猫にヨーグルトを与えてもいい?
ヨーグルトはお腹の調子を整えるなど良い効果が期待できるので、健康のために普段からよく食べている方も多いのではないでしょうか。
猫はヨーグルトの匂いに惹かれて舐めてしまうことがあります。ヨーグルト自体には猫が中毒になるような物質は含まれていませんので、少量であれば舐めても問題ありません。
ヨーグルトが好きで欲しがる猫もいるかもしれませんが、与え方や量などに気をつけて様子を見ながら与えましょう。適切に与えれば、猫にとっても健康維持の手助けとなってくれる食べ物です。
与え方には注意が必要だが健康効果が期待できる
猫は牛乳を飲むと下痢をしてしまうことがありますが、牛乳に含まれる乳糖への耐性が低いために下痢や嘔吐などの症状が出てしまいます。
ヨーグルトは製造過程で発酵をするため牛乳そのものよりも乳糖は少なく、下痢などの症状が出るリスクは下がりますが、猫の体調をよく見て判断してください。
猫とヨーグルトの相性に応じ、注意して与えることで、以下のような健康サポート作用が期待できます。
- 便秘や下痢の解消
- 免疫力のアップ
- 口腔内のトラブル解消
成分を調整してある猫用ヨーグルトの活用もおすすめ
人用のヨーグルトには脂肪分・糖分や添加物が含まれているものが多く、カロリーオーバーや食物アレルギーなど与えるには不安な点があります。
猫の健康上の安全を考えると、猫のために成分調整がされた猫用ヨーグルトがおすすめです。
猫用ヨーグルトは生乳と水だけで作られていて、水状のドリンクタイプやとろみのあるタイプ、冷凍できるタイプなど猫が食べやすいような工夫も施されています。
ヨーグルト好きの猫には、ぜひ犬猫用のヨーグルトの活用も検討してみてください。
消化管が未発達な子猫には与えない
ヨーグルトの健康効果を知って、子猫に与えたくなるかもしれませんが、内臓や消化管が未発達な子猫には与えないようにしましょう。
猫がヨーグルトを食べられるようになる時期については、「生後3カ月」以降とされています。ただし、子猫のうちから偏食になったり、慣れない食べ物に対して強い拒否反応を示したりすることがあるため注意が必要です。
猫がヨーグルトを食べることで期待できる効果
ヨーグルトに含まれる乳酸菌の働きによって、さまざまな健康効果が期待できます。
ただし、与えすぎや頻度が多いと体調を崩す可能性があること、人間で実証された効果でも体の仕組みが異なる猫には必ずしも有効ではないことを認識しておきましょう。
善玉菌を増やすことで便秘や下痢を改善
ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が豊富に含まれているほか、ヨーグルトを食べている時に出てくるホエー(ホエイ/乳清)と呼ばれる液体もお腹の調子を良くする作用があります。
お通じが良くなると、便秘が改善されて体内に溜まった毛玉が出やすくなるだけでなく、善玉菌と悪玉菌のバランスが整うため、軟便や下痢が改善されます。
ただし、病気による便秘や下痢の場合は、症状を悪化させる可能性がありますので、自己判断で与えるのではなく、獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
腸内環境を整えることで免疫力が高まる
乳酸菌の働きで腸内環境が整うと、胃腸の働きも改善していきます。腸の働きが活性化すると免疫力がアップするので、健康維持のサポートに一役買ってくれるのです。
カルシウムが摂取できるので骨や歯が強くなる
ヨーグルトにはカルシウムをはじめとするミネラルが含まれており、骨や歯を丈夫にする効果が期待できます。一方で、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは摂り過ぎると結石ができやすくなるので、摂取量には十分注意しましょう。
