アメリカンショートヘアの様々な特徴
アメリカンショートヘアは基礎となった猫の数が多く、様々な猫と交配を重ねられてきた為に、遺伝性疾患が少なく丈夫な体をしていると言われています。と同時に、実に70種類を超えるバラエティーに富んだ毛色と柄を生み出す要因ともなりました。
アメリカンショートヘアには果たしてどのような特徴があるのでしょうか?これから順番に見ていきましょう!
アメリカンショートヘアの性格の特徴
元々は17世紀のアメリカ開拓史の始まった時代に、ヨーロッパから移民船に乗ってきたのがアメリカンショートヘアのルーツと言われています。当時は船内のネズミを捕るのが仕事でした。アメリカに着いた後もネズミ捕り用猫として重宝され、そのうちネズミ捕り猫をお役御免となり、家庭で可愛がられるようになったそうです。
アメリカと共に歩んできた猫だけあってか、その性格はアメリカ人気質。明るく温厚で賢いのが特徴です。物怖じしない所もアメリカ人っぽい気質かもしれません。好奇心が旺盛で、ちょっといたずらが過ぎる面があるのも特徴といえそうです。
子猫は特にやんちゃで手がかかるとも。もちろん個体差がありますのであくまでも傾向ですが、一緒に暮らしたら飽きる事はなさそうです。困った行動も可愛らしさの内と言えそうです。初心者でも飼いやすい猫として知られています。
アメリカンショートヘアの被毛の特徴
アメリカンショートヘアといえば特徴的な渦巻き模様が美しいシルバータビーがメジャーです。まずこの柄を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
代表的なタビー柄を始め、アメリカンショートヘアには柄の無い子もいます。単色の子や2色に分かれたバイカラー、2~3色混ざったトーティー(さび)など、一見アメリカンショートヘアかどうか分かりにくい毛色も沢山あります。
この毛色のバリエーションの豊富さもアメリカンショートヘアの特徴と言っていいのではないでしょうか。
アメリカンショートヘアの体型の特徴
アメリカンショートヘアは成猫になっても体重は3~7kg程度とそこまで大きくはなりません。
ですが、祖先がネズミ捕りをしていた為か筋肉質で運動能力が高いのが特徴です。適度な運動をしないとストレスが溜まってしまう事もありますので、キャットタワーを設置したりおもちゃで遊んであげたりして体を動かすようにさせましょう。
また、肥満になりやすい傾向がありますので肥満防止の為にも適度な運動は必要です。可愛いからといって食事やおやつの食べさせ過ぎにも注意しましょう。
アメリカンショートヘアの鳴き方の特徴
アメリカンショートヘアの鳴き方の特徴として、「アメリカンショートヘアは無駄鳴きをあまりしない」という話がありますが、本当でしょうか?
これにはかなり個体差があるようです。よく鳴く子は鳴くし、何か要求がある時しか鳴かない子もいるようです。去勢・避妊手術をするとあまり鳴かなくなる場合もあるようで、一概に「あまり鳴かない」とは言えないようです。
特徴的な名前「アメリカンショートヘア」の歴史
「アメリカンショートヘア」という名前についてですが、1800年代末に行われたキャットショーでは「アメリカンショートヘア」という名前が使われていたようです。その後アメリカンショートヘアは、1960年にCFA(アメリカの猫登録協会)に初めて登録されますが、他の種類のショートヘアがアメリカに次々と入ってきていた事から混同される恐れがある、として「ドメスティックショートヘア(国産の短毛種)」という名前で登録されました。
しかし、目的をもって繁殖されてきたこと、アメリカでのニーズに合ったアメリカの人々からの要望に応えた気質や外見を持っていることをアピールするために、1966年に名前を再び「アメリカンショートヘア」に戻しました。1960年代に再び注目され始めていたドメスティックショートヘアは改名後、さらに知名度が上昇したそうです。
まとめ
アメリカンショートヘアの特徴、お分かり頂けましたか?
総じて飼いやすい猫種と言えますが、個体差がありますので家に迎える際には慎重に性格や個体ごとの特徴なども見極めてからの方が良さそうです。
是非、ご自身に合うアメリカンショートヘアを探し出されてくださいね!
▼アメリカンショートヘアについて詳しく知りたい方はこちら
アメリカンショートヘアの性格や特徴、飼い方とは
≪参考≫
Joanne Mattern. (2002). The American shorthair cat. Mankato: Castone
比較的病気の少ない丈夫な品種だと言われているアメリカンショートヘアですが、アメリカンショートヘアで多く見られると言われている遺伝性疾患もあります。1つは肥大型心筋症で、心臓の壁が異常に厚くなることで心臓が十分なポンプ機能が果たせなくなる病気です。もう1つは多嚢胞腎で、その原因となる変異遺伝子が現在1つ知られています。
岩手大学の研究では、腎臓のエコー検査で嚢胞が認められたり兄弟に多嚢胞腎を持つ猫がいる34匹のアメリカンショートヘアの約半数で、その変異遺伝子が認められました。多嚢胞腎は優性遺伝する病気なので、変異遺伝子を持っていればいずれは発症することになります。ペルシャ猫以外の猫での多嚢胞腎の発生率は20%以下だと考えられていますが(ペルシャ猫では40%前後)、これは遺伝子検査ではなくエコー検査の結果から推測されている数字です。エコー検査では嚢胞が作られ始めていないと病気を検出できませんが、遺伝子検査では嚢胞が全く作られていなくても変異遺伝子を検出することが出来ます。
≪参考≫
現在でもドメスティックショートヘア(Domestic shorthair)という名称は、猫の種類を表す時に獣医業界や論文で用いられています。しかしこれはアメリカンショートヘアという猫種とは関係なく、その土地での「国産(地元)の短毛の猫」という意味で、特定の純血種には属さない、また純血種同士のかけ合わせではない短毛の猫を指しています。
日本で言えば和猫、和猫ミックス、雑種(見た目から洋猫の血が入っていないと考えられるもの)などと呼ばれる猫たちがこれにあたります。英語論文でDomestic shorthair(DSH)と書いてあれば「短毛の雑種ね」と理解するわけです。日本の獣医師でも、カルテの品種名を記載する時に「DSH」という名称を使う人もいます。