猫の『歩き方がおかしい』と思ったら疑うべき6つの原因 ふらつく、足をつかない…病気やけがのせい?

猫の『歩き方がおかしい』と思ったら疑うべき6つの原因 ふらつく、足をつかない…病気やけがのせい?

猫の歩き方の異常は、怪我や年齢からくるもの以外にも、内科的な異常が原因で発生するものがあり、その中にはすぐに動物病院で治療を受けなければ命に関わる緊急の病気の可能性もあります。この記事では、猫に歩き方の異常が見られた時の原因として、特に多いものを6つご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

︎1.怪我

包帯を巻かれる猫

猫同士のケンカ、交通事故、高所からの転落などにより、骨折、脱臼、靱帯損傷がおこることが原因です。特にシニアの猫では筋力の低下により、高い場所からの着地の失敗が原因での怪我が多くあります。

怪我による異常の場合、猫はその部位を触ったり動かしたりすると痛がる様子が見られ、足を挙げて歩く、片足で不自然に歩く、手足のどれか1本が脱力するなど、損傷した部位と怪我の程度によってさまざまな症状が見られます。

︎2.糖尿病

血糖値を測る猫

糖尿病による持続的な高血糖により、足の神経細胞にダメージが加わり歩行異常が起こることが原因です。この病気では、猫は後肢のかかとをペタペタと床に着いて歩く「ハックウォーキング」と呼ばれる特徴的な歩き方をします。

かかとを地面につけて歩く以外にも、多飲多尿、食欲があるのに痩せる、下痢、嘔吐などの症状が一緒に起こる場合は、糖尿病の可能性が高いため、動物病院で血液検査や尿検査を受けるようにしましょう。

︎3.動脈血栓塞栓症

エコーを受ける猫

猫に多い肥大型心筋症が原因でなる病気です。心臓内に形成された血栓が動脈内に流れ込み、後ろ足の付け根にある、血管が細くなっている血管分岐部で血栓が詰まり、血流が途絶え、急激に足が麻痺して立てなくなることがあります。

血栓が詰まった際には、激しい痛みがあり、猫は大声をあげて部屋を駆け回るなどします。その後、血栓が詰まった肢は、血流がなくなるために冷たくなり、肉球は紫色になるのが特徴です。

動脈血栓塞栓症は猫の歩行の異常の中でも、致死率が高く、緊急性の高い病気です。このような症状が見られたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

︎4.骨軟骨異形成症

座る猫

主にスコティッシュフォールドやマンチカンに発症する遺伝性の関節疾患です。若齢や成長期に多く発生し、関節の周囲の骨や軟骨が変形して、コブ状に腫れるなどの症状が見られます。

症状が進行すると、歩き方がゆっくりになったり、ジャンプや飛び降りるのをしなくなったり、足を引きずったりするようになります。

さらに関節の変形が大きくなると、関節の可動域が狭まり強い痛みが伴うため、手足を触られるのを嫌がり、遊ぶ時間が減って寝ている時間が長くなります。

また、座るときにお尻を地面につけ後ろ足を前に投げ出す(スコ座り)という座り方が見られることもあります。

︎5.脳の異常

触診される猫

頭部の外傷による脳や神経へのダメージ、脳炎、脳腫瘍などが原因で歩行に異常が見られることがあります。

脳や脊髄に異常がある場合、足の甲を擦って歩いたり、足に力が入らない様子が見られたり、下半身あるいは四肢に麻痺が起こったりします。この場合、猫は異常が見られる足を触っても痛がることがないのが特徴的です。

脳の異常はMRIで調べないと確定診断ができないため、非常に鑑別が難しい病気です。

︎6.耳の異常

猫の耳

中耳炎、内耳炎、耳の腫瘍、前庭疾患など耳の異常が原因で歩き方に変化が見られることがあります。この場合、猫に足を痛がる様子などはなく、体の平衡感覚がうまくつかめなくなるため、ふらつきなどの歩行異常が見られます。

また、ふらつきに加えて、首が傾く、目が揺れる(眼振)、立てなくなるなどの症状が出ることもあります。

ふらつきが見られた場合には、猫の耳の中の様子を目視し、汚れなどが溜まっていないか確認して動物病院を受診しましょう。

︎まとめ

動画を撮られる猫

猫は具合悪いのを隠す動物。お家では歩き方に異常があっても、動物病院に来ると普通に歩けてしまう場合も少なくありません。

ですので、動物病院を受診する際には、可能であれば猫の歩行の異常を動画に収めておき、それを獣医師に見せると正確な診断の手助けになります。

猫の歩行の異常は時には命に関わる緊急事態の場合もあります。特に怪我などの明らかな原因が見当たらない場合は、内科的な病気が疑われるため、迅速に動物病院を受診するようにしましょう。

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