寄付先を選ぶ前に目的を考えてみましょう
猫だすけのための寄付といっても、その目的はさまざまです。思い立ったが吉日という言葉もありますが、「寄付をしよう」と決めたなら、急がずにまずは目的を考えましょう。
受け取った寄付金をどう使うのかは任せてくれという寄付先もあるでしょうが、「こう使って欲しい」という思いがあるのなら、その要望に応えてくれる寄付先を選ぶべきだからです。
保護されている猫たちが命をつないでいくためには、食費の他に、ペットシーツなどの日用品費や医療費なども必要です。保護猫たちに避妊・去勢手術を施す費用も必要です。
また保護猫たちにとって良い里親をみつけたり、不幸な猫を増やさないための飼い主を育てるための活動などにも費用がかかります。
寄付したい目的に適い、有効に活用してもらえる信頼できる寄付先を選ぶことが大切です。
安心な寄付先を選ぶためのポイント
1.公的な団体か私的な団体または個人か
寄付先を選ぶ際に最も注意したいのは、善意の保護団体を装った営利目的の団体に引っかからないことです。
虚偽の活動目的や活動方針を掲げ、何も活動していないのに寄付金を募っている団体や、転売して儲けるために保護猫を引き取っているような団体に寄付をしても、猫だすけにはなりません。
最も分かりやすい判断基準は、「一般財団法人」や「NPO法人」などの法人格を持つ団体から選ぶことでしょう。特に「公益財団法人」や「認定NPO法人」であれば、公益性が担保されているので信頼性はさらに高くなります。
またNPO法人の場合は、グッドガバナンス認証やCANPANでの情報公開レベルといった第三者による評価も、判断の目安になります。
もちろん、法人格を持たずに活動している団体や個人の中にも信頼できる寄付先はあります。下記に示すようなポイントで、時間や労力をかけて見極めましょう。
2.直接訪問できるか否か
さまざまなメディアに取り上げられている保護団体もあるため、「あの団体に」と考える方もいるでしょう。しかしそういう団体がないという方は、お住まいの地域にある団体などの、直接訪問できる団体から選ぶのも良いでしょう。
直接施設を見学したり、スタッフの話を聞いたりすることで、その団体の信頼度を直接予測できます。また寄付後も直接見守り続けることができ、場合によっては、より深い支援ができるかもしれません。
3.注力している活動内容は何か
他のセンターや保護団体で収容しきれない猫たちの引き取りや被災地での保護に力を入れている、譲渡のために社会化やしつけに力を入れている、低価格での避妊・去勢手術を進めている獣医師の団体である等、活動内容もさまざまです。寄付したい目的とその団体が注力している活動内容のマッチングも大切です。
4.適切な情報を発信しているか否か
たとえ同じ地域にある団体でも、情報を頻繁に発信していることは、信頼できるか否かのポイントになります。
保護したり譲渡した猫の数、現在保護施設で暮らしている猫たちの様子、飼育環境など、実際の活動内容が数値的にもビジュアル的にもわかるような情報が、SNSやブログ、ホームページなどを通して適宜発信されていることは、信頼のポイントになります。
5.遺贈先を選ぶ場合のポイント
ご自身が亡くなった後、財産の一部を猫だすけのために寄付することもできます。その場合に心配なのが、数年、数十年先に、寄付先が活動を継続しているかどうかや、その時に最も寄付が必要な団体に寄付できるかどうかです。
この点に関しては、公益財団法人や認定NPO法人といった信頼できる団体に冠基金を設置してもらうという解決策もあります。
冠基金とは、寄付者がご自分の基金を作り、その基金を通して社会貢献する仕組みです。
基金の設置を引き受けてくれる団体をみつけたら、目的や助成の規模を決め、その団体に支援してもらう「助成先の公募や審査、決定、支援」といった作業内容や、その経費を寄付金額の何%にするかといった取り決めを行います。
すべて合意が取れたら団体内に基金を設置してもらい、その基金に寄付をする、または遺贈する遺言書を作成するといった手順になります。
寄付先の選び方の正解は一つではありません
寄付先を一つに絞る必要はありません。目的や寄付をする時期により、それぞれ最適な寄付先をみつけましょう。
少し余裕のある時には、単発で小さなボランティア団体に保護猫の飼育費や避妊・去勢手術費用を寄付し、特に相続させる相手のいない遺産については、不幸な猫を増やさないための社会づくりや人材育成に力を入れている公益性のある団体に遺贈するという考え方もあるでしょう。
いずれにしても、普段から関心のある活動をしている団体や個人の情報を収集し、寄付後も継続して活動状況を確認していくことで、その都度目的に適った信頼できる寄付先をみつけることができるようになるでしょう。
まとめ
環境省が公表している統計資料を見ると、動物愛護管理行政事務として殺処分された猫の数は、平成16年度が238,929頭、平成21年度が165,771頭、平成26年度が79,745頭、令和元年度が27,107頭、令和4年度が9,472頭と、確実に減少してきています。
それでもまだ、年間に10,000頭近い猫たちが殺処分されているというのが現実です。
寄付は、猫だすけとして入りやすい方法でしょう。ぜひ、情報収集や保護施設の見学を通して、信頼できる寄付先を選びましょう。