猫が「たぬきしっぽ」になっているときのキモチ
猫のしっぽが「たぬきしっぽ」と呼ばれる状態になることがあります。なぜそのような呼び方をされることがあるのでしょうか。
それは、猫が毛を逆立ててふくらませたときのしっぽが、太くてふさふさしているたぬきのしっぽを連想させるからです。
そこで今回は、猫が「たぬきしっぽ」になっているときのキモチについて解説します。
1.警戒警報発令中!
初めて猫をお家に迎え入れたとき、すぐにしっぽや全身の毛を逆立てて体をふくらませた猫もいるかもしれません。
初めての場所に連れて来られ、初めて会う人たちに囲まれた猫は、自分の中で警戒警報を発令し、とてつもない緊張状態になっていたはずです。
このように、周囲の状況に対して強い警戒心を抱いているときに、猫はしっぽや全身の毛を逆立てます。
2.怖い、助けて!
静かな夜中に突然鳴り響く雷鳴、穏やかだった昼下がりに突然やってきた配達員など、急な物音や見知らぬ来訪者を見て怖くなったときにも、毛を逆立てて「たぬきしっぽ」になることがあります。
前述の「警戒」とかなり心情的には重なる部分が多いのですが、「恐怖心」が勝っていて弱腰になっているため、ふくらんだしっぽが後ろ足の股の下に隠れるように下がっていることが多いです。
3.いい加減にしてくれ!
これまで気持ちよさそうに抱かれたり撫でられたりしていた猫が、急にしっぽをふくらませて、唸ったり猫パンチを出してくることがあります。これは、気持ちよさや甘えた気持ちから「いい加減に解放してくれ!」という気持ちに切り替わってしまったサインです。
楽しく遊んでいた子どもたちが、突然怒って喧嘩をし始めるのと似た感情の変化かもしれません。
4.びっくりしたなぁ、もう!
予想もしていなかったことが起きると、警戒心や恐怖心が湧く前に、ただびっくりするのは猫も同じです。この驚いた瞬間にも、毛を逆立ててたぬきしっぽになることがあります。
瞬間的にしっぽをふくらませた後、状況を見極めてから改めて「警戒」や「恐怖」の感情でたぬきしっぽを継続させることもあるでしょう。
5.楽しすぎてたまんないなぁ!
ここまでご紹介してきたのは、ネガティブな感情ばかりでした。
しかし実は、遊びに夢中になっていても「たぬきしっぽ」になることがあります。これは、「楽しい!」「嬉しい♪」というようなポジティブな感情が高ぶっていることが原因です。
ポジティブな感情とはいえ、この状態のときの猫はかなりの興奮状態にあり、血圧が上がるなど身体への負荷が高まっています。そのため、持病のある猫が楽しいあまりにたぬきしっぽをしている場合は、興奮を煽らずに落ち着かせた方が良いでしょう。
猫のしっぽが「たぬきしっぽ」になる仕組み
猫のしっぽが「たぬきしっぽ」になるしくみと、人が寒くて鳥肌になるしくみは、とてもよく似ています。ただし、体の表面を覆っている毛の長さや密度が異なるため、見た目が異なるのです。
毛は、皮膚に対して真っ直ぐに生えているのではなく、斜めに生えています。そして、皮膚表面と毛の根元に近い部分を立毛筋という筋肉がつないでいます。この立毛筋は、「不随意筋」と呼ばれる自分の意思ではコントロールできない筋肉です。
立毛筋は、脳から分泌されるアドレナリンによって収縮します。立毛筋が収縮すると、毛の根元近くが皮膚の表面の方へ引っ張られるため、斜めに生えていた毛が真っ直ぐに立つのです。
脳からアドレナリンが分泌されるのは、強く緊張した時です。そのため、警戒、恐怖、怒り、驚愕、興奮といった感情が強く湧いた時に、猫は無意識にしっぽをふくらませて「たぬきしっぽ」になってしまうというわけなのです。
まとめ
今回は、猫が「たぬきしっぽ」になっているときのキモチについて解説しました。
猫がしっぽをふくらませてたぬきのような太いしっぽになるときは、ネガティブであれプジティブであれ、強い緊張状態であるというサインです。大抵の場合はネガティブな感情が多く、それは顔の表情や声などからも察知できるでしょう。
愛猫のしっぽが「たぬきしっぽ」になったときには、その直前の状況から緊張の要因を推察し、できるだけ速やかに原因を取り除いてあげましょう。
遊んでいて楽しいのだからと煽ってしまうと、愛猫の身体に思わぬ負荷をかけてしまうかもしれません。特に持病のある猫であれば、ポジティブなことであってもあまり興奮させすぎないようにした方が良いでしょう。