口内の細菌を減らして口臭や歯周病を改善
ヨーグルトに含まれる乳酸菌には、口の中の細菌を減らす作用があります。口内環境の悪化による口内炎や歯肉炎、歯周病などのトラブルを改善し、口臭予防も期待できるのです。
猫にヨーグルトを与える正しい方法
猫のためのヨーグルトの選び方とポイント、正しい与え方、ヨーグルトを使えるシーンを紹介します。
人間用ヨーグルトは無糖で無脂肪のものから選ぶ
猫に人間用のヨーグルトを与えるのであれば、プレーンな無脂肪の無糖ヨーグルトを選びましょう。
市販されている人間用のヨーグルトには、フルーツ入りヨーグルトやアロエヨーグルトなど様々な種類のものがありますが、食物アレルギーのリスクがあるので注意が必要です。
また、砂糖や甘味料を使った甘いヨーグルトを与え続けると、糖分の摂りすぎになり、太りやすくなるだけでなく、糖尿病のリスクも出てきます。猫の舌は人間と違い甘味を感じないため、甘さは必要ありません。
猫に毎日与えるなら少量ずつにしておく
総合栄養食で栄養バランスが保たれている場合は、猫にヨーグルトを頻繁に与える必要はありません。ただし、猫の腸内環境を整えるために毎日ヨーグルトを与える場合は、食べ過ぎによる肥満を防ぐため、少量ずつ与えるようにしましょう。
病気や疾患のない成猫の場合、1日あたりティースプーン1~2杯程度、子猫の場合はティースプーン0.5~1杯程度を適量になります。
食欲が落ちている猫の餌にトッピングする
猫が餌を食べてくれない時は、少量のヨーグルトをいつもの餌に混ぜてみたり、ヨーグルトにササミや野菜を混ぜるアレンジレシピなどを試してみると食いつきが良くなることがあります。
ヨーグルトに含まれる乳糖が気になる方は、無乳糖の豆乳で作ったヨーグルトを使うことをおすすめします。調整豆乳には砂糖や食塩が含まれているため、ヨーグルトを与える際は無調整豆乳を選びましょう。
薬をヨーグルトに混ぜて投薬に利用する
猫は酸味や苦味を感じやすいので、投薬が難しくなります。
どうしても薬を与えなければならないが、飲んでくれない場合は、薬にヨーグルトを混ぜると猫が舐めやすくなります。また、ヨーグルトにはちみつを混ぜることで、薬独特の苦味を軽減する効果もあります。
多くの場合、薬は1日に数回投与されるので、1回に与えるヨーグルトの量に注意してください。
歯磨きなどの口内ケアに活用する
歯磨きペーストの代わりにヨーグルトで磨いたり、水を切った固めのヨーグルトを咀嚼させたりすることで、口腔内のケアにも活用ができます。
ヨーグルトを猫の口に入れてから20分ほど水を飲ませずにおくと、乳酸菌が口内に留まってくれるのでより効果的です。
猫にヨーグルトを与える際の注意点
ヨーグルトは猫に対しても良い効果を発揮してくれるのですが、与える際の注意点もしっかり把握しておく必要があります。
病気を抱える猫は獣医師に相談してから与える
病気の治療をしている猫にヨーグルトを与えることは、自己判断で行わないでください。ヨーグルトの成分が猫の健康に及ぼす影響については、明確に把握されていないことが多く、悪影響を及ぼす可能性があります。
また、病気治療のために療法食を与えている猫の場合は、効果に影響が出ないかどうか、事前に獣医師に相談しましょう。。
乳糖不耐による嘔吐や下痢が起きた時には受診する
ヨーグルトは牛乳を飲むよりもお腹を壊すリスクは低いですが、絶対に症状が出ないとは言えません。
- 食べたヨーグルトを吐く
- 食べた後に下痢や嘔吐がある、
- 消化不良になる
など、乳糖不耐症の症状が疑われる場合は、ヨーグルトの給餌を中止し、すぐに獣医師の診察を受けるようにしてください。
中毒を引き起こすリスクがある果物入りのヨーグルトは避ける
人間用のヨーグルトの中には、果物や果物のエキスが含まれているものがありますが、これらは猫が中毒を起こす可