猫は海苔を食べても大丈夫?

海苔は猫に与えても問題ない食材です。
猫にとって有毒な成分は含まれていないため、おにぎりや手巻き寿司に使われる「焼き海苔」や「乾海苔」であれば、少量食べても基本的には安全です。
ただし、これはあくまで「味付けがされていない」海苔に限った話です。また、海苔にはミネラルが豊富に含まれているため、与え方や量、猫の健康状態によってはリスクも伴います。
海苔の栄養素と猫への健康効果

海苔は「海の野菜」とも呼ばれ、多くの栄養素を含んでいます。猫の健康維持に役立つ可能性のある、主な栄養素を見ていきましょう。
タンパク質とタウリン
海苔は植物性食品ですが、タンパク質が豊富です。さらに、猫にとって必須アミノ酸である「タウリン」も含まれています。
タウリンは心臓機能の維持や網膜(視力)の健康に欠かせない重要な栄養素です。
ビタミン類
海苔にはビタミンAやビタミンB群、ビタミンKなどが含まれています。特にビタミンAは、皮膚や被毛の健康を保ち、視覚機能の維持にも役立ちます。
食物繊維
海苔に含まれる水溶性の食物繊維は、腸内環境を整えるのに役立つ可能性があります。
適量であれば、便通の改善や、お腹に溜まった毛玉を排出しやすくする「毛玉ケア」の効果も期待できるかもしれません。一方で、摂取しすぎると軟便や下痢を引き起こすリスクもあるので注意が必要です。
ミネラル類
海苔にはヨウ素、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルが含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となり、猫の代謝を正常に保つために必要です。
しかし、これらのミネラルは過剰摂取のリスクと表裏一体です。
猫に海苔を与える際の注意点

海苔を安全に与えるためには、いくつかの重要な注意点があります。特にミネラルの過剰摂取は、猫の泌尿器系に重大な問題を引き起こす可能性があるため、慎重に判断してください。
味付き海苔は与えない
人間用の「味付け海苔」は絶対に与えてはいけません。
味付け海苔には塩分や砂糖、醤油、みりん、その他の調味料(化学調味料)が多量に使用されています。猫にとって塩分の過剰摂取は腎臓や心臓に大きな負担をかけます。
アレルギーに注意
海苔はアレルギーを引き起こしにくい食材とされていますが、可能性はゼロではありません。
初めて与える際は、ごく少量(爪の先ほど)にし、食後に嘔吐、下痢、皮膚のかゆみなどの症状が出ないか数時間〜1日程度は様子を見てください。
与える量(ミネラル)に注意する
海苔にはマグネシウムやカルシウム、リンなどのミネラルが豊富です。これらのミネラルを過剰に摂取すると、尿のpHバランスが崩れ、「尿路結石」のリスクが高まります。
特にマグネシウムは「ストルバイト結石」の原因となり得るため、与えすぎは厳禁です。
そのほかにも、海苔に多く含まれるヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に関わっており、大量にとり続けると甲状腺機能に悪影響を与える可能性もあります。
尿路結石や腎不全の猫には与えない
すでに尿路結石(FUSやFLUTDとも呼ばれます)の持病がある猫や、治療中の猫には海苔を与えないでください。
また、腎臓病(腎不全)の猫も、ミネラルやタンパク質の摂取を厳密に管理する必要があります。中高齢の猫に多い甲状腺機能亢進症の治療のために、ヨウ素を制限した食事療法を行っている場合も同様です。
海苔はこれらの疾患を悪化させる可能性があるため、療法食以外の食べ物は避けるべきです。
猫に海苔を食べさせる際の与え方

猫に海苔を与える際は、必ず「味付けなし」の焼き海苔や乾海苔を選んでください。最も注意すべき点は、海苔が水分を含むと口の中や喉に張り付きやすいことです。
大きなまま与えると、上顎にくっついてパニックになったり、喉に詰まらせて窒息したりする危険があります。必ず指で細かくちぎるか、粉状(もみ海苔)にしてからフードに少量ふりかける程度にしましょう。
猫に海苔を食べさせる際の適量

猫に海苔を与える場合、おやつやトッピングとしてのごく少量に留めるべきです。
具体的な目安としては、全形(約21cm×19cm)の海苔1枚の「8分の1」程度(約0.4g)以下にしてください。
この量であればカロリーは約1kcal程度であり、おやつや間食の適正量(1日の総摂取カロリーの10%以内)を大幅に超えることはありません。あくまで「風味付け」や「ごくたまのご褒美」として考えましょう。
まとめ

海苔は猫にとって有毒ではありませんが、積極的に与えるべき食材でもありません。
味付け海苔は塩分過多のため厳禁です。無味の海苔であっても、ミネラルが豊富なため、尿路結石のリスクを高める可能性があります。
特に泌尿器系や腎臓、甲状腺に持病のある猫には与えてはいけません。健康な猫であっても、窒息の危険を避けるために必ず細かくちぎり、ごく少量(全形海苔の8分の1以下)に留めるようにしてください。