1.骨粗しょう症
カルシウムやリンの不足や過剰摂取によって、骨や歯が正常に作られなくなったり骨からカルシウムが溶け出したります。
猫は完全肉食だからと食事の全てを肉や魚にしてしまうと、カルシウムが不足し、リンを過剰摂取することとなってしまいます。その状態が続くと、栄養性二次性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症となり、骨からカルシウムが溶け出して骨がもろくなります。また、リンを過剰に摂取するとカルシウムの吸収が阻害され、カルシウムを過剰に摂取するとリンの吸収が阻害されます。
2.甲状腺の肥大、脱毛
ヨウ素が不足すると、2つの甲状腺ホルモンの合成に支障が出てきます。その結果、甲状腺をできるだけ頑張って作ろうと甲状腺が肥大することがあります(甲状腺腫)。
甲状腺ホルモンは、細胞の活動やエネルギーの代謝を促進し、たんぱく質合成にも関与しています。大変重要なホルモンで、不足すると活動量が低下したり脱毛や被毛のぱさつきなどが起こります。
ただし、逆にヨウ素を過剰に摂取した場合も甲状腺ホルモンの産生量が減少し、ヨウ素不足と同様の症状が見られると言われています。
3.貧血
赤血球中のヘモグロビンに含まれる鉄が不足すると貧血を引き起こします。
また、鉄がヘモグロビンの構成成分であると同時に、銅は鉄が体内に吸収されたりヘモグロビン内に取り込まれるのを促進するミネラルです。貧血が起こると身体の成長が阻害されたり、体中に必要な酸素が運ばれなくなったりします。
4.神経過敏症
マグネシウムは、神経の興奮や多くの酵素の活性化などの生理作用に関連しているので、不足すると体のあらゆる機能がスムーズに働かなくなります。その結果、神経過敏症や筋肉の運動異常などが起きます。
マグネシウムは骨の発達にも関わっている重要なミネラルですが、食事中に入っているマグネシウムの量が多過ぎるとストルバイト尿結石ができてしまう危険性が高まります。猫の体質や健康状態に合わせてマグネシウムの摂取量を調節することが必要です。
また、尿結石症を早期発見するためには、排泄中の猫の様子、尿の臭いや量、色などを常日頃から観察する必要があります。シニアになった場合は若い頃から、尿検査もを定期的に行うと良いでようにしましょう。
ミネラル不足にしないための対策とは
猫をミネラル不足にしないためには、猫のために作られたフードを主食として与えることが必須です。主食には「総合栄養食」と明記されているキャットフードを選びましょう。
犬も一緒に暮らしているからといって、猫にドッグフードを主食として与えてはいけません。犬と猫では必要な栄養の種類や量に異なる点があり、異なる種のために作られたフードを与えるとミネラルとそれ以外の栄養素の摂取量が適切ではなくなり、体調を崩すリスクがあります。また、ライフステージが大きく異なる猫のフードを与えることも同様に良くありません。
また、病院からの処方がない限り、自己判断で「療法食」を食べさせてはいけません。療法食は病気を治療したり進行を予防するためのフードなので、総合栄養食とは異なり、栄養成分が病気の特性に合わせて偏った組成となっています。そのため、健康な猫が食べ続けると逆に健康に悪影響が出てしまう危険性があります。
これらの注意点を守っていれば、キャットフードを主食にしている猫でミネラルの不足が起こることはまずありません。手作りフードを主食としている猫では、ミネラルも含めてあらゆる栄養素が過不足なく摂取できるような工夫が必要です。
まとめ
猫の『ミネラル不足』が原因で起こる病気4つと、不足しないための対策についてお伝えいたしました。
猫専用でライフステージに合った総合栄養食を食べていれば、健康な猫がご飯が理由でミネラル不足になることはありません。
しかし、病気や体調不良がある場合にミネラルの吸収が阻害されたり、適切ではない食事によって特定のミネラルが不足することがあります。猫の体調で気になることがある場合は、すぐに病院を受診してくださいね。