【獣医が解説】猫の動物病院へのかかり方

【獣医が解説】猫の動物病院へのかかり方

動物病院に連れていくのは、犬より猫のほうが難しいようですね。猫はしつけをすることが難しいので、飼い主のほうが気をつけてあげる必要があります。上手な動物病院へのかかり方をお伝えします。

まずは動物病院選びから

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皆さんは動物病院を選ぶとき、どういったことを重視して選んでいますか?

丁寧に説明してくれる先生がいるところ、手術がうまいと評判のところ、または診療費が安いなど、動物病院を選ぶ基準も人それぞれだと思います。

もちろん、そういったことも大切なことですが、これから何回も行くことになる場所です。

猫にとってストレスが少ない動物病院を選びたいものです。

なるべく、近所の動物病院へ

猫は犬よりも神経質な場合が多いです。

最近は猫をリードにつないで、散歩する方を時々目にするようになりましたが、それでも、そういった方はまだ少数派だと思います。

ほとんどの猫はふだん、室内のみで飼育されています。

部屋から外へ連れ出されることじたいが、猫にとっては非日常的なことです。

猫は車での移動を嫌がる場合がおおく、動物病院に行くまでの間、ずっと鳴きっぱなしという話もよく聞きます。

そのため、移動の時間は最小限にしたほうがいいと思います。

私の経験からもその方が診察もスムーズな場合が多く、長距離を連れてこられた猫は、ストレスでぐったりしている場合もあります。

知人からすすめられたということで、遠くの動物病院へ通っている方もいらっしゃいます。

また、引っ越しをした後も動物病院を変えずに、遠くても通っている方もいますね。

しかし、何回か通っているうちに、自宅近くの動物病院に変わられるかたも少なくありません。

聞いてみると、自分も猫もやっぱり遠くだとちょっと大変だと言われる方が多いです。

診療時間ギリギリに猫が具合が悪くなった場合など、病院が自宅から遠いと、時間外診療になってしまうこともあります。

普段のかかりつけは、なるべく自宅から近い動物病院がいいと思います。

猫の扱いが上手な獣医師に

獣医師にも得手不得手があります。

猫より犬のほうが扱いが上手な獣医師や、その逆の獣医師もいます。

飼い主さんから見て、わかる場合も多いようですね。

この場合、扱いが上手な獣医師が優秀な獣医師で、そうでない場合は悪いというわけではありません。

すべてにおいて完璧な獣医師はいません。

また、相性というのもあります。

この猫とはどうも相性が悪い、といったことも事実あるわけです。

飼い主さんからみてそういったことが何度も確認できたのなら、違う獣医師のもとを訪れてみてもいいかもしれません。

そして、この先生とうちの子は相性がいいなと感じたら、なるべく同じ動物病院に通うことです。

なかには、何回も動物病院を変える飼い主さんがいますが、猫にとってはストレスである場合が多いと感じます。

猫を少しでも病院という特殊な環境に慣らしたいのなら、動物病院はあまり変えないほうがいいでしょう。

動物病院に連れて行く時

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猫を動物病院につれていくのは、犬よりコツがいります。

猫は犬と違い、毎年狂犬病予防のために動物病院につれていく、といったことがありません。

そのため、人によっては数年に一回くらいしか動物病院を利用しないといったこともあるかと思います。

久しぶりに猫を動物病院に連れて行こうと思ったらとても苦労した、といったことにならないよう少し練習しておいたほうがいいでしょう。

まずは、キャリーに慣らす

猫はキャリーに入りたがらない場合が多いです。

出たがらない場合も多く、診察前に獣医師は苦労します。

まずは、普段からキャリーバックに慣らしておくことが重要です。

キャリーに慣らしておくことは、動物病院につれていく場合だけではなく、災害時など、さまざまなときに役立つ重要事項だと私は考えています。

猫が、さっとキャリーに入ってくれるかどうかで、入院中の世話もずいぶんと変わってきますし、嫌がる猫を無理やりキャリーに入れることは、猫にとっても、人にとってもストレスです。

キャリーのなかでおやつを与えるなど、キャリーに対していい印象を猫に与えておくとよいと思います。

もしできるのなら、車にも少し慣らしておくと移動が楽になります。

洗濯ネットに入れる

猫を飼育している方なら、すでに多くの方がご存じのことかと思います。

猫を動物病院につれていく時は、洗濯ネットに入れると、診察がスムーズに行くことが多いです。

猫を洗濯ネットに入れてから、キャリーに入れるようにします。

このとき、チャックはきちんと閉めるようにしてください。

猫が移動中に動いて、ネットから出ていることがよくあるからです。

猫はネットのような袋にいれると、少しおとなしくなる場合が多いです。

また、キャリーからなかなか出たがらないような猫も、ネットの端をつまんでひっぱりだせば、楽に出せます。

猫のストレスも軽減されると思います。

暴れる猫はネットから出さずに、ネットの隙間から注射することもできるので、猫も人も怪我を防ぐことができます。

普段、おとなしい猫も突然、犬の吠え声を聞いたりしてパニックになることがあります。

そんな時ネットに入っている場合と、そうでない場合とでは猫の動作が違ってきます。

やはり、ネットに入っていたほうがじっとしていることが多いと思います。

動物病院につれて行くときには、洗濯ネットにいれたうえで、キャリーにいれるようにしたほうが安全です。

ただし、洗濯ネット+キャリーは温度が上がりやすいので、夏場はエアコンをしっかり効かせて連れていくようにしてください。

待合室に入ったら

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動物病院の待合室は、人や犬猫などがいて、騒がしい場合がありますよね。

