スコティッシュストレート|歴史/性格/特徴/飼い方について

スコティッシュストレート|歴史/性格/特徴/飼い方について

スコティッシュストレートは、大人気のスコティッシュフォールドの中で、耳が立っている種類のことです。耳が折れているスコティッシュフォールドと同様に、ペットとして人気が高い猫です。スコティッシュストレートの特徴、性格、さらに飼う時の方法についてもご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

スコティッシュストレートの特徴

スコティッシュフォールドとストレートの子猫

体の特徴

スコティッシュストレートが成猫になった時の体重は、オスは3kg~6kg、メスは2.5kg〜5kgほどで、メスが小さめとなります。寿命は10年から13年とされています。

立ち耳

スコティッシュストレートの特徴は、スコティッシュフォールドの見た目をしていながら、小さめの立った耳を持っている、という点です。そもそも、全てのスコティッシュフォールドが折れ耳というわけではなく、折れ耳はスコティッシュフォールド全体の3割〜5割ほどだと言われています。

折れ耳は遺伝子の継承

スコティッシュフォールドの折れ耳は、耳折れを生み出すTRPV4という遺伝子を受け継いでいるためであり、スコティッシュストレートはこの遺伝子を受け継がなかった個体だということです。ストレート=Straightは英語で直立という意味で、立ち耳のスコティッシュフォールドをスコティッシュストレートと呼びます。ちなみに、スコティッシュフォールドのFoldは、折りたたむという意味です。

丸い顔

スコティッシュストレートは丸い顔を持ち、他の猫種よりも小さな立った耳で、そこがかわいらしさとまた違った雰囲気を持つ大きな特徴とされています。

スコティッシュストレートの性格

スコティッシュストレートの猫

スコティッシュストレートの性格は次のようなものがあげられます。

  • おとなしい
  • 鳴き声が小さめ
  • 人懐っこい
  • 他の動物とうまくつきあえる
  • 環境の変化にもあまり動じない

スコティッシュストレートの性格は、スコティッシュフォールドと同じということになります。活発で遊び好きで、人や他のペットともうまくやっていける性格をしています。来客があっても隠れることはあまりなく、気を引こうとして人の見えるところで遊び出したりします。

人懐っこいスコティッシュストレートですが、人に抱かれることをあまり好まない傾向があるようです。とても賢く、前足で棚や窓などを開けようとすることもあります。好奇心旺盛で、水道の蛇口から出ている水を飲むのを好むものも多いと言われています。

スコティッシュストレートをお迎えする方法や費用

スコティッシュストレートの子猫

里親

スコティッシュストレートを迎えたいと思ったら、保健所や愛護センターなどで探してみましょう。インターネットサイトのペットのおうち、ジモティーなどのサイトでも猫の里親募集をしていますので、スコティッシュストレートがいないか問い合わせてみてください。スコティッシュストレートは、スコティッシュフォールドとして紹介されている場合も多いので、個体を必ず確認するようにしましょう。

ブリーダー・キャッテリー

ブリーダーとは猫を繁殖して販売を行なっている人のことです。キャッテリーとは猫の飼育と繁殖を行っている場所やその人をさします。ただし、キャッテリーを名乗るには、世界的な猫愛護団体のTICA(The International Cat Association)、CFA(The Cat Fanciers Association)のどちらかに認可される必要があります。

価格

ブリーダーからも、キャッテリーからも、スコティッシュストレートを譲ってもらうことはできます。値段は、ブリーダーで15万円〜30万円ほど、キャッテリーであればさらに値段があがると考えられます。ペットショップを通していないため、ペットショップよりも多少割安で、さらに健康状態や親猫について詳しく聞いて、好みの子猫を選ぶことができると言えるでしょう。

スコティッシュフォールドは耳折れの方が値段が高い場合が多いのですが、最近ではスコティッシュストレートにも人気が高まっているので、差がなくなってきています。また、同じ親猫からでも耳折れと立ち耳のスコティッシュストレート、どちらもが生まれる可能性があります。スコティッシュフォールドを扱っているブリーダーやキャッテリーさんに聞くと、スコティッシュストレートに出会えることもあります。

ペットショップ

ペットショップでも、スコティッシュストレートが販売されていることがあります。まだ折れ耳のスコティッシュフォールドの方が人気もあるため、折れ耳のスコティッシュフォールドの方が見つけやすい傾向があります。

店頭でスコティッシュストレートを見つけたら、どのような親猫から生まれてどんなブリーダーさんに育てられたかなどをちゃんと説明してもらいましょう。ペットショップでの値段は、15万円〜35万円ほどが一般的です。品評会で良い成績になった猫の血統や、見た目がスタンダードの理想に近いものほど値段が高くなります。

スコティッシュストレートの飼い方

スコティッシュの親子

スキンシップを取る

スコティッシュストレートは、人懐っこい性格であり、好奇心旺盛で遊び好きなところから、飼いやすい猫とされます。人が好きなので、ちゃんと猫じゃらしやボールなどで遊ぶ時間を作ってあげてください。

