「よたよた歩きの猫」が人気者に

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イサカ大学で人気のサビ猫Fritterは、「小脳形成不全」を患っています。このため特徴的な「よたよたとした動き」をします。これが理学療法を専攻する学生たちに貴重な「学び」と「理解」の機会を与えてくれるのです。
同大理学療法学科のAngela Reynold助教の教室では、Fritterがよろよろと歩き回っています。彼女と夫のTimさん(同大運動科学トレーニング学科の助教)が、Fritterの飼い主です。Angelaさんは、理学療法学科のSarah Fishel 准教授とともに「神経リハビリテーション」の講義を共同で担当していて、Fritterは2人にとって研究対象でもあるのです。
「学生に『Fritterの動きを想像して』といえば、イメージがわきます。運動機能の障がいがどういうものかを具体的に思い描くことができるのです」とSarahさん。
博士課程2年生のAlexa Gonzalez さんは「Fritterは学生たちの間で有名な猫です。人気者ですね」といいます。
同じ博士課程2年生のLily Stevensさんも「ときどき壁にぶつかりながらも、Fritterは校舎の廊下を自由に歩き回っていますよ」と話しています。
2025年初め、当時生後約7週間だったFritterを自宅に残しておけなかったAngelaさんは、大学へ連れていくようになりました。
「学生たちはとてもかわいがってくれました。Fritterを膝から膝へと渡して競うように抱いていたのです。やがて少しずつ自立していくにつれて、Fritterは教室の中をよろよろと歩き回るようになりました」
この猫の運動障がいは人間の場合と似ています。このためAngelaさんは、講義でFritterと人間の症状について比較しながら説明をしています。
「歩行に関する研究」へも貢献

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同大の人文科学部でも、Fritterは研究に貢献しています。発生・計算生物学のIan Woods教授と3年生のGili Butler-Furlongさんは、「動物の歩行に関する測定・研究」にFritterを参加させているのです。2人は動物たちが歩く姿を撮影した動画を分析し、四肢が地面に着地するようすをコマ送りで調べています。
「協調運動に関する研究をしているので、Fritterのような運動障がいについて、きちんと認識できるようにしたいのです」とIanさんは説明します。
「Fritterの動きのパターンは、この研究に独自の要素を加えてくれます。この猫の足は横に大きく開くので、とても観察しやすいです」とGili さん。
Angelaさんによると、まっすぐ歩けずによろよろと進む猫は珍しいといいます。
「初めてこの猫を見たときは、かわいそうで心配になります。でもFritterは全然痛みを感じていません。できることは限られていますが、それでもこの猫は好きなように活動していますよ」と彼女はいいます。自宅には、Fritterが遊んだり筋肉を鍛えたりできる「クッション付きのスペース」が設けられているといいます。
学生たちも講義で学んだ運動療法をFritterに応用しています。運動協調性を高めるために長距離歩行をしたり、バランス感覚を向上させるためにでこぼこな場所で立たせたりするなどです。Fritterも協力的なようですよ。
学生のストレス解消に一役

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この猫の人気は大学だけにとどまりません。イサカ近郊の「IC作業療法・理学療法クリニック」で治療を受けている患者さんたちも、Fritterファンなのです。Angelaさんがこのクリニックで運動障害の治療を行う際に、愛猫を同行させているからです。
「患者さんたちは、自分と同じように運動障がいをもつ猫に出会えたことをとても喜んでいます。この症状について理解を深めるよい機会にもなっています」と彼女。
大学では、学生たちがたびたびFritterに会うためだけに研究室を訪れてくるといいます。
「学生が勉学のストレスを感じているとき、Fritterがいると悩みを忘れ、そのかわいらしさに気持ちが落ち着くようですね」とSarahさん。
「学生たちにとって、障がいを抱えながらも充実した生活を送っている猫の姿を見るのは、本当に楽しいことのようです。こうした経験を通して、将来職業に就いたときに、患者さんへの深い理解をもてるようになることを望んでいます」と話すAngelaさんです。