最近は予約制にして、混雑しないように工夫している動物病院もありますが、それでも猫にとって異空間であることには違いありません。

他のペットに近づけない

これはたまにみる光景なのですが、飼い主さんが、待合室でかわいい猫を見て、あらかわいい、といって自分の猫を近づけてしまうことがあります。

猫は「シャー」っと威嚇の声を出しているのですが、飼い主さんたちは大丈夫だよといって互いの猫を近づけることがあるのです。

これは、やめたほうがいいです。

診察の前に猫を興奮させると、診察がスムーズにいかなくなることがあるからです。

動物病院はふれあいの場ではありません。

なるべくズムーズに、安全に診察が終えられるよう、猫にも他の人にもストレスを与えないよう気をつけたいものです。

猫に声をかけない

声をかけない、というのは診察室に向かって、ということです。

診察していると、待合室で待っている飼い主さんが、ご自分の猫に声をかけてくることがあります。

「大丈夫だよ。すぐ終わるからね」といった感じで猫をなだめようと声をかけられます。

その声で、おとなしかった猫が動き出してしまうといったことがあるのです。

特に診察室で、自分の猫が暴れている感じがすると声をかけたくなってしまう気持ちはわかります。

ですが、飼い主さんは静かにしていたほうが、診察はスムーズに終わることが多いです。

診察室に猫が入って、検査などで飼い主さんだけ待合室で待っているといった場合は、あとは動物病院のスタッフに任せるようにしましょう。

診察中に気をつけたいこと

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診察はなるべく早めに終えたほうが猫へも負担は少ないと感じます。

早めといっても、診察内容によってはレントゲンを撮らなくてはならない場合など、時間がかかってしまうこともあります。

その場合でも、可能なかぎりスムーズに行いたいと多くの獣医師は考えているはずです。

診察をスムーズに行うために、動物病院のスタッフは訓練をしていますが、飼い主さんの協力も大事になってきます。

診察室での話は手短に

診察室で猫は緊張していると思います。

猫のためには診察は短時間で終わらせるのが一番です。

具合が悪くて連れてきた場合、飼い主さんは猫の症状を獣医師に告げることになります。

何日前から調子が悪そうとか、くしゃみをしているけど元気はある、など伝えることはいろいろあると思います。

猫の症状を告げる場合は、要領よくなるべく短時間で伝えるようにしましょう。

毎回のように診察中に暴れる猫の場合は特に、飼い主さんはなるべく話を短時間で終えるようにしてほしいのです。

これは猫が暴れるまえに、必要な処置をするためです。

なかには家族3人くらいで連れてこらる方もいます。

それぞれが違うことを言うこともあり、その場合、獣医師はとまどってしまいます。

なんども、聞き返さなければならなくなり、診察時間は長くなります。

できれば、診察室内には猫のことを一番見ている人、一人で入ったほうが話がズムーズに進むと思います。

診察室では写真を撮らない

SNSが普及して久しいですが、それに伴い、自分の猫が診察を受けているところを、写真に撮る飼い主さんがときどきいます。

基本的に診察中の撮影はNGだとお考えいただきたいと思います。

猫にも、または獣医療従事者にも精神的な負担になる場合があるからです。

診察はエンタメではないため、写真撮影は控えましょう。

動物病院によっては事前に言ってもらえれば大丈夫ですよ。というところもあります。

その場合でも、極力写真は控えたほうがいいと思います。

診察室では、猫にあまり刺激を与えないようにしたいものです。

診察台では猫のおしりを獣医師側に向ける

猫をキャリーから出して診察台にのせたら、飼い主さんは猫と向かい合って、軽く支えてあげてください。

猫が飛び降りたりしないように、体をささえてあげます。

この際、獣医師側に猫のおしりを向けるようにします。

猫がいつもおとなしく、獣医師に頭をなでさせるといった場合には方向はどちらでも構いません。

しかし、猫が「しゃー」といって警戒している場合や、前回来たとき少し暴れたといった場合には、顔を獣医師側に向けないようにします。

過度に緊張している猫は、獣医師と目があった途端、逃げるか、手を出そうとすることがあるからです。

獣医師の顔を見せないほうが、診察やワクチン接種がスムーズに進むことが多いです。

診察中によく暴れる猫は一度試してみてください。

繁忙期は避ける

4月から6月末までは犬の狂犬病予防月間となっています。

たくさんの犬が動物病院に来院します。

この時期は動物病院が一年で一番忙しい時期です。

毎年、この時期にも猫のワクチン接種に大勢の方が訪れますが、ここでひとつ提案したいことがあります。

できれば、動物病院の繁忙期には来院をさけたほうがいいと思うのです。

病気や怪我ならしかたありません。

しかし、ワクチン接種は毎年行ったほうがいいとは言え、そこまで厳密なものではありません。

昨年6月に接種した猫が今年は8月となってもほとんど問題ありません。

ペットホテルに預ける場合など、証明書の提示が求められる場合には、一年以内に打っている必要があるかもしれませんが、それ以外はほとんど問題ないと思います。

猫のストレスを考えると混んでいる場所に行ったり、車のなかで長時間待ったりするのは避けたほうがいいと私は考えます。

まとめ

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ここまで、猫を動物病院につれていくときに、知っておいたほうがいいことを説明してきました。

猫は動物病院が嫌いです。

ほとんどの猫は、車に乗せられることも嫌がります。

ようするに、猫のストレスを最小限にしてあげたいと思ったら、なるべく近場の動物病院で慣れている先生に診てもらったほうがいいということです。

そして、飼い主さんは診療時間が極力短くなるように、獣医師に伝えることは要点をまとめておくことです。

緊急時以外は比較的空いている時期を選ぶと、なおいいと思います。

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