運動ができる環境を作る

運動できるキャットタワーを置いて運動できるようにしてあげるほか、落ち着いて休めるような静かな場所も用意してあげてください。

折れ耳ではないといっても、スコティッシュフォールドが持つ骨の病気が現れることもあるので、健康には気を使ってあげてくださいね。

スコティッシュストレートの毛の色

スコティッシュの猫

スコティッシュストレートの毛色は、あらゆるものがあり、この点はスコティッシュフォールドと同じです。グレー、黒、白といった単色のほか、キジトラなどのようなトラ柄、三毛、バイカラーなど全ての毛色がスコティッシュストレートとして認められます。

これは、繁殖の段階で、ブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘア、その他の種類と交配されてきたためです。また、スコティッシュフォールド、スコティッシュストレートともに、長毛も短毛もいます。

スコティッシュストレートがかかりやすい病気

仰向けのスコティッシュストレート

スコティッシュストレート、スコティッシュフォールドともに、次のような病気にかかりやすいと言われています。

  • 骨軟骨異形成
  • 関節炎
  • 手足や尻尾の変形

スコティッシュフォールドが持つ折れ耳の遺伝子は、不完全優性遺伝とされます。優性遺伝とは両親猫のどちらか一方からでも、耳折れの疾患遺伝子を受け継いだら発現するということです。不完全とは、遺伝子を受け継いでもそれが必ず発現するわけではない、ということです。

つまり、耳折れの遺伝子を受け継いでも、耳折れや骨軟骨異形成を発現しない猫もいるということになります。耳折れにならなかったスコティッシュストレートも、スコティッシュフォールドの中には半数ほどはいるということになります。

骨軟骨異形成

折れ耳を持つスコティッシュフォールドには、骨軟骨異形成という病気が多く現れます。これは軟骨が正常に形成されないために瘤ができて変形したり、関節炎になったりして痛みが発生し、猫の動きを妨げる病気です。

さらに折れ耳のスコティッシュフォールド同士を交配させると、遺伝性の疾患が現れやすいことがわかっています。このことから、スコティッシュフォールドは近親交配が避けられています。

遺伝疾患を防ぐために

そしてブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアなど別の猫種との交配でも、スコティッシュフォールドとして認められます。スコティッシュフォールドの折れ耳は遺伝子疾患を持つことから、世界各国では、耳折れのスコティッシュフォールドを繁殖させること自体が虐待である、という流れが主流となってきています。

スコティッシュストレートの歴史

2匹のスコティッシュ

スコティッシュストレートは、耳折れのスコティッシュフォールドのルーツがそのままスコティッシュストレートの歴史となってきます。スコティッシュフォールドとスコティッシュストレートは、1961年に、イギリスのスコットランド地域の農村で発見された、折れ耳を持つ白いメス猫が始まりです。この折れ耳の猫から生まれた子猫には、折れ耳もいれば、立ち耳もいました。

折れ耳と立ち耳

折れ耳のスコティッシュフォールドでも、生まれた時には耳が立っています。折れ耳、立ち耳、どちらの場合でも他の猫種よりは耳が小さめです。折れ耳になるものは、生後3週間ほどから耳が折れ始めます。折れなかったものは、そのまま立ち耳なので、スコティッシュストレートとなります。

同族の交配の禁止

折れ耳のスコティッシュフォールド同士を交配させると、高い確率で骨の形成異常などの遺伝子疾患を持った子猫が生まれることがわかっています。そのため、折れ耳同士の交配はしてはいけないとされていて、さらに折れ耳と立ち耳との交配でも健康な個体が生まれるわけではないとのことです。

繁殖の是非

そのため、スコティッシュフォールドはブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアなどとの交配が認められています。しかし、スコティッシュフォールドやスコティッシュストレートを繁殖することそのものが好ましくなく、虐待ですらあるという風潮が世界的に広まってきています。

国際的なチャリティ団体のICC(International Cat Care)は、耳折れのスコティッシュフォールドを繁殖することを非難していますし、欧州最大の猫血統登録団体FIFeやイギリスの猫血統登録団体GCCFでは、スコティッシュフォールドは猫種として未登録となっています。

まとめ

スコティッシュの子猫

立ち耳を持つスコティッシュストレートは、スコティッシュフォールドと同じルーツでありながら、耳が立っているという猫となります。そのため、性格や行動などはスコティッシュフォールドと同じで、人懐こくて活発で、人気のある猫です。

スコティッシュは、遺伝病である骨軟骨異形成を発症しやすいとされていて、立ち耳のスコティッシュストレートよりも、耳折れの方が病気になる可能性が高いとされています。だからといって、スコティッシュストレートに遺伝性の病気の可能性がないわけではありません。

人気があるスコティッシュフォールドやスコティッシュストレートですが、この種類を飼いたいという人は、この猫種が持つ病気について理解しておくようにしましょう。

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