️子猫のワクチンプログラムの重要性

子猫のワクチンプログラムは、猫の健康を守るために非常に重要です。世界小動物獣医師会による最新の「2024年版犬および猫のワクチンガイドライン」では、子猫のワクチンプログラムを含む、さまざまなワクチンに関する推奨事項が記載されています。
これに基づき、今回の記事では、子猫のワクチンプログラムにおける基本的な考え方や、検査の重要性、最適なワクチン接種方法について解説します。
️子猫のワクチンスケジュールを立てる上で考えるべきこと
母親由来の免疫について
母親由来の免疫は、生後すぐに初乳を摂取することで猫に伝わります。この免疫は、最初の数週間は重要な感染保護の役割を果たしますが、ワクチンに対する免疫反応を妨げることもあります。
母親由来の免疫が高いと、ワクチン接種後に猫が自ら免疫反応を起こすことができません。通常、母親由来の免疫は生後8〜12週齢で低下し、この時期にワクチンが効果的に作用します。
ただし、母親由来の免疫の減少速度は個体差があり、猫によっては母親由来の免疫が高いまま12週齢を超える場合もあります。この期間はワクチン接種が十分には効かず、病気にかかりやすくなるため注意が必要です。
母親由来の免疫が低下するタイミングを予測するのは難しく、血液検査を行わない限り正確にはわかりません。
ワクチンプログラムでは、母親由来の免疫が十分に低下した時点で、初回のワクチン接種を行い、その後数回の接種を通じて免疫を確立します。これらの接種は、母親由来の免疫が低下した時に免疫反応を引き起こすことを目的として行われます。
ワクチンに関連する血液検査

現在、猫に対しては、動物病院にて猫パルボウイルス(FPV)、猫ヘルペスウイルス(FHV)、猫カリシウイルス(FCV)に対する抗体を検出できる血液検査が実施可能です。
病気に対する抗体が十分な量検出された場合は、その猫は病気から守られている可能性が高いと考えられます。ワクチンの抗体は、猫がワクチン接種を受けてから長期間持続することも少なくないです。
留意すべき点として、血液検査は非常に便利な一方で、検査キットによってその精度にはばらつきがあり、結果が偽陽性や偽陰性であることも少ないですがあります。このため、ワクチン接種の必要性について血液検査をもとに判断する際は、獣医師が結果を慎重に評価することが重要です。
子猫のワクチンガイドライン

猫のコアワクチンは、猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)、猫ヘルペスウイルス(FHV)、猫カリシウイルス(FCV)が含まれます。
ワクチン接種は、6〜8週齢で初回接種を行い、その後2〜4週おきに16週齢まで接種を続けます。母親由来の免疫の影響がなくなる頃まで、複数回の接種を行うことがとても大切です。これにより、猫はワクチンに対してしっかり反応できるようになります。
FCVとFHVワクチンは、FPVワクチンほど強力で持続的な効果が得られない可能性が考えられています。FCVワクチンは完全に感染を防ぐわけではなく、ワクチンを接種した猫でも病気にかかることがあります。
FHVにはワクチンが感染を完全に防ぐものはなく、ストレスなどでウイルスが再活性化し、症状を引き起こすこともあります。しかしながら、感染予防や症状を軽減する一定の効果を期待することはできると考えます。
猫白血病ウイルス(FeLV)のワクチンは、FeLV関連の病気が発生する地域では、1歳未満の猫や屋外に出る猫に対してコアワクチンとして推奨されています。
特に屋外に出る猫は、FeLV感染のリスクが高いため、ワクチン接種が重要です。FeLV感染は感染猫に噛まれることで伝播することが多いため、屋外猫はそのリスクを避けるためにワクチンを接種する必要があるのです。
また、猫免疫不全ウイルス(FIV)ワクチンは日本でも接種可能ですが、FIVウイルスには複数の種類があり、それぞれの種類に対するワクチンの効果については議論があります。ワクチン接種で予防するというよりも、猫を屋外に出さないことが最重要と考えられます。
さらに、猫伝染性腹膜炎(FIP)のワクチンは現在推奨されていません。十分な科学的証拠がなく、効果が不十分とされているためです。
️まとめ

子猫のワクチンプログラムは、適切な時期に正しいワクチンを接種することが重要です。必要に応じて血液検査もおこないながら、最適なワクチン接種スケジュールを守ることで、猫の健康をしっかりと守ることができます。
また、猫のワクチン接種には、コアワクチンと非コアワクチンがあり、それぞれの猫の生活環境やリスクに応じて接種計画を立てることが重要です。