猫の難病FIP治療に「コロナ患者用の抗ウィルス薬」が効果を発揮 英国

猫の難病FIP治療に「コロナ患者用の抗ウィルス薬」が効果を発揮 英国

致死率の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療に、人間のコロナ治療にも使われた抗ウィルス薬「レムデシベル」が効果を上げています。この薬によって難病を治せるようになることが期待されます。

愛猫が無気力状態に

首にエリザベスカラーをつけた、病気のロシアンブルー

写真はイメージです

英国で、ロシアンブルーの若い猫Beauが「猫伝染性腹膜炎」(FIP)の症状を示し動物病院に運ばれました。この猫はひどい無気力状態になっていて衰弱しており、食欲もなく急激な体重減少が見られました。

検査でFIPであることが確認されると、さっそくDWR(専門治療動物病院)へと紹介されました。

このときDWRの専門医たちは抗ウィルス薬「レムデシベル」を投与しました。これはもともと、コロナ禍による感染拡大で人間の治療薬が早急に必要となった際、「GS−441524」という薬剤を改良して開発された薬です。

幸いにも、Beauはこの治療のお陰で完全に回復することができました。

致死率の高い難病FIP

処置中の猫

写真はイメージです

DWR専門医のWill Baytonさんは次のように話します。

「到着したとき、この猫は極度に衰弱し、食事も摂ることができず、血液検査をするとひどい貧血状態でした。まだ非常に若い猫なのですが、急速に悪化していたため、命が助からないのではないかと心配しました」

FIPは猫にとって致死率の高い、恐ろしい病気です。腸管に感染した「猫コロナウイルス」が突然変異し、体内に広がって過剰な免疫反応を生じさせることで起こる疾患です。多くは3歳以下の若い猫が発症します。しかし幸いなことに、現在は「レムデシベル」の効果により、罹患(りかん)した猫の約80%が治癒しているのです。

猫の命を救う治療法

美しいロシアンブルーの猫

写真はイメージです

エセックス州Frinton on Seaに住むBeauの飼い主Mark Byardさんは、こう話しています。

「DWRの専門医に紹介されたときは、愛猫がもう死んでしまうのではないかと恐ろしくなりました。まったく体を舐めなくなり、ぐったりして本当にひどい状態でした。でもあの薬を投与されると、驚くような変化が起こったのです。今ではBeauは、健康な猫に戻りました。妻のMargaretもわたしも、心から安堵しましたね」

「これは英国だけでなく、世界中の猫にとってすばらしい治療法です」とBayton医師はいいます。

「薬の投与は経口または注射で行います。最低でも12週間は治療を継続する必要があります。FIPに苦しむ猫に、命を救う治療を提供できるようになったのは、すばらしいニュースです」

出典:Revolutionary medication returns cat to full health at Cambs animal hospital

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