猫の縄張り争いの原因
猫の縄張り争いの原因は、餌の確保が主な目的となっています。特に野良猫は、家猫とは違って自分で食糧を確保して生きていかなければなりません。したがって、縄張りを脅かされるという事は猫にとって深刻な問題となるのです。
縄張りの範囲は、意外と広く設定されています。都会に住んでいる猫は、直径約150メートル、田舎に住んでいる猫の縄張り範囲は直径約500メートル程度あると考えられています。
勿論、都会に住んでいる猫であればあるほど猫1匹に縄張り1つという訳にはいきません。縄張りの一部を共有して生活をしています。猫同士が縄張りに鉢合わせたからといって必ず喧嘩に発展する訳ではないので、ある程度それぞれのテリトリーを共有しつつ生活していると考えられています。
また、縄張り意識があるのは野良猫だけでなく家猫にもあります。家猫は特に自宅も縄張りとして意識していますし、普段の散歩コースも自分のテリトリーとしてマーキングしています。故に、ごく稀ではありますが猫同士の縄張り争いに巻き込まれる可能性もあります。余計なトラブルに巻き込まれたくない場合は、家猫は外に出さないようにしておきましょう。
猫の縄張り争いのルール
まず、自分の縄張りに入って来られたからといって他の猫全員に敵意を剥き出しにする訳ではありません。顔見知りの猫が侵入してきたら、挨拶を交わしてその場は終わります。喧嘩に発展する場合は、相手の猫がはぐれ猫だった場合だけです。
この場合、背中の毛を逆立てて身体を大きく見せる事で相手を威嚇します。その後、相手の出方を見ながら、相手との距離を1メートルにまで近付けて威嚇します。多くの場合、はぐれ猫はここで背中を低くして逃げるのですが、相手が引かない場合は喧嘩に発展します。
攻撃と威嚇を繰り返して、猫は短時間で勝敗の決着を付けようとします。喧嘩といっても相手に大怪我をさせたり、命を危険に晒すような事態にはなりません。少し攻撃をして、一旦様子を見るというサイクルを決着が着くまで繰り返し続けます。降参する側の猫は、白旗を上げる合図として耳を垂らして地面に伏せます。
一方の猫が降参したら、勝った猫はその場を立ち去ります。その後、負けた方の猫は勝った猫がその場からいなくなったのを見届けてからその場を離れます。
基本的に縄張り争いに負けてしまった猫は、その地区のテリトリーには残らなくなるので別の安住の地を求めます。しかし、ボス猫に認められれば、喧嘩に負けたとしてもその地区に残る事は可能です。よって、お気に入りの野良猫が、縄張り争いに負けたからといって会えなくなる可能性が高いという訳ではありません。
猫が縄張り争いをするときの注意点
野良猫同士が縄張り争いをしている場合は、絶対に手を出さないで下さい。特にお気に入りの野良猫がいたとしても、人間に飼われていない以上、どんな病気を持っているかわかりません。万が一、喧嘩に巻き込まれて怪我をした場合、損失の方が大きくなります。よって、野良猫同士の喧嘩は収まるまで見て見ぬフリをしてやり過ごしましょう。
しかし、飼い猫が縄張り争いに巻き込まれている場合は話が違います。大怪我に発展する可能性はありませんが、負けてしまった場合、飼い猫にとっては大きなストレスや不安を抱えてしまうでしょう。したがって、飼い主は出来るだけ飼い猫が喧嘩に巻き込まれないように注意する必要があります。
しかし、どんなに気を付けていても喧嘩に発展してしまう可能性は高いです。そんな時は、霧吹きスプレーをかけたり猫同士や間に板を挟むなど強制的に喧嘩を終了させましょう。間違っても、素手で猫同士の喧嘩を止めようとはしないで下さい。
また、無用な争いに巻き込まれないようにするためにも、飼い猫は出来るだけ室内で育てる方がより安全であると考えます。生活環境を室内に限定する事で、喧嘩に巻き込まれるリスクを減らせるだけでなく、予期せぬ妊娠や病気のリスクも同時に減らす事が出来ます。猫の喧嘩の相手が飼い猫である可能性は低いので、自衛できる部分は積極的に自衛していきましょう。
まとめ
猫の縄張り争いは、攻撃的で激しいイメージが強いですが、意外に猫同士は傷付け合う事を望んでいません。威嚇程度で済むならば、それに越した事はないと考えているようです。
しかし、時には激しい喧嘩に発展する場合があるのも事実です。野良猫同士の喧嘩の場合は収まるまで見守る事が大切ですが、飼い猫が巻き込まれた場合は喧嘩を強制終了させましょう。乱闘中の猫は飼い主が止めに入ったとしても気付かずに喧嘩を続ける事も多いので、決して丸腰ではなく何か道具を用意して猫の喧嘩を止めましょう。
また、縄張り争いを回避するには室内で飼育する事が一番の解決方法です。病気や妊娠のリスクも回避出来るので、猫は出来るだけ室内で遊ばせるようにしましょう。