猫に決して与えてはいけない『危険な生(なま)もの』4選 その理由や誤飲すると起きる症状など

猫に決して与えてはいけない『危険な生(なま)もの』4選 その理由や誤飲すると起きる症状など

人間が食べている食材の中には、猫が食べると危険なものがあります。今回は猫に与えると危険な『生もの』を4つ紹介します。愛猫の健康を守るために食べてはいけない理由と、その食材を誤って食べてしまった場合に見られる症状を知っておきましょう。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.甲殻類、貝類

エビの刺身

生のエビ、カニ、ホタテなどには、チアミンを分解する酵素が多く含まれています。チアミンが分解されてしまうと、チアミン(ビタミンB1)欠乏症を引き起こす可能性があるため、猫に与えるのは危険です。

食べてすぐに発症するわけではありませんが、食べ続けるとチアミン欠乏症となります。

チアミン欠乏症になると、首を下げて歩く、高いところに登れないなどの筋力低下、歩行障害、疲労、発作などの症状があらわれます。

一度に大量に食べてしまったときや、症状が現れたときはすぐに動物病院を受診しましょう。欠乏したチアミンを投与することで改善しますが、治療を行わないと命を落としてしまう危険性があります。

生のエビ、カニ、ホタテなどを与えたい場合は、加熱をしてから与えましょう。チアミンを壊す酵素が反応をしなくなるため、チアミン欠乏症は起こりません。

2.貝類の内蔵

ザルに乗ったサザエ

貝類の内蔵を猫に与えるのは避けましょう。

貝の内臓に含まれる成分が、光線過敏症を引き起こすおそれがあるためです。

光線過敏症は太陽に当たると皮膚のかゆみ、皮膚の痛み、皮膚の赤み、脱毛などの症状があらわれる病気です。皮膚が壊死することもあります。
特に毛の薄い耳や目、口のまわりなどに症状がでやすいです。

光線過敏症を引き起こす成分は加熱しても毒性がなくならないため、猫に与えてはいけません。

3.鮮度が落ちた赤身魚の刺身

マグロの刺身

鮮度が落ちた赤身魚の刺身も、猫に与えるのはやめましょう。

常温で放置され鮮度が落ちたマグロやブリ、カツオなどの赤身には、細菌が産生した酵素によってヒスタミンがつくられます。

このヒスタミンは、猫が摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があり危険です。具体的な症状としては、嘔吐、下痢、食欲不振、さらには呼吸困難や発作です。ヒスタミン中毒は重症化することもあるため、赤身魚の鮮度には特に注意が必要です。

猫は人間よりも体が小さいため、少量のヒスタミンでも中毒症状が出やすい傾向にあります。常温で長時間放置された魚を誤って与えないよう、魚を取り扱う際はしっかりと管理し、食べ残しはすぐに片付けるようにしましょう。

また、ヒスタミンは熱に強いため、新鮮ではない赤身魚を加熱して与えた場合でもヒスタミン中毒を起こしてしまう可能性があります。

万が一、猫がこうした魚を食べてしまい異変が見られた場合は、速やかに動物病院に連絡し、適切な対応をとることが大切です。猫の健康を守るために、生食を与える際は食材の鮮度管理をしっかりと行いましょう。

4.青魚の刺身

アジの刺身

アジ、サンマ、サバなどの青魚には不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。猫がこれらの魚を長期間にわたって多量に摂取すると、「黄色脂肪症」という病気を引き起こすリスクがあります。

これは体内の脂肪が過剰に酸化され、黄色のセロイドという物質が蓄積することで発生します。このセロイドが猫の体内で異物として認識され、炎症が引き起こされてしまうのです。

黄色脂肪症の症状は、食欲不振、全身の痛み、さらには発熱などです。早期に気づいて治療することが重要ですが、予防として青魚の刺身や生ものを猫に頻繁に与えないようにすることが、猫の健康を守るための基本です。

まとめ

魚を見る猫

今回は、猫に与えてはいけない危険な生ものを4つご紹介しました。

人間が食べるものだからといって、猫にとって安全とは限りません。むしろ、猫の体には有害で健康を損なうことがある食材も多く存在します。

貝類や生魚、生肉、鮮度が落ちた赤身魚などは、猫にとって深刻な健康リスクを伴います。特に青魚は、長期的な摂取によって黄色脂肪症を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。

愛猫の健康を守るために日頃から与える食材には十分気をつけ、猫専用のフードを中心にしたバランスの取れた食事を心がけましょう。

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