小さかった猫が、人気のセラピストに
7歳の猫「Sputnik」はとても仕事熱心なセラピストで、老人ホーム、学校、企業イベントなどに出かける毎日です。この猫にはFacebookとInstagramに約1万5千人のフォロワーがおり、たいへんな人気者です。
Napervilleにある自宅では飼い主のSonyaさん・Curtさん夫婦とともに暮らしており、ほかに2匹の同居猫もいます。
SonyaさんはSputnikをペットカートに乗せて、どこへでも連れていきます。もともとこの猫が生まれて3日目に、保護されていた「Naperville Area Humane Society」から彼女が自宅へと引き取ったのがきっかけでした。Sonyaさんはこの団体で10年近くもボランティア活動をしていたのです。
この猫はきょうだいたちの中で一番体が小さく、当時体重はわずか113グラムしかありませんでした。通常子猫が去勢・避妊手術のできる体重(3.6キロ)に達するまでには8週間かかりますが、この猫の場合は13週間もかかったのです。
その間、愛情を注いで育てたSonyaさんたちはすっかりこの子が気に入り、家族に迎えることにしたのです。
学校や老人ホームで活動を展開
Naperville Area Humane Societyが動物セラピー養成講座を開くと知ったとき、彼女は生後4ヵ月だったSputnikを参加させることにしました。
セラピー猫は、正式に認定されても犬のように病院で活動することはできません。その代わり、高校や大学、地元の老人ホームやホスピスなどでサービスを提供する仕事に従事するのです。
現在Sputnikは月に5~10回ほど施設を訪問して活動しています。
「訓練内容は、犬の場合とほとんど同じです。猫たちはハーネスとリードの装着に慣れる必要があります。Sputnikの場合は問題ありませんでした。わたしはこの猫をつれて街や施設を訪れ、騒音なども気にしないように訓練したのです」
訓練には3ヵ月半かかりましたが、いまではハーネスやバンダナを着けられると、「いざ出勤」と心得たSputnikが、いそいそと車に乗り込みます。
「セラピー動物のうち、猫はたったの5%しかいません。大部分は犬で、ほかに馬もいます」というSonyaさん。
「よく『猫がセラピー活動をできるとは思わなかった』『入院中に猫セラピーを受けたいのに、なぜできないのか』などと聞かれます。わたしのことをキャットウーマンとよぶ人もいますね。ハンドラーとして大切なのは、猫と強い絆をもつこと。わたしには、猫の安全を確保し、猫が安心して活動できる環境をつくるとともに、猫の健康と外見の美しさを保ち、SNSを運営していく義務があるのです」
SNSでも人気者に
この猫のFacebookページは2019年に立ち上げられました。ほぼ毎日内容が更新されていて、世界中にフォロワーがいるほど人気です。より多くの人々が閲覧してくれることで入ってくる収益金を使って、先日のSputnikの誕生日には、Naperville Area Humane Societyのために350ドル(約5万5千円)の寄付をすることもできました。
コロナ禍ではセラピー活動ができなかったSputnikですが、訪問していた施設に写真や電子メールを送って人々を励まし続けました。連絡を受けた人々は、とても喜んでいたようです。
「フォロワーの多くは60歳以上の女性ですが、10代の若者もいます。投稿に『いいね』をもらうとうれしいですね。セラピー患者から個人的にメッセージを受け取ることもあります。バスに乗っているときにパニック発作が起きたある人は、携帯電話でSputnikの写真を見ることで気持ちを落ち着かせ、何とか切り抜けることができたそうです」と彼女。
セラピー活動に従事していないときは、Sputnikはごく普通の家猫です。1日平均16時間を睡眠に費やし、体を舐めたりおもちゃで遊んだりして過ごしています。テレビでバスケットボールの試合を見るのも好きで、とくにイリノイ大学チームのファンのようです。音楽鑑賞もお気に入りの趣味で、Cat Stevensが好きだといいます。
「Sputnik」のFacebookとInstagramでは、そんな日常風景や、施設でのセラピー活動の様子を見ることができますよ。
出典:Decent: Felines can be trained to be certified therapy cats, as 7-year-old Sputnik can attest