コラットとは
コラットはタイ、アユタヤ王朝の詩集にも登場する、由緒正しき猫とされています。コラト高原が原産のため、その地名が品種名として付けられたようです。タイでは人気のある贈り物で、贈られる時はいつもペアで渡されます。特に花嫁に贈られる時には、「繁栄」や「多産」などの特別な意味が込められているそうです。
はっきりとはしていませんが、1896年にコラットと思われる猫がイギリスのキャットショーに登場したようです。その猫はタイから輸入されたブルー一色の猫で、サイアミーズ(シャム)として出陳されましたが、色が典型的なサイアミーズのものとは異なっていたため失格となったそうです。現在のコラットももとをたどれば全てがタイから輸入した猫なので、その猫もコラットであったと考えて良いようです。
1959年に、アメリカに初めてコラットが来たという記録が残っています。コラットの飼い主は、ご主人が外交局をリタイアし、タイからアメリカに帰国したご夫婦だったそうです。やはり贈り物として、コラットを贈られたようですよ!なんとも羨ましい話です♪
1972年にはイギリスで初めてのコラットの子猫が産まれたそうです。主だった猫血統登録団体に認められている猫種ですが、未だにその希少性に変わりはありません。
コラットの特徴
ロシアンブルーに似たコラットですが、どんな体の特徴があるのでしょうか?
体格
コラットの成猫時の体重は、2.5kg〜4.5kg位だそうです。セミコビータイプと言われるがっしりとした体格ですが、ずんぐりむっくりのコビータイプよりは四肢、胴体、尻尾が長めの体格をしています。20歳前後または20歳以上と長生きする猫が多く平均寿命も15歳以上だと言われることもありますが、平均寿命は10年から15年と言う情報もあります。
被毛
コラットのブルーの被毛はつやがあり、良い手触りをしています。アンダーコートはなく、皮膚に対してぴったりと寝て生えています。1本の毛の中でも根元は淡いブルー毛先に向かうにつれて濃くなっています。さらに先端はシルバーになっていることが、光があたった時にハロー効果による光の輪を生み出しています。まれに、シルバーとブルーの薄いタビー模様を持つ被毛で産まれるコラットの子猫もいて、「ゴーストタビー」と呼ばれています。ですが、成長するにつれて、タビー柄は消えていくそうです。
その他
コラットはブルーの被毛も美しいですが、顔の大きさに比べて大きなグリーンの透き通った目もまた、美しいです。生後間もない時はブルーですが、成長するにつれてアンバーに色が変化します。さらに2歳から4歳の間に、輝くようなグリーンへと変化していきます。成猫になっても多少アンバーの色味が入るのは許容されているとのことです。
コラットの鼻や肉球、唇の色はダークブルーからラベンダー色をしています。頭はコラットでしか見られないハート型をしていると言われています。尻尾は根元はどっしりとしていますが、先端にいくにつれて細くなっていきます。
幸運のお守りと言われているコラットは、顔が正面から見てハート型をしているだけではなく、顔を上から見てもハート型に見え、鼻もハート型をしていて、幅の広い胸にも毛の流れで出来たハート模様があると言われています。
コラットの性格
コラットの体の特徴が分かったところで、今度は性格がどんななのか、見ていきましょう!
寂しがり屋
コラットは寂しがり屋な性格の猫なので、しょっちゅう飼い主について移動するでしょう。寂しがり屋というのは、飼い主との密なコミュニケーションを求めると言い換えることもできます。長時間独りで過ごすのが好きな猫ではないので、もし仕事などで家を空けることが多い場合は、他の猫種やペットを飼うのをオススメします。寂しがり屋なのは、伝統的にコラットは高貴な人のペットであったり、ペアで贈られることが多かったからかもしれません。頻繁に長時間の単独での留守番をさせるとコラットのストレスとなり、攻撃性が増したり、分離不安になったりする可能性があると言われています。
活発で賢い!
コラットは賢くて遊び好きな猫だそうです。投げたおもちゃを取ってくるのも得意で、リードを付けてのお散歩も出来るかもしれません。コラットは視覚や聴覚、嗅覚もとても優れていると言われています。そんなコラットの性質をきちんと理解して最初からきちんとしつけをしましょう。穏やかで賢く感覚が鋭いコラットには、うまくおやつを使ってルールを教えたり、ダメなものはダメとはっきりとしたルールを作ったりすると良いでしょう。
頑固な一面も?
