オオヤマネコとは?
オオヤマネコとは主にユーラシア大陸に生息している大型のネコ科動物です。私たちが一般的に猫と呼ぶイエネコよりも野性味あふれる顔立ちをしており、カラダもどっしりとしていて大きさも5~35Kgとかなり大きいのが特徴です。
イエネコというよりは、ライオンやトラと似ていて、性格も警戒心が強く獰猛になりやすいようです。まさに野性味あふれる見た目で、自宅でペットとして飼うということに違和感を感じてしまいますが、オオヤマネコはペットとして飼育することが可能というのですから驚きです。
ちなみに餌はウサギやリスといった小動物を口にするほか、鳥類、両生類、昆虫なども食べます。完全なる夜行性で基本的に単独行動をしています。
オオヤマネコの種類
オオヤマネコは、北アメリカやユーラシア大陸の北部に生息している中型ヤマネコの総称で、以下の4種類がいます。
ヨーロッパオオヤマネコ(シベリアオオヤマネコ)
By Martin Mecnarowski (http://www.photomecan.eu/) - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
ヨーロッパからシベリアの森林地帯に生息していて、身長が70~130cm、体重が14~23kgほどのオオヤマネコです。分布域が広いので、ヨーロッパオオヤマネコを指してオオヤマネコと呼ぶ場合も多いようです。被毛の色は黄褐色や赤灰色で、斑点があります。冬は灰色が強くなるようです。
カナダオオヤマネコ
By kdee64 (Keith Williams) - Flickr, CC 表示 2.0, Link
アメリカ北部からカナダ、アラスカの針葉樹林に生息しているオオヤマネコで、身長が60~110cm、体重が7~17kgです。被毛の色は茶褐色で冬は灰色が強くなります。寒冷地でも暮らせるように厚い毛に覆われています。
スペインオオヤマネコ
By (c)"Programa de Conservación Ex-situ del Lince Ibérico www.lynxexsitu.es" - http://www.lynxexsitu.es/ficheros/galerias_fotos/16/linces19.jpg, CC BY 3.0 es, Link
イベリア半島に生息しているオオヤマネコで、身長が80~110cm、体重が9~20kgで、被毛の色が黄褐色で冬は灰色が強くなります。ヨーロッパオオヤマネコよりも毛が短く、尾にも斑点がみられます。オオヤマネコの中でも生息数が少なく絶滅危惧種に指定されています。
ボブキャット
By コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Calibasだと推定されます(著作権の主張に基づく)Link
カナダ南部からメキシコ北部のヤブ地や森林、岩場などに生息しているオオヤマネコで、身長55~100cm、体重5~15kgで、夏毛は黄色がかった赤褐色で、冬毛は灰褐色で毛が夏より長くなります。飼い猫のピクシーボブは、ボブキャットに似るように交配して生まれてきた猫種です。
オオヤマネコの特徴
寒さに強い
オオヤマネコの特徴は寒い地域に生息しているため寒さに強いという点です。イエネコは元々エジプトが原産地であるため、暑さにはそこそこ耐性がありますが、寒さに関しては弱い傾向にあります。
しかし、オオヤマネコは雪の降るような地域に生息しているため足先にも長い毛があり雪の上でも平気で歩けます。また毛も長いため防寒対策もバッチリされているのが特徴だといえます。
泳ぎが得意
猫といえば水が苦手というイメージが強いですが、オオヤマネコは泳ぎが上手で川や湖などを泳いで渡る姿を見ることもあります。さらに家庭で飼われているオオヤマネコでも、プールで遊んだり飼い主様と水泳を楽しむことができるというのですから、驚きです。
目がいい
オオヤマネコの特徴はもう一つ、視覚がとても発達していて数キロ先までみることができるという目の良さです。はるか彼方の小さな獲物でも瞬時に発見し捕らえられるその能力は、他の動物の中でも群を抜いているといわれています。
オオヤマネコの性格
人間に友好的
獰猛な動物だと言われていますが、小さな頃から人と共に暮らしているオオヤマネコの場合、人間に対して友好的になるだけではなく、愛情深く接してくれるようになるといわれています。
カラダが大きく、運動能力もかなり高いため接するときには十分に注意をしなければいけませんが、愛情をかけて育ててあげれば最愛のパートナーになるはずですよ。
活発
野性味あふれるワイルドなオオヤマネコは、その見た目通り大変活発で遊ぶことが大好きです。そのためオオヤマネコをペットとして飼育する場合は、十分に遊べるスペースを用意してあげるのと同時に、一緒に遊べる時間も確保をしないといけません。
本来であればハンティングをすることで満たしているはずの狩猟本能を自宅で解消してあげるためにはどうすればよいのか、ぜひ試行錯誤をしてほしいところです。
なつっこい
小さなころから飼育されているオオヤマネコは、人に慣れることも多いためうまくいけばリードを使って散歩をさせることも可能です。実際に海外だと、オオヤマネコと一緒に散歩を楽しむ飼い主様の姿を見かけるようです。
ただし、日本ではオオヤマネコのような特定動物を勝手に散歩させることは禁止されているので、自分の家の敷地内だけで楽しむようにしましょう。
オオヤマネコはペットとして飼える?
