごし方

診察や治療を受けた後は、猫がゆったりと過ごせるようにしてあげましょう。耳ダニや感染が原因だった場合は、他の猫と一緒に過ごさず、治療が完了するまで少し距離を保つと安心です。

また、中毒や脳に関わる問題が見つかった場合は、獣医師の指示に従って処置を続けていきましょう。

まとめ

ブルブルっと顔を振る猫

猫が頭を頻繁に振るのは、耳や体に不調を感じているサインかもしれません。耳の中の異物や耳ダニ、細菌による炎症、脳の問題や中毒症状などが原因として考えられ、どの場合も早めの対応が大切です。

日頃から耳の様子や仕草に少し気を配り、気になる変化があれば無理に触らず動物病院に相談しましょう。

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