コラットを他の猫と多頭飼いをする時には、いくつかのおもちゃを用意しましょう。コラットは頑固な一面があり、自分のものだと思ったおもちゃや物は、手放さないことがあるそうです。また、普段は静かな猫ですが、自分の要求を通したい時は、分かってもらえるまで鳴き続ける子もいるそうです。普段は鳴かないコラットが鳴いている時は、要求が何なのか良く理解するようにする必要がありそうです。
またコラットは他の猫ともうまくやることが多いそうですが、いつでも自分が飼い主にとっての一番でありたがるそうです。そんな一面が頑固な性格としてとらえられるのかもしれませんね。
子供も大丈夫♪
子供が静かでていねいなコラットの扱い方をしっかりと学んでくれれば、一緒に遊ぶことや芸を教えることを楽しんでくれるようです。大人がきちんと監督をすることで、良い遊び友達になれます。
コラットがかかりやすい病気
コラットがかかりやすい病気とは、一体どんな病気でしょうか?
ガングリオシドーシスGM1、GM2
ライソゾーム病と呼ばれる遺伝子疾患の1つで、ある物質の分解酵素が作られないことにより、分解されるべき物質が分解されずに神経細胞に蓄積され、それにより細胞機能が破たんし神経症状が現れてしまいます常染色体劣勢遺伝の病気で、この異常遺伝子を対に持っていると生後3~4か月で発症し。1歳までに死亡してしまう、恐ろしい病気です。GM1とGM2は異なる変異遺伝子が原因で、コラットではGM2の方が進行が早く生後9か月頃までには死亡してしまうそうです。GM1、GM2ともに原因遺伝子が分かっており遺伝子検査を行うこともできます。
麻酔に敏感に反応する可能性
コラットはもともと体脂肪率が低く、麻酔に敏感なことがあるとする記事が少数あります。コラットの場合に限らず、手術を行う場合には、術前の説明と検査をきちんとしてくれる獣医師を選ぶといいでしょう。
コラットと出会うには
コラットは珍しい猫種ですが、日本には1つのキャッテリー(猫血統登録団体に登録しているブリーダー)が存在するようです。誕生する子猫の頭数は多くないようですので、手に入れたい場合は予約が必要となるかもしれません。栃木にキャッテリーがあるようです!
まとめ
コラットは世界的に稀少な猫種と聞けば、一度は会ってみたくなりますね!美しいグリーンの目にも、見つめられてみたいです♪
コラットはロシアンブルーによく似ていますが、全く違う猫種です。ロシアンブルーと被毛のカラーも微妙に違いますし、体格や顔の形なども違っています。どちらも可愛い猫種ですけどね☆
もしコラットと一緒に住むことができたら、沢山可愛がってあげたいですね!!
欧米におけるコラットのブリーディング初期から、ライラック(淡いグレー)やブルーポイントの猫が生まれていたそうです。どの団体においてもコラットはブルー一色しか認められていませんが、イギリスのGCCFではコラットの繁殖で生まれたライラックとブルーポイントの猫をタイ(Thai)という別品種として確立しようとする動きがあるようです。ちなみに、アメリカの猫血統登録団体の一つであるTICAでは、Thaiという品種はオールドタイプのサイアミーズを品種として確立したもので、ブルーではないコラットとは全く別の猫種になります。
コラット以外の猫種でもGM1とGM2が報告されています。GM1はサイアミーズとバリニーズでも報告されており、それら猫種での原因遺伝子はコラットのものと同一です。GM2は日本猫、バーミーズでも報告されていますが、原因遺伝子はそれぞれ異なりますので、遺伝子検査を受ける場合には、コラットのGM2の遺伝子検査(HEXB遺伝子の1塩基置換(c. 1448G>C))を受ける必要があります。
日本においてはコラットは非常に珍しく数が少ない猫種で、日本のコラットたちの中にGM1、GM2の原因遺伝子を持っている個体がいるのかいないのかは不明です。イギリスの血統登録団体であるGCCFでは、遺伝子検査で変異遺伝子を持っていないことが証明されたコラットか、変異遺伝子を持っていないことが証明されている両親から生まれたコラットのみ登録可能だそうです。