猫が卵を食べても大丈夫?

卵は猫に与えても大丈夫な食材です。良質なたんぱく質をはじめ、猫の健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
ただし、与え方や量には注意が必要です。正しい知識を持って、愛猫の食事の楽しみを広げてあげましょう。
卵に含まれる栄養素と猫への健康効果

卵には、猫の体にとって有益な栄養素がたくさん詰まっています。普段のキャットフードだけでは不足しがちな栄養を補うおやつとしても活用できます。
卵に含まれる主な栄養素と、猫にもたらす健康効果について解説します。
たんぱく質
卵は非常に良質なたんぱく質の供給源です。たんぱく質は、筋肉や皮膚、被毛、内臓など、猫の体を作るために不可欠な栄養素です。完全肉食動物である猫は、特に動物性たんぱく質を効率よく利用するため、卵は理想的な食材と言えるでしょう。
ビタミン類
卵には、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンAや、骨の成長を助けるビタミンD、エネルギー代謝を促進するビタミンB群などがバランス良く含まれています。これらのビタミンは、猫が元気で活動的な毎日を送るために欠かせません。
レシチン
レシチンは脂質の一種で、細胞膜の主成分です。細胞の働きを正常に保ったり、神経伝達物質の材料になったりと、体の基本的な機能を支える重要な役割を担っています。健康な皮膚や美しい被毛の維持にも貢献します。
猫に卵を食べさせる際の与え方

猫に卵を与える際は、安全でおいしく食べてもらうためにいくつかのポイントがあります。特に加熱は、猫の健康を守るうえで非常に重要です。ここでは、具体的な与え方やおすすめの調理法を紹介します。
加熱してから与える
必ず加熱調理したものを与えてください。生の卵白に含まれる「アビジン」というビオチン結合性の糖タンパク質は、ビタミンの一種である「ビオチン」の吸収を妨げます。アビジンは加熱することで働きを失うため、加熱は必須です。
また、サルモネラ菌などの食中毒リスクを避けるためにも、しっかりと火を通すことが大切です。特に免疫力が低い子猫やシニア猫には、細心の注意を払いましょう。
細かくカットして与える
加熱した卵は、猫が食べやすいように細かく刻んだり、すりつぶしたりしてから与えましょう。特に、白身は弾力があるため、大きな塊のままだと喉に詰まらせる危険性があります。
猫が安全に食べられるよう、一口サイズにほぐしてあげることが重要です。
おすすめの調理法は?
猫に与える際の調理法は、固ゆでした「ゆで卵」や、油や調味料を使わずに作る「炒り卵(スクランブルエッグ)」がおすすめです。
味付けは一切不要です。塩や胡椒、マヨネーズなどは猫にとって過剰な塩分や糖分となり、健康を害する原因になります。
猫に卵を食べさせる際の注意点

栄養豊富な卵ですが、与える際にはいくつかの注意点があります。愛猫の健康を損なわないよう、以下の点を必ず守ってください。アレルギーの有無や与える量など、猫の個体差にも配慮することが大切です。
サルモネラ菌に注意
生の卵や加熱が不十分な卵には、サルモネラ菌が付着している可能性があります。猫が感染すると、嘔吐や下痢、発熱といった食中毒症状を引き起こすことがあります。このリスクを避けるため、必ず中心部までしっかりと火を通してください。
卵アレルギーに注意
人間と同じように、猫にも卵アレルギーが存在します。初めて卵を与える際は、ごく少量(小指の先程度)から始め、食後にアレルギー症状が出ないか注意深く観察してください。
皮膚のかゆみや赤み、下痢、嘔吐などの症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、動物病院に相談しましょう。
人間用の卵の加工食品は与えない
味付けされた卵焼きや煮卵、マヨネーズ、カスタードクリームなど、人間用に加工された卵製品は絶対に与えないでください。これらには塩分、糖分、油、添加物などが多く含まれており、猫の内臓に大きな負担をかけます。
与え過ぎに注意
卵は栄養価が高い一方で、カロリーや脂質も決して低くはありません。与え過ぎは肥満や栄養バランスの偏りを招く原因となります。あくまでおやつやトッピングとして、適量を守ることが大切です。
卵の殻に注意
卵の殻はカルシウムが豊富ですが、そのまま与えるのは危険です。硬く鋭い殻の破片が、猫の口の中や消化器官を傷つけてしまう恐れがあります。また、殻の表面に菌が付着している可能性もあるため、与えないようにしましょう。
猫に卵を与える際の量の目安

猫に卵を与える場合、その量は1日の総摂取カロリーの10%以内に収めるのが理想です。これは、おやつ全般に言える基本的な考え方です。
一般的な大きさの鶏卵1個(約50g)のカロリーは約76kcalです。体重4kgの成猫の1日の必要カロリーが約200〜240kcalとすると、おやつとして与えられるカロリーは約20kcalが上限となります。
具体的には、固ゆでした卵であれば「1/4にカットした卵)」が目安量です。
与える頻度は、週に1〜2回程度に留め、総合栄養食であるキャットフードを主食とすることが猫の健康の基本です。
まとめ

卵は、正しく調理して適量を与えるならば、猫にとって優れた栄養源となる食材です。必ず無調味でしっかりと加熱し、アレルギーに注意しながら少量から試すことが重要です。
与え過ぎは肥満や栄養の偏りにつながるため、おやつや食事のトッピングとして、週に数回の特別なごちそうとして活用するのが良いでしょう。この記事で紹介した注意点を守り、愛猫との食生活をより豊かに楽しんでください。