猫はセロリを食べても大丈夫?

セロリは猫に与えないほうが良い食材です。独特の香りとシャキシャキとした食感が特徴の野菜ですが、猫の健康を脅かす可能性のある成分が含まれています。
安全だと確認されていない食べ物を愛猫に与えることは、思わぬ体調不良を引き起こす原因になりかねません。この記事では、なぜ猫にセロリを与えてはいけないのか、その理由と万が一食べてしまった際の対処法について詳しく解説します。
猫にセロリを与えないほうがいい理由
セロリを猫に推奨できない最も大きな理由は「シュウ酸」という成分が含まれているためです。シュウ酸は植物に由来する有機酸の一種で、アクやえぐみの元となります。
猫がシュウ酸を摂取すると、体内でカルシウムと結合して「シュウ酸カルシウム」という結晶を形成します。この結晶が腎臓や膀胱などの泌尿器に溜まることで、尿路結石症(にょうろけっせきしょう)という病気を引き起こすリスクが高まります。
特に、スコティッシュ・フォールドやアメリカン・ショートヘアなどの猫種は、遺伝的に尿路結石ができやすい傾向があるため注意が必要です。
茹でるとシュウ酸を軽減できるが「完全にはなくならない」
シュウ酸は水に溶けやすい性質を持つため、セロリを茹でることで含有量を減らすことは可能です。しかし、加熱によってシュウ酸が完全になくなるわけではありません。
ごく少量であっても、尿路結石症のリスクがある猫にとっては健康を害する可能性があります。愛猫の健康を第一に考えるのであれば、リスクを冒してまで茹でたセロリを与えるメリットはないと言えるでしょう。
セロリに含まれる栄養素と猫への健康効果

セロリには人間にとって有益な栄養素が含まれていますが、それらが必ずしも猫にとって良い効果をもたらすとは限りません。猫は肉食動物であり、必要な栄養素のほとんどを動物性のタンパク質から摂取する体の仕組みを持っています。
ビタミン類(ビタミンK、Cなど)
セロリにはビタミンKやビタミンCなどのビタミン類が含まれています。これらの栄養素は健康維持に役立つものですが、猫はビタミンCを自身の体内で合成することができます。
そのため、健康な猫であれば食事から積極的に摂取する必要はありません。むしろ、過剰な摂取は体に負担をかける可能性も否定できません。
カリウム
カリウムは、体内の水分バランスを調整する上で重要なミネラルです。しかし、腎臓の機能が低下している猫の場合、カリウムの排泄がうまくできず、高カリウム血症を引き起こす危険性があります。
腎臓病は高齢の猫に非常に多い病気です。飼い主が気づかないうちに病気が進行している可能性もあるため、安易にカリウムを多く含む食材を与えるのは避けるべきです。
食物繊維
セロリに含まれる食物繊維は、便通を促進する効果が期待できます。しかし、本来肉食動物である猫の消化器官は、植物の繊維を大量に消化するようにはできていません。
猫が食物繊維を過剰に摂取すると、かえって消化不良や下痢、便秘の原因となることがあります。便秘の解消を目的とするのであれば、獣医師に相談の上、猫用に調整されたサプリメントなどを活用する方が安全です。
猫が生のセロリを誤食した場合の対処法

どれだけ気をつけていても、調理中に落としたセロリを猫が食べてしまうといった事故は起こり得ます。万が一、愛猫がセロリを食べてしまった場合は、パニックにならず冷静に対処することが重要です。
1. まずは落ち着いて状況を確認する
最初に、いつ、どのくらいの量のセロリを食べてしまったのかを正確に把握してください。「葉をひとかじりした程度」なのか、「茎を数センチ食べた」のかによって、その後の対処法や獣医師への伝え方が変わってきます。
2. 猫の様子を観察する
食べた直後は特に変わった様子がなくても、数時間から半日程度は注意深く愛猫の様子を観察しましょう。嘔吐や下痢、食欲不振、元気がない、トイレに何度も行くのに尿が出ていないなど、普段と違う症状が見られないかを確認してください。
3. 動物病院に連絡・相談する
たとえ食べた量が少量であっても、少しでも心配な点があればかかりつけの動物病院に連絡しましょう。特に、普段と違う症状が見られた場合は、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。その際、いつ、何を、どのくらい食べたのかを正確に伝えることで、スムーズな診断につながります。
自己判断で吐かせようとしない
猫が何かを誤食した際に、自己判断で無理に吐かせる行為は絶対に行わないでください。塩や水などを大量に飲ませて吐かせようとすると、かえって猫の体に大きな負担をかけ、食道や内臓を傷つけてしまう危険性があります。必要な処置は、必ず獣医師の判断に委ねましょう。
まとめ

セロリにはシュウ酸が含まれており、猫に尿路結石症を引き起こすリスクがあるため、与えるべきではありません。ビタミンや食物繊維などの栄養素は含まれていますが、猫にとっては健康上のリスクの方が大きく、積極的に与えるメリットはありません。
もし愛猫が誤ってセロリを食べてしまった場合は、慌てずに状況を確認し、猫の様子を注意深く観察してください。そして、少しでも不安なことや異常が見られたら、速やかに動物病院へ相談することが大切です。愛猫の健康を守るためにも、人間用の食材は安易に与えず、猫用に作られた安全な食事を心がけましょう。