1.かまってアピールの波状攻撃

猫は通常時でも甘えてくるものですが、ヒマをもてあましているときは特に、かまってアピールが激化します。
しきりに鳴いたり、スリスリが止まらなかったり、つけ回したり、ときにはテレワーク中のPC前にドカッと座り込み、「仕事とオレ、どっちが大事なわけ?」と問いただしてくることもあります。
とにかく、かまってほしさ100%で、飼い主さんからの好ましい反応だけが正解です。その心の声には、「やさしく撫でてよ!」「遊んでよ!」「おやつぐらいいいじゃん!」といった要求が込められています。
なりふり構わず「愛」を求める愛猫の姿を見て、仕事で留守しがちな両親がおうちに帰ってくると、飛んでお出迎えにいった自分の子供時代を思い出す飼い主さんもいるかもしれません。
寂しさ、切なさという感情は、ヒトもネコも共通しているのでしょうか。
2.過剰なグルーミング

生活に支障をきたさない限り、かまってアピールはかわいらしいものですが、暇つぶしが高じて、過剰なグルーミングをやり始めたら、ちょっと問題です。
もともと猫の毛づくろいには、皮膚や被毛を清潔に保つ、体温を調節する、匂いを消す、などの役割があります。猫にとっては、生活に欠かせない大事な行動習慣です。
実は、退屈な状況が続くと、ストレス反応により、いつにも増して毛づくろいに没頭することがあります。たとえば、同じ場所を何度となく舐め続けていたら、何らかのストレスを抱え込んでいる証拠です。
過剰なグルーミングを放置すると、脱毛症や皮膚炎などの病気にかかってしまう恐れもあります。飼い主さんは、普段の毛づくろいとの違い、愛猫のストレスの背景にはどんな要因が潜んでいるかなど、問題点を突き止め、改善するように努めましょう。
3.無気力モード

退屈のあまり、どうしていいのかわからない、といった心理状態が私たち人間にもあるように、猫にも暇過ぎて「心あらず」の心境に陥ってしまうケースがあります。
一点をぼんやり眺め続けたり、床にだらりと寝転んだり、ひたすら眠りこけたり、いかにも無気力モードで、遠い祖先の時代から、獲物を狩ってワイルドに暮らしていた野生の面影はどこにもありません。
食後や行動の合間の休憩なら問題ないのですが、「何もやる気になんねぇ」状態が続いてしまうと、肉体的にも精神的にも悪影響を及ぼすことがあります。
猫の心身両面で健康を維持するためには、おもちゃ遊びをはじめ、適度なスキンシップ、キャットタワーの設置などの立体的な動きを促す空間づくりが欠かせません。ひとり遊びに夢中になれる知育グッズの活用も効果的です。
ちょうど良い刺激は、愛猫の暮らしの質を向上させ、本来の猫らしさを取り戻すきっかけにもなります。
もし愛猫がかつての自分と同じように、「マジ、退屈」とシラケ・モードに沈んでいたら、昔の体験を活かして、夜遊びならぬおもちゃ遊びに率先して誘ってあげてみてください。
まとめ

人間と同じように、猫もヒマをもてあました状態、つまり、退屈に感じている状況があるようです。
今回は、「なんか、つまんない…」といった心理状態にある猫のサインを3つ紹介しました。
「かまってアピール」はいつものことかもしれませんが、「過剰なグルーミング」と「無気力モード」は、放っておくと、心と身体の調子を崩してしまう恐れもあります。
退屈をしのぐ方法として、まずは、スキンシップなどのコミュニケーションを図りつつ、おもちゃ遊びを通じて、本来持っている「野性」を刺激してあげてください。
楽しく遊べば、どんよりしていた愛猫の表情も、人生に希望を見いだした人のように、キラキラと輝くはずです。