猫がチーズを食べても大丈夫?
猫に人間用のチーズを与えてはいけません。少し舐めた、食べたという程度であれば大丈夫ですが、チーズには多くの塩分と脂肪が含まれています。
さらに、高カロリーなのも問題です。人間から見ればほんの少しでも、体の小さな猫にとっては10倍以上の量に相当します。簡単にカロリーオーバーになってしまうでしょう。
また、チーズの主原料である牛乳には猫が分解できない成分「乳糖」が含まれていますので、おなかの調子が悪くなってしまうこともありえます。チーズ好きで食べてしまうといった場合には、猫が食べても大丈夫な猫用チーズをおすすめします。
猫にチーズを与えるのが危険な理由
人間用のチーズは猫にとってさまざまな病気や健康上の問題を引き起こす可能性があります。
- 肥満
- 乳糖不耐症
- 食物アレルギー
このほかにも、腎機能が低下している猫や心臓に不安のある猫は注意しなければいけません。
塩分が多い
猫が人間用のチーズを食べると塩分の過剰摂取の原因になってしまいます。
たとえば、プロセスチーズには100gあたりに2. 8gの食塩相当量の塩分が含まれています。
個体差はありますが、猫が1日に摂取しても良い塩分の最大量は3g程度とされていますので、注意が必要な量と言えるでしょう。一方で、猫は塩分をたくさん摂取したからといって、高血圧や腎臓病、心臓病のリスクにはならないとされています。
ただし、腎機能が低下している猫や心臓に不安を抱えている猫は塩分を摂り過ぎると負担になりますので注意が必要です。また、これらの病気以外でも塩分の摂取量を制限されている場合は与えないようにしましょう。
脂質が多い
猫にとって人間用のチーズは脂質が多すぎることも問題です。プロセスチーズには100gあたりで26gもの脂質が含まれています。また、脂質が多いため100gあたり339kcalと高カロリーです。体の小さな猫にとっては、少量のつもりでも簡単にカロリーオーバーになってしまうでしょう。
このような高脂質、高カロリーな食品を日常的に食べることは肥満の原因になります。肥満になれば、糖尿病や膵炎、関節炎などさまざまな病気の原因になります。
また、猫は脂肪の消化吸収が得意だとされていますが、過剰摂取すると、消化が追いつかず下痢になってしまうことがありますので注意が必要です。
乳糖を体内で分解できない
猫はもともと乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が少ないため、牛乳に含まれている乳糖を上手く消化吸収できません。その結果、下痢などの体調不良を起こすことがあります。これを、乳糖不耐症と言います。
離乳前の子猫は母猫の母乳に含まれる乳糖を分解するだけのラクターゼを持っていますが、成長とともに減っていきます。そのため、加齢とともに乳糖不耐症のリスクが高まると言えるでしょう。
ただし、乳糖はチーズに加工する過程でほとんどが分解されるため、含まれていても微量です。人間用のチーズを食べてしまったとしても乳糖不耐症の危険性は低いと考えられます。
とはいえ、どれだけ乳糖を摂取すると症状があらわれるのかは、個体差がありはっきりとしたところは分かっていません。おなかの弱い猫は微量と言っても注意が必要でしょう。
食物アレルギーの危険
牛乳や乳製品が原因で食物アレルギーを起こす猫もいます。牛乳に含まれている「カゼイン」などのタンパク質が原因で起こる牛乳アレルギーです。
もし、牛乳や乳製品を摂取後になんらかの体調の変化が見られたら牛乳アレルギーの可能性があります。牛乳アレルギーのある猫にはチーズを食べさせないようにしましょう。
猫がチーズを食べた場合に起こりえる症状
猫が人間用のチーズを食べてしまっても大抵は命に関わるような危険はありません。しかし、乳糖不耐症や牛乳に対するアレルギーを持っている猫は、以下の症状が見られる場合があります。
- 下痢
- 嘔吐
- かゆみ
- 発疹
- 元気消失
乳糖不耐症の猫は、摂取後30分から2時間程度で症状があらわれるとされています。下痢や元気がなくなるといった症状があらわれたら注意しましょう。
また、牛乳アレルギーの症状の場合は、1時間以内に典型的なアレルギー症状があらわれます。摂取してから、数分後に吐く、数時間後にかゆみ、発疹が出るといった症状があらわれ、翌日に下痢をすることもあります。
症状は猫によって異なりますので、必ずしもすべての症状があらわれるわけではありません。もし、チーズを摂取後にいずれかの症状が見られる場合は、動物病院を受診し獣医師の診察を受けるようにしましょう。
猫にはチーズの加工品も危険!
