猫は食べ物の温度を鼻で判断している
猫は食べ物を食べる時、鼻で吸い込んだ空気の温度を感じ取って熱いかどうかを判断していると言われています。猫の鼻には温度を感知できる働きが備わっているため、0.5度の温度変化にも反応できるそうです。
猫は動くものを認識する動体視力や暗闇でものを見る力が優れている反面、視力は人間の10分の1程度で0.1~0.2くらいしかありません。そのため、子猫が母猫の乳首を探したり、成猫が食べ物の温度を感じ取って食べられるかどうかを判断したりするためにこの能力が発達したと考えられています。
猫は猫舌とは限らない
猫の舌は温度に鈍感
熱いものを食べることが苦手な人のことを「猫舌」と表現するため、猫は食べ物の温度に敏感で熱いものが苦手だというイメージがありますよね。しかし、実際は全ての猫が猫舌という訳ではないようです。
猫は温度を舌ではなく鼻で感知します。猫の舌は捕獲した動物の肉を骨からそぎ落とす、体毛を整える、水をすくうということが主な役割であり、温度には鈍感だと言われています。そのため、熱いものを食べて動じない猫もいます。
また、猫と始めとする野生動物は熱いものを食べることに慣れていないので、加熱された食べ物を口にして驚くのは当然の反応と言えるでしょう。よって、熱々のものを食べて飛び上がる猫もいれば、熱さを感じない猫もいるというのが現実です。
猫舌という言葉の起源
「猫舌」という言葉は、猫が人間と食事をともにする機会が増えたことで生まれたと考えられています。本来猫の舌は熱さに鈍感ですが、食べ慣れていない人間の食べ物を恐る恐る食べる様子や熱い温度のものを食べて驚く姿を見る機会が多かったために、猫は熱いものが苦手だという認識を人々が持つようになったようです。
猫の食べ物の温度はどのくらいが適切?
猫の食べ物の適切な温度
もともと野生で生活していた猫はネズミや鳥を主食とする肉食動物であるため、食べ物の温度は小動物の体温に近い35度前後が適温だとされています。小動物の中でも高いとされる鳥の体温が40度程度なので、おおよそ30~40度が猫にとって食べやすい温度と言えるでしょう。
キャットフードの温め方
キャットフードは温めることで香りが強くなるので、嗅覚を刺激して食欲を増進させる効果が期待できます。また、ドライタイプのものをふやかす場合は水を加えてから加熱するので、離乳期の子猫や飲み込む力が弱まっているシニア猫に与えやすくなるというメリットもあります。
ドライフード、ウェットフードいずれの場合も、電子レンジで加熱する時は必ず耐熱の容器に移し替え、ラップをしてから加熱します。ドライフードは少量の水を加えてから加熱してください。電子レンジのワット数に応じて10~20秒程度温めたら、食べ物の温度を確認しながら加熱時間を調整していきます。パウチ食品の場合は湯煎で温めることも可能です。
温め過ぎると猫が食べにくくなるので、人肌程度の温度にして与えるようにしましょう。また、電子レンジで加熱する場合は均一に火が通っていない可能性があるため、全体をよく混ぜてから与えてください。
猫は鼻以外は温度に鈍感
鼻以外の部位の温度感知
猫の鼻以外の部分は温度に鈍感です。鼻は0.5度の温度差にも気づくことができますが、気温は6~9度という大幅な変動がなければわからず、体表温度が51~54度になるまで我慢できるとも言われています。
例えば、猫が夏の熱せられた屋根やコンクリートの上を平気そうに歩くのは肉球が温度に鈍いためであり、熱さに対する耐性があるからではありません。
また、多くの神経が集中しているしているヒゲは、空気の流れや湿度などを敏感に感じ取ることはできても、温度の感知には弱いとされています。ただし、頭下毛と呼ばれるあごの下に数本生えているヒゲは比較的食べ物の温度を感じやすいとされているようです。
猫の火傷に注意
温度に鈍感な分、猫を飼う時には熱中症や火傷に気をつけなければなりません。特に冬場はコタツやヒーターに長時間あたることで低温火傷になることが多いので注意しましょう。また、熱い屋根や道路の上を平気そうに歩いていても実は肉球に火傷を負っている場合があります。猫が外出から帰ってきたときは、その都度腫れたりただれたりしていないかを確認すると、火傷が重症化する前に病院に連れていくことができるかもしれません。
まとめ
猫は食べ物の温度を鼻で敏感に感じ取っており、舌や他の部位は意外にも暑さや寒さに鈍感のようです。猫は実は猫舌とは限らないというのも驚きですね。ただし、温度に鈍感だからと言って熱さに強い訳ではないので、温かい食べ物を与える時や冬場にストーブなどを使用する際は、火傷をしないように注意しましょう。