多くの命を奪った沈没事故
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豪華客船タイタニック号の沈没事故は、20世紀の悲劇の中でも最大のもののひとつです。何千人もの乗客が亡くなり、犬や鶏を含む動物たちも命を落としました。しかし、「船員猫」として乗り組んでいたJennyの存在は、あまり知られていません。
そのころ、船はネズミを駆除するために猫を乗せていました。マスコットとして、長い航海でホームシックになった船員の士気を高めるのにも、猫の存在は役立っていたのです。Jennyもそんな「船員猫」でした。
この猫はもともと同じ会社が運航する別の船に乗り組んでいました。その後、より大きなタイタニック号に移され、増え続けるネズミの退治係を立派に勤めていたのです。当時は食堂だけでなく、船内のあちこちにネズミが出没して、乗客を恐怖に陥れていたといいます。
夜になると、Jennyは世話をしてくれる食堂の従業員男性のそばで眠りました。生存者の証言によると「この猫は男性のことがとても好きで、いつも彼の注意をひこうとしていた」そうです。
船とともに沈んだJenny
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猫のJennyがどうなったのかは不明です。タイタニック号に乗り組んだとき、この猫は妊娠中だったそうで、出航前に子猫を数匹出産していたといいます。
事故が起きたとき、乗客のペットのなかには飼い主とともに救命ボートに移り、生存できたものもいました。しかし船員だったJennyは、そうした特別待遇を受けられなかったのです。
やがて数年後に奇妙な噂が広がり始めました。タイタニック号がサウサンプトンの港にいたとき、「母猫が子猫たちを連れて下船するのを見た」という男性がいるのです。彼は不吉を感じて予定していた乗船をやめたといいます。
Jennyはこのとき生き残ったのでしょうか？ いいえ、残念ながら多くの記録が、この猫と子猫たちが船とともに沈んでしまったことを裏付けています。
多くの動物も犠牲に
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この事故では、ほかにも動物たちが亡くなりました。船上にいた少なくとも12匹の犬のうち、生き残ったのは3匹だけでした。
ペットを船内に持ち込めたのはファーストクラスの乗客だけで、それ以外のペットは犬小屋に収容されていました。American Kennel Club（AKC）によると、船が沈み始めたときに誰かが犬小屋の扉を開けたため、犬たちは恐怖で船内を走り回り、人々をさらに混乱とパニックの渦に巻き込んだといいます。
幸いなことに、飼い主とともに救命ボートに乗った犬3匹は生き延びることができました。Widener 大学の歴史学者である J. Joseph Edgetteさんは「いずれも小型犬だったので、周囲の人々は犬に気づかなかったのでしょう」と話しています。
乗客が連れ込んだフランス産のめずらしいニワトリや黄色いカナリアなども、この事故で命を落としています。