チーズはもちろんですが、チーズを使用した加工品にも注意しなければいけません。
たとえば、チーズケーキにはチーズがたくさん使われているのはもちろんですが、砂糖も含まれています。そのため、塩分、脂質、糖分の摂り過ぎになってしまうでしょう。また、鱈でチーズを挟んだチータラは、100gあたりの塩分が3g前後、脂質が20g前後と塩分、脂質ともに過剰になります。
そのほかにも、6Pチーズ(プロセスチーズ)は上でも述べたように塩分と脂質が多いため与えてはいけません。カッテージチーズ、リコッタチーズ、モッツァレラチーズは塩分が少ないため少量なら猫に与えても良いとする意見もあります。しかし、あくまでも人間用に作られたものですから、与えないほうが良いでしょう。
とくに、リコッタチーズは加工時にホエイを使用します。ホエイには大量の乳糖が含まれているため、乳糖不耐症の猫には注意が必要です。塩分や脂質も気になりますが、加工品には添加物も含まれています。
人間にとってはおいしいおやつでも、猫にとっては体調不良の原因になってしまう可能性があります。猫にチーズを与えるならば、猫用のものがおすすめです。
猫用チーズは与えても大丈夫!
猫用チーズならば、猫にも安心して与えることができます。人間用のチーズと比較すると猫用のチーズは、食塩の量が抑えられています。また、乳糖が除去されている製品もありますので、乳糖不耐症が心配な場合は、ラクトース(乳糖)フリーの製品を選ぶのがおすすめです。
チーズは猫に積極的に与えなければいけないものではありませんが、重要な栄養素であるタンパク質やビタミン、カルシウムが豊富に含まれています。とくに、タンパク質は肉食の猫にとって、重要な栄養素です。
与え方としては、おやつのほかに、ご飯に振りかける、手作りご飯のトッピングとして使用するといった使い方もおすすめです。ただし、猫用であっても乳糖不耐症や食物アレルギーなどのリスクはゼロにはなりません。与え方に注意しなければいけない場合もあります。
猫用チーズの与え方の注意
猫にチーズを与える際には、いくつかの注意点があります。
- 最初は少量にする
- 体調の変化に注意する
- 1日の摂取量を守る
はじめてチーズを与える際は、乳糖不耐症や食物アレルギーを起こす可能性があります。猫用のチーズでも少量にし、少しずつ与える量を増やすなどの工夫をしましょう。そのうえで、与えた後は翌日くらいまでは体調に変化がないか注意深く観察してください。
また、チーズの与えすぎにも注意が必要です。チーズはあくまでも嗜好品ですから、主食の代用にはなりません。愛猫の健康のためにも与える量はしっかりと管理してください。
一般的におやつは、1日の摂取カロリーの10%程度、多くても20%程度までとされています。それ以上は栄養のバランスを崩したり、肥満の原因になる可能性がありますので注意しましょう。
まとめ
猫に人間用のチーズを与えると、塩分や脂質の過剰摂取の原因になります。塩分の過剰摂取は腎臓や心臓の負担になりますし、脂質の過剰摂取は肥満の原因になり、さまざまな病気の引き金になる可能性があります。
猫の健康を守るためにも、人間用のチーズやチーズを使用した加工品は与えないようにしてください。もし、猫にチーズを与える場合は、乳糖不耐症や食物アレルギーに配慮し、猫用のものを与えるようにしましょう。
ただし、塩分やタンパク質などの制限がある場合は控えるようにしてください。チーズを与えた後に下痢や嘔吐など体調に変化が見られる場合は、食物アレルギーなどの可能性がありますので、早急に動物病院を受診し獣医師の診察を受けるようにしてください。