メガネをかけて店番をする猫
米国ペンシルバニア州にあるメガネ店「A Child’s Eyes」には、常勤で働く猫がいます。名前は「Truffles」。この猫はメガネをかけていて、初めてのメガネを作りに店へやってくる子供たちを、やさしく迎えているのです。
2017年、小児用メガネ担当の技師Danielle Crull さんが野良猫だったTrufflesを保護して家族に迎え、職場に連れてきたのがきっかけです。この猫は教えられたことをすぐに覚える、頭のよい子です。
Danielleさんが未熟児用のメガネを与えてみたら、Trufflesはちゃんと使えるようになったといいます。しかもメガネをかけるのを少しもいやがりません。
そこで彼女は、子供が来店するとTrufflesをそばに連れてきて、楽しそうにメガネをかけている姿を見せるようにしました。すると子供たちの緊張も和らぎ、検眼の恐怖を取り除くことができたのです。
「子供たちはこの猫を見て『ああ、自分と同じだ』と感じて自信を回復し、メガネをかけることを誇らしく思うのです」というDanielleさんです。
SNS上で大人気に
実はTrufflesの活躍の場はメガネ店だけではありません。非営利団体「Truffles The Kitty Organization」の活動や、SNSでの教育ビデオに登場して、世界中の子供たちに勇気を与えているのです。
Danielleさんは、メガネの手入れや正しい着用方法などを、Trufflesの手を借りて子供たちに教えています。彼女はまた、弱視や色覚異常などの健康上の問題についても、動画を通じて理解を呼びかけています。
「この猫は、子供たちの前で実演してみせるのがとても上手なのです。最初は、Trufflesをモデルにして正しいメガネのお手入れを説明するビデオを作ろうと思っただけでした」というDanielleさん。
やがてTrufflesとわが子のすばらしい体験談をFacebookに投稿した親が出現し、その後は急速に人気が高まっていき、いまではすっかり「セレブ猫」になってしまったのです。
「子供たちに少しでも教えられたらいいなと思って始めたビデオ作りだったので、人気者になることなど考えていませんでした。ただ、この猫はとても賢くて、『Eyechat』上で絵を指さしたり、記号を見分けたりすることができたのです」
2019年に彼女がSNSに「新しい緑色のメガネをもらって喜んでいる猫」という動画を投稿すると、これが大ヒット。やがて彼女はTrufflesの知名度を利用して、非営利団体を立ちあげることもできました。過去7年間でTrufflesは、数千人の子供たちにメガネに関する指導を行ってきました。
助手と一緒に、今日も勤務
たとえセレブ猫になっても、Trufflesは相変わらずメガネ店で働き続けています。毎日店内を歩き回り、全部で25本も持っているメガネのうちひとつを身に着けて、Danielleさんの接客を手伝っています。
やがてDanielleさんは、この優秀な愛猫を手伝う助手を迎えることにしました。「Gumdrop」という名前の元気な茶白猫です。
「弟猫も、やはりちゃんとメガネをかけています。この2匹のおかげで、子供たちはもっと快適に店内で検査を受けたり、メガネの調整をしてもらったりすることができます」
実は店内には、ヤドカリや鳥などほかの動物もいます。でもメガネをかけて働いているのは2匹の猫だけです。
「Trufflesは、子供たちが生まれて初めてメガネをかける大事な瞬間に立ち会ってくれます。猫がいることで、その経験は特別なものになるのです。メガネをかけていても、眼帯を付けていても、『かわいいTrufflesとおそろいだ』と思うことで、子供たちは幸せを感じられる…そうなるように、わたしたちは努力しているのです」
出典:'Truffles is just like me:' How a Pennsylvania cat makes kids feel proud to wear glasses