こんな時は要注意!よく見かける「猫の排尿トラブル」。早期発見のポイントやトラブルのサインを獣医が解説

こんな時は要注意!よく見かける「猫の排尿トラブル」。早期発見のポイントやトラブルのサインを獣医が解説

猫ちゃんの飼い主さんは高齢になると多くの猫ちゃんが腎不全などの泌尿器トラブルに直面する可能性が高いことはご存知である方が多いでしょう。気を付けるべきトラブルであることは知っていても、何に注意をしなければいいのかわからないという声を良く聞きます。どんなことに注意をしたらいいのでしょうか。

猫ちゃんによく起こりやすい泌尿器トラブル

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猫ちゃんといえば泌尿器トラブルに注意が必要ということはよく知られていることだと思います。

注意と言っても、現実問題として何を気を付けたらいいかわからなくて、対策が出来ていないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

まず、どんな疾患に注意が必要か知っておきましょう。

腎不全

高齢になった猫ちゃんの多くが直面するのが腎不全です。

腎不全とは腎臓機能が低下して、本来腎臓によって保たれている水分量の確保や毒素の排出などが行われなくなる疾患です。

急激に状態が悪くなる急性の腎不全と、徐々に症状が悪化する慢性の腎不全が存在します。

症状が重度になると、脱水の程度も重度になることや、毒素が体内に蓄積することで中毒症状を起こし、死に至る危険性もあるため注意が必要です。

尿路結石や尿結晶

膀胱や尿路の中に結石と呼ばれる石が出来る尿路結石も起こりやすい傾向があります。

体質もありますが、膀胱内環境や尿の性質によって尿中に含まれたカルシウムやリン、マグネシウムなどのミネラルが石になってしまう疾患です。

結石が大きくなると尿路を閉塞してしまうことで排泄が出来なくなり、尿毒症を起こして死に至る危険性もあります。

結石になる前に、尿中に結晶が排泄されることが多く、定期的な尿検査や尿結晶の段階で気付けると、結石が出来て排尿が出来なくなることを予防できる可能性が高いです。

膀胱炎

猫ちゃんによく起こるのが膀胱炎です。

膀胱炎というと細菌感染というイメージが強いですが、猫ちゃんの場合特発性膀胱炎と言って、原因不明の膀胱炎を頻発するケースもよく見られます。

膀胱炎によって、排尿痛や頻尿、血尿などが見られ、猫ちゃんにとって負担になってしまう場合が多いです。

負担を軽減してあげるためにも、早期に気づいて治療をしてあげられると良いでしょう。

泌尿器トラブルを早期発見するために

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これらの泌尿器トラブルはいずれも猫ちゃんの健康面で大きな問題となり、違和感などで精神的な負担もかけてしまう場合があります。

少しでも負担を軽減してあげられるよう、早期発見をしてあげられることが望ましいです。

ではどのようなことに注意しておけばよいのでしょうか。

尿量の変化

普段と比較して尿量が増えた、減ったなどの変化が見られた場合、泌尿器トラブルや機能低下が起こっている可能性があります。

腎不全の場合、必要な水分も排出してしまうため、尿量が増えうすい尿が排泄されます。

一方で、膀胱炎になると尿を膀胱が溜めておくことが出来ないため、尿量が減り頻回排出される傾向があります。

尿路結石の場合、尿路を結石が邪魔してしまっているため、排泄される量が減ることや、排尿しようとする姿勢をとるものの実際に排泄された尿量が少なかったり全くないということもあり得ます。

このように、それぞれの疾患に特徴があり、尿量が関係していることが多いため、早期発見のためにも尿量の把握は大切です。

尿の回数

尿の回数もとても大切です。

例えば、きちんと排尿が出来ているのかということは、毒素を体内に蓄積させないためにもとても大切です。

尿量が減っていても、少量ずつ頻回で排泄できていれば、全く排泄できていない状況と比較すると死に直結する危険性は低下します。

一方で尿の量も少量で排尿回数も少ない場合、腎臓への負担や機能低下の可能性も考えられ、毒素による中毒症状の危険性が生じ、尿路の確保のための処置などが必要です。

受診時に尿の回数なども把握できていると、より診察もスムーズに進む可能性が高いです。

出血の有無

尿の色や形状も大切な要素の一つです。

尿の持つ情報の一つに出血の有無が含まれます。

普段の尿の色を把握しておくことは大切ですが、観察をする際に出血による色の変化があるとわかりやすいため、初期に気付ける症状の一つとして出血が挙げられます。

尿中に血液が混じる病気以外の減少として他の動物では発情出血がありますが、猫ちゃんの場合発情出血は起こりません。

女の子の猫ちゃんの場合、発情期かと勘違いしてしまいがちですが、猫ちゃんに尿中の出血がある場合は高確率で疾患によるものであることが多いです。

気を付けましょう。

実はこんなことも泌尿器トラブルが起きている可能性があるサイン

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尿の性状について、観察時に気づきやすい要素をお話させていただきました。

実は普段の行動で、泌尿器トラブルである可能性があるサインを示すこともあります。

粗相の頻発

猫ちゃんは、砂のある場所などにトイレをする性質を持つため、若齢の頃からトイレの粗相の少ない子が多いです。

普段はトイレの失敗をしないのに、粗相を頻発するようになったのであれば、泌尿器トラブルの可能性があるかもしれません。

なぜかというと、尿量の増加や排尿痛などで排尿コントロールがしづらくなっている可能性があるのです。

併せて尿量の変化や尿の色などの変化が無いかどうか確認してみましょう。

飲水量の変化

腎不全になると、体が必要な水分まで尿として排出してしまう傾向があることをお話させていただきました。

そのため、体は脱水傾向が強くなるので水をよく飲むようになります。

多飲多尿と呼ばれ、尿量の増加とともに飲水量が増えた場合は注意が必要です。

給水器であれば変化もわかりやすいと思います。

ボウルなどの場合は水位にマーカーを付けて、24時間後にどの程度減ったかを調べてみると把握しやすいためおすすめです。

排尿時の行動変化

排尿痛や違和感によって排尿が上手くできない際に行動変化も現れやすいです。

トイレに入ったり出たりを繰り返すのであれば膀胱内にたまっている尿が出し切れていなかったり、膀胱炎などにより残尿感があることからきている行動の可能性が高いです。

トイレに入った後に、尿がきちんと出ているかどうか、尿の性状に変化は無さそうかどうかということも観察できると安心です。

便の様子の変化

いつもよりも便が固くなるなども、実は泌尿器トラブルに関連している可能性があります。

腎不全により水分が減少してしまっているため、便中の水分も減少して硬くなってしまっていて便秘が起こることがあります。

便秘が起こったり、トイレで踏ん張っていても排便できないなどの排便困難が以前と比較して見られるようになった場合、腎不全や腎機能の低下が起こっている可能性があるかもしれません。

気付いたら早めに受診をして検査をすることをおすすめします。

まとめ

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排尿トラブルというとイメージをしづらいですが、このようにたくさん家庭で気付けるサインがあります。

排尿痛などの違和感は猫ちゃんにとっても負担になります。

早い段階で負担を軽減してあげられるように、早期発見をして受診をするよう心がけましょう。

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