猫の嗅覚の実力とは

猫の鼻は、人が想像している以上にとても高性能です。人の鼻と比べると、猫はおよそ数万〜数十万種類のニオイを識別できるといわれております。
嗅細胞の数は人間の5〜10倍ほどにもなり、これは犬には及ばないものの、猫にとって「ニオイ」は視覚と同じくらい重要な情報源なのです。
たとえば私たちが「なんとなく匂う」と感じる生ゴミのニオイも、猫にとっては情報の宝庫。
「いつ、何が、どれくらい古いのか」までわかると言われています。人がネットや新聞などから情報を知るように、猫はニオイで世界を読んでいるのです。
猫の『嗅覚』にまつわる驚きの能力

1.ごはんを残すのはワガママじゃない可能性も
「お気に入りのごはんだったのに、今日は急に食べない…」そんな経験がある飼い主さんも多いでしょう。でも、これは気まぐれではなく、ニオイに敏感な猫の「嗅覚チェック」が影響していることがあるのです。
たとえばパウチのフードを開けて時間が経つと、私たちには変化がわからなくても、猫は酸化によるニオイの変化を感じ取ります。
「これは昨日と違う」と判断した結果、口にしないことも。つまり猫にとって食事とは、「安全かどうか」をニオイで判断する大切な行動でもあるのです。
猫の鼻はごまかせないため、古いフードは長時間置きっぱなしにせず、開封後はなるべく早めに使い切るようにしましょう。
2.フェロモンの読み取りで感情もキャッチする
猫の嗅覚は、ニオイそのものだけでなく、特殊なセンサーである「ヤコブソン器官」から相手の感情や体調まで読み取る力があるといわれています。
猫が口を開けて力が抜けたような顔をすることがあるのは、上顎にあるこの器官で情報を得てコミュニケーションをとろうとしているからです。
相手が元気か発情中か、敵意があるかどうかなどを確認しています。「言葉なしで相手の気持ちが読める」ような感覚で、まるで心を匂いで感じ取っているようなものですね。
3.飼い主の感情もニオイでわかっている?
実は猫は、人間の気分の変化も察知していると言われています。緊張しているとき、落ち込んでいるとき、汗の成分や皮脂の分泌が微妙に変わるからです。
飼い主のストレス状態と猫の行動に相関が見られたという例は多くあり、機嫌が悪い日にはそっと距離をとったり、逆に甘えてきたりするのは、猫なりに空気を読んでくれているサインかもしれません。
「猫はドライでマイペース」と思われがちですが、実はとても繊細で、ニオイを通じてこちらの心の動きまで感じ取っている存在なのです。
まとめ

猫の嗅覚は、ただニオイに敏感なだけではなく、感情や健康状態、食事の安全性まで見抜けるほど優れたセンサーです。
「ごはんを急に食べなくなった」「急に警戒心を見せた」「やたらスリスリしてくる」などの行動は全部「ニオイ」が関係している可能性があります。
猫ともっと仲良くなるには、ニオイへの配慮がひとつのポイントです。香水やタバコ、洗剤のニオイに気をつけると、より信頼関係が深まるはずです。そして猫が安心する「いつものニオイ」を大切にしてあげたいですね。