1.もともと野生の動物だったから
現代に生きるイエネコたちの祖先は、13万年も前に中東に生息していたリビアヤマネコである、とされています。
今でこそペットとして人間と共存する猫ですが、ルーツとしては野生に暮らす生き物。自分で狩りをして、弱肉強食の世界で生き残る生活は、自分本位でなければ生きていくことは難しいはずです。
そのため、猫の本質には「誰かに合わせる」や「遠慮」という文字は不要なのです。むしろそれらは野生に生きる動物として致命的となることでしょう。だからこそ、猫は体格差や力の差で身を引くことはあっても、人間のように「気をつかう」という感覚はないのです。
猫は態度をコロコロ変えるというイメージがありますが、正確には「その時の自分の気持ちに素直に反応しているだけ」。猫にしてみれば態度を変えているつもりはないのです。
2.ペットとして定着してきたから
野生で暮らしていた猫が、人間と暮らすようになったのは約5,000年前。人間が、穀物等の食料をネズミや害虫から守るために飼ったことがはじまりです。
当時の人間にとって、猫は優秀なハンターという働き手であり、猫にとっても獲物やエサにありつける、まさに「Win-Win」な関係でした。飼い主が「主」であり、猫が「使われる側」という主従関係がはっきりしていました。
ところが、人間の生活が近代化されていくなかで、猫はネズミ捕りや食料を守るという必要がなくなりました。猫の仕事は、強いて言えば「愛される」「かわいがられる」ことで、次第に人間に甘やかされるようになっていったのかもしれません。
本来本能のままに生きていた猫が、飼育環境によって「甘える」ことを覚え、仕事であったはずの狩猟は「遊び(疑似体験)」となり、猫の生活はずいぶん変化しました。いわば「デレデレと甘える」は後付けされたものといっても過言ではありません。
猫の態度がコロコロ変わるのは、野生の本能に現代の生活環境が上書きされたため、ともいえますね。
3.「薄明薄暮性」による変化が備わっているから
猫は夜行性と思われていますが、正確には「明け方」と「夕暮れ」にもっとも活発になる「薄明薄暮性」です。理由は、鳥は夕方から目が見えにくくなり、ネズミもその時間帯に動き出すなど、猫が獲物を狙いやすい暗さだからです。
そのように猫は外の明るさによって、狩猟本能のスイッチが入ったり下りたりする特性が備わっています。しかも猫は明るさだけではなく、ちょっとした音やニオイでも「狩猟モード」にシフトチェンジします。
このような切り替えの速さが、態度がコロコロ変わる仕組みに関連していると考えられます
まとめ
今回は、猫が「コロコロ態度を変える」理由について解説しました。
猫は「気まぐれ」な性格といわれており、確かに気分がコロコロ変わります。しかし、そもそも「コロコロ態度を変える」という感覚は、人間が勝手に思っていることで、猫にとっては自然体のこと。
もしかしたら猫の立場としては、人間によっていつものペースを乱されているだけなのかもしれませんね。