猫の危険な『下痢』の種類と考えられる原因5つ

猫の危険な『下痢』の種類と考えられる原因5つ

愛猫が1〜2回ほど「下痢」をしただけでも、心配になってしまうのが一緒に暮らす人間です。しかし下痢が原因で猫の様子がおかしい場合は、重大な病気や原因が隠れている可能性があります。それでは見ていきましょう。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

下痢の種類

カラフルなトイレットペーパーの側の猫

形になっている部分が少なくべちゃっとして水分が多い便は「水様性下痢」です。

他にも鮮血がついていたり、「タール便」といわれる黒い便などがあります。

鮮血が付着する場合は肛門に近い大腸などの部分、黒い下痢が出ている時は小腸など上の消化管に問題があります。便の形が整っていてもゼリー状の粘膜がプルプルと付着している場合もあります。

そして脱水症状を起こす危険性のある激しい「急性下痢」、長い間下痢が続き少しずつ体力を奪っていく「慢性下痢」も危険です。危険な下痢は他の症状も伴う事が多いです。

1.消化器系の病気

横になるふっくらした猫

「急性胃腸炎」は、嘔吐と下痢が主な症状です。悪化すると嘔吐と血混じりの下痢を繰り返し、脱水症状を起こす危険性が高くなります。

原因のはっきりしない「慢性胃腸炎」は、数週間に渡って嘔吐や下痢があり、上部消化管といわれる胃などの粘膜がただれるとタール状の黒っぽい下痢になります。

他にも消化管に腫瘍ができていたり、うまくタンパク質などを吸収できなかったり、なかにはごはんに対してアレルギーがある場合などもうまく消化管で吸収できないため下痢を引き起こしたりします。

2.感染症

治療中の子猫

「猫パルボウイルス」の感染によって発症する「猫汎白血球減少症」でも嘔吐や下痢が起こります。悪化すると、トマトケチャップのような血混じり血様の水溶性下痢になり、脱水症状を起こします。

子猫など体力が無い場合だと、命の危険度が高くなります。またこの感染症は感染力が強いため同居の猫さんがいる場合などは特に注意が必要です。

3.寄生虫

治療を受ける猫

多くの寄生虫症は猫に下痢を引き起こさせます。腸に寄生する回虫症、鉤虫症、条虫症などの虫の数が多かったり、体力のない子猫の場合は下痢、食欲不振、腸閉塞、貧血、発育不良など色々なところに害を及ぼします。

原虫による「コクシジウム症」は粘液性の下痢や血便、「ジアルジア症」は水様性下痢や脂肪分の多い黄色っぽい下痢、「トキソプラズマ症」でも下痢、血便の見られることがあります。

4.内分泌の病気

見上げる猫

「甲状腺機能亢進症」でも下痢が起こる場合があります。嘔吐も伴い毛艶が悪くなり、落ち着きもなく攻撃的になったりします。そして多飲多尿になります。

5.異物誤飲や中毒

気分の悪そうな猫

異物を誤飲・誤食し、激しい下痢が何度も続くと、急速に体力が奪われてしまいます。

またネギなどの、猫にとって危険な野菜や植物、殺虫剤や除草剤、洗剤や漂白剤、そして人間の使う薬やサプリメントなどの中毒物質によって下痢が引き起こされる場合もありますので、それらを間違って与える、もしくは誤食させないように気を付けてください。これらは命を奪う可能性も高いです。

まとめ

聴診器で調べられる猫

猫の危険な『下痢』の種類と考えられる原因5つについてお伝えいたしました。

とにかく猫の体力を奪ってしまうので下痢が続くのは問題です。様子がおかしいなと感じる時は早めに病院を受診しましょう!

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