【獣医師監修】猫にはちみつを与えても大丈夫?栄養素の効果から与える際の注意点まで徹底解説

【獣医師監修】猫にはちみつを与えても大丈夫?栄養素の効果から与える際の注意点まで徹底解説

猫にはちみつを与えても大丈夫?効果的な与え方やボツリヌス菌のリスク、1日の適量を解説。食欲がない時の工夫や、気になるマヌカハニーの猫への効果についても触れています。愛猫に安全にはちみつを味わってもらうための注意点をチェックしましょう。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫ははちみつを食べても大丈夫?

お皿の上に置かれたハチの巣とはちみつを見つめる猫

はちみつは猫に与えても問題ない食材です。

天然の糖分が豊富に含まれているため、適量を守れば猫にとって体を動かすエネルギー源となります。ただし、猫は本来肉食動物であり、糖分の消化をメインとする体質ではありません。

与え方や量には十分な配慮が必要ですが、基本的には毒性のある成分は含まれていないため安心してください。

はちみつの栄養素と猫への健康効果

ガラスの器に入ったはちみつ

はちみつには、猫の健康をサポートする様々な微量成分が含まれています。ここでは主な栄養素と、それが猫の体にどのような良い影響を与えるのかを詳しく解説します。

エネルギーに変換されやすい単糖類

はちみつの主成分であるブドウ糖や果糖は「単糖類」と呼ばれます。これ以上分解する必要がない状態の糖分であるため、摂取後すぐに体内に吸収され、エネルギーに変わります。

食欲が低下している猫や、運動後の速やかな疲労回復が必要な場合に非常に有効な栄養源となります。

健康維持をサポートするビタミン類

はちみつにはビタミンB群やビタミンCが含まれています。これらは皮膚や被毛の健康を維持し、免疫力の維持に役立つ成分です。

猫自身の体内で合成できるビタミンもありますが、食事から微量に摂取することで、体調のコンディションを整える補助的な役割が期待できます。

不足しがちなミネラル成分

カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルもバランスよく含まれています。カリウムは体内の余分な塩分の排出を助け、細胞の浸透圧を調整する働きがあります。

これらは骨の形成や筋肉の収縮にも関わる重要な栄養素ですが、副食(おやつ)として食べる量のはちみつから補給できるのはごく微量である点に注意が必要です。

天然の酵素による消化の補助

はちみつには多くの天然酵素が含まれており、これらが消化を助ける働きをしてくれる可能性があります。そのため、胃腸の機能が少し弱まっている時などで、消化の負担を減らすサポートが期待されています。

また、はちみつ特有の殺菌作用により、口腔内の清潔を保つのに役立つという側面もあります。

ただし、市販のはちみつは加熱処理されている商品が多く、酵素の活性が低下している可能性もあるため、補助的な成分として捉えておきましょう。

猫にはちみつを与える際の注意点

体調が悪そうな様子で床に伏せている猫

健康効果がある一方で、はちみつを与える際には命に関わるリスクや体調悪化を招くポイントがいくつか存在します。以下の注意点を必ず守ってください。

アレルギーに注意

猫によっては、はちみつに含まれる花粉などの成分に対してアレルギー反応を起こすことがあります。初めて与える際はごく少量にとどめ、様子を見ることが大切です。

顔の腫れ、皮膚の赤みやかゆみ、下痢、嘔吐などの症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止して獣医師に相談してください。

ボツリヌス菌に注意

天然のはちみつには、ボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性があります。成猫の腸内では繁殖しにくいですが、消化機能が未熟な子猫が摂取すると、中毒症状を起こす危険があります。

ボツリヌス症は神経麻痺などを引き起こす恐ろしい病気ですので、生後1年未満の子猫には絶対にはちみつを与えないでください。

加工していない純粋なはちみつを与える

市販のはちみつの中には、加糖はちみつや香料が含まれた加工品もあります。これらに含まれる人工甘味料や添加物は、猫の健康を害する恐れがあります。

必ず原材料名を確認し、添加物が一切入っていない「純粋はちみつ」を選ぶようにしてください。

老猫・体調不良・内臓疾患のある猫には与えない

糖尿病や腎臓病などの内臓疾患を抱えている猫には、はちみつを与えてはいけません。

高い糖分が血糖値を急上昇させたり、肥満につながる可能性があるほか、腎臓に負担をかけたりして病状を悪化させるリスクもあります。

また、老猫や体調が著しく悪い猫も、消化能力が低下しているため、自己判断で与えるのは避けましょう。

猫にはちみつを食べさせる際の与え方

寝転びながら飼い主の指先を舐めている猫

猫にはちみつを与える際は、ストレスを与えず、かつ安全に摂取できる方法を選ぶことが重要です。具体的な2つの方法を紹介します。

口の周りや歯茎につけて舐めさせる

食欲がない時や、水分補給のきっかけを作りたい時は、はちみつを指先に少量とり、猫の口の周りや歯茎に優しく塗ってあげてください。

猫は顔周りが汚れるのを嫌って舐めとる習性があるため、自分から食べようとしない時でも無理なく摂取させることができます。

与えた後は歯磨きを行い、糖分が口の中に残ることで猫の歯周病などが進行しないように注意しましょう。

ウェットフードに混ぜて与える

普段食べているウェットフードに、トッピングとして混ぜる方法も効果的です。はちみつの強い香りが食欲を刺激し、食いつきが良くなることがあります。

食にこだわりが強い猫でも、この方法なら受け入れてくれる可能性が高まります。

猫にはちみつを食べさせる際の適量

飼い主が差し出すスプーンを見つめる猫

猫にはちみつを与える際の適量は、体重4kg前後の成猫で「小さじ4分の1杯(約1〜2g)」程度が目安です。

はちみつ100gあたりのカロリーは約300kcalと非常に高いため、与えすぎは肥満の原因になります。

猫の体重 1日の最大目安量 推定カロリー
3kg 約1g(小さじ1/5) 約3kcal
4kg 約1.5g(小さじ1/4) 約4.5kcal
5kg 約2g(小さじ1/3) 約6kcal

おやつやサプリメントとしての位置付けを忘れず、1日の総摂取カロリーの10%を超えないように調整してください。

また、毎日与えるのではなく、週に1回程度のおやつとしてたまに与えるくらいの頻度に留めておきましょう。

マヌカハニーは猫にも効果ある?

ガラス瓶に入ったマヌカハニーをすくっている様子

マヌカハニーは、一般的なはちみつよりも強力な殺菌作用を持つ「メチルグリオキサール」を含んでおり、人間には喉の痛みや胃腸トラブルの改善に効果があるとされています。

しかし、猫に対する効果は、科学的に実証されていません。むしろ独特の香りが強いため、警戒心の強い猫などは嫌がって食べないことも多いです。

高価なマヌカハニーを無理に与える必要はなく、猫の嗜好性に合った純粋はちみつを選ぶのが賢明です。

まとめ

ガラス瓶と器に入ったはちみつが並べて置かれている光景

はちみつは、猫にとって即効性のあるエネルギー源となり、健康維持に役立つ栄養素を含んだ食材です。

しかし、子猫へのボツリヌス菌リスクや、糖尿病などの持病がある猫への影響には細心の注意を払わなければなりません。

愛猫の体調をよく観察しながら、適切な量と与え方を守って、日々の健康管理のアクセントとして活用してみてください。