猫の「パーソナルスペース」
猫たちがくっついて団子状態になっていたり、人間に体をこすりつけたりすることがありますよね。その様子から、猫はベタベタすることが大丈夫な動物だと思っている人もいるようです。しかし、猫は警戒心の強い動物なので、しっかりとパーソナルスペースがあります。
パーソナルスペースとは、一定の距離に近づくことで、落ち着かなくなったり、不安や不快を感じたりする境界線のようなもの。その距離感は個体差があり、また近づいてくる相手との関係性によっても、感じ方が異なります。
人間でたとえると、見知らぬ人に近づかれることに抵抗があっても、友達だと大丈夫という意味。また家族や恋人であれば、近くにいることで安心感を得ることもありますね。
このように、猫にとっても各々の「パーソナルスペース」は存在していて、その感じ方もそれぞれなのです。
関係性によって異なる「パーソナルスペース」での距離感
ここでは、猫のパーソナルスペースについて、具体的な距離を解説します。
たとえば、猫同士の関係が「普通」である場合の距離は、30センチといわれています。「普通」とは、可も無く不可も無くのこと。嫌いではないものの特別好きでもないという間柄のことです。
しかし、猫同士が快適に過ごせる基本的な距離は、もう少し広さが必要で2メートルです。実は、この数値には「危険な場合に逃亡をするために必要な距離」という意味が込められています。
そんなパーソナルスペースをもつ猫ですが、猫同士の信頼度が高ければ高いほど、近づくのはOKです。猫が密着しているのは仲がよい証拠なので、仲間意識を持てない相手に猫は「0センチ」を許しません。なお、くっついて寝る理由は、安心感が得られることや体温の保温など様々です。
また猫が飼い主さんに対するパーソナルスペースは、50センチから1.5メートルが目安です。この具体的な数字は、飼い主さんとの関係性によって変わります。
パーソナルスペースを無視した場合
パーソナルスペースに侵入された場合、猫はストレスを感じます。不快に思っているサインは仕草や行動にあらわれ、「少し嫌だな」くらいであれば、耳を平ら(イカ耳)にしたり、シッポを小刻みにパタパタと動かしたりするていど。それ以上に嫌になった場合は、猫パンチや噛みつくことがあります。
しかも、その時の気分でパーソナルスペースの許容量が変動します。普段はくっついている関係性でも、1人でのんびりしたいときや体調不良時にベタベタされると、猫は嫌がるのです。
パーソナルスペースを無視すると、猫はストレスをため、威嚇や攻撃をしてくるので、猫の様子をよく観察して、その日そのときの距離感を察知してくださいね。
まとめ
猫はパーソナルスペースを重んじる動物ではあるものの、逆に人間のパーソナルスペースについて考えたり、遠慮したりすることはありません。飼い主さんのお腹の上でくつろいだり、読んでいる雑誌の上やパソコンのキーボードの上に乗ったりなど、作業中でも入り込んできます。
そのように、猫が人間にくっついてくるということは、その猫にとって受け入れられている証拠です。もし今はまだ愛猫との距離を感じているのなら、少しずつ信頼関係をアップして「心の距離=0センチ」を、目指してくださいね。