- ペットとして飼育可能
- 特定動物愛護管理法で特定動物(危険な動物)に指定されている
- 都道府県知事又は政令市長の許可が必要
ペットとして飼える
オオヤマネコは日本でもペットとして飼育する事ができます。
オオヤマネコを飼育するためには許可が必要
しかしいずれのオオヤマネコも日本では、動物の愛護及び管理に関する法律(特定動物愛護管理法)の特定動物(危険な動物)リストに入っています。トラ、タカ、ワニ、マムシなどの哺乳類や鳥類、両生類など、650種がこのリストに入っており、環境省のホームページで確認することができます。
したがって、オオヤマネコを飼う場合は、ペットとして飼う予定場所の都道府県知事又は政令市長の許可が必要です。
ペットとして飼うための基準
オオヤマネコを飼う許可を得るには、次のような守るべき基準もあります。
- 一定の基準を満たした「おり型施設」で飼うこと
- 「おり型施設」は、逃げ出さないような強度と構造であること
- 定期的な施設の点検が必要
- 第三者が接触しないようにすること
- オオヤマネコを飼っていることを表記すること
- 飼育施設の外では飼わないこと
- マイクロチップなど個体識別装置を付けること
ペットとして飼うための申請先
手続などは、都道府県又は政令市の動物愛護管理行政担当部局に問い合わせるといいようです。環境省自然環境局のホームページには自治体の連絡先一覧もあります。
無許可で飼育するのは法律違反
無許可でオオヤマネコを飼育すれば、個人の場合は6か月以下の懲役や100万円以下の罰金が科せられます。オオヤマネコを飼うと決めたら、必ず許可を受けましょう。
オオヤマネコをペットとしてお迎えする方法
海外から輸入する
現在、日本にはオオヤマネコを繁殖している人がいないようですので、オオヤマネコをペットにするには海外から輸入する必要があります。海外ではオオヤマネコをペットと飼っている人もいるようです。ペットショップにお願いして輸入してみるのもよいかもしれません。
インポートサイト・海外のブリーダー
ペットショップの中には、時々、インターネットでオオヤマネコの広告を出すところもあるようです。また、インポート・サイトなど、海外のブリーダーとのやり取りをサポートしてくれるサイトもあるようですので、そちらを利用するとオオヤマネコが手に入るかもしれません。いずれにせよ、かなり高額な費用がかかるようです。
以上のように、オオヤマネコには生息域や体の大きさなどには差がありますが、普通の猫の平均体重が3.5~4.5kgと言われていますから、最も小さいボブキャットでもかなり大きいことがわかります。いずれのオオヤマネコも筋肉質でがっしりした体つきで、四肢が長く、足先が広いという外見が共通しています。また、耳の先には黒い飾り毛があり、頬には長いふさ状の毛があります。
オオヤマネコの生態
オオヤマネコは夜行性で、主に単独で行動します。ふだん、オオヤマネコは、リスやウサギなどの小動物を主に捕らえて生息している肉食動物です。この他、鳥や魚、両生類や昆虫なども食べるようですが、冬場、小動物の捕獲が難しいときには、大きなグループを作ってトナカイやイノシシなどを捕食することもあるようです。
オオヤマネコは、広い行動域を持ち、一晩に20km以上移動することもあります。木登りや泳ぎもうまく、跳躍力にもすぐ、荒い性格です。寿命は野生では10~15年といわれていますが、動物園などで飼育されれば20年を超えることもあるようです。
かつては生息数の多かったオオヤマネコも、生息環境の変化や交通事故、毛皮目的の密猟などにより今では数が減り、中央及び西ヨーロッパ地域では絶滅しています。
オオヤマネコに関するまとめ
オオヤマネコは、ユーラシア大陸や北アメリカに生息している中型ヤマネコの総称で、海外ではペットとして飼っている人もいるようです。しかし、オオヤマネコは野生のままの性質で気性も荒く、日本で飼うには特別な飼育環境を整えて許可をもらわなければなりません。おまけにオオヤマネコを手に入れるには輸入に頼るしかなく、かなり高額になるようです。どうしてもオオヤマネコをペットにしたいならば、相当の覚悟が必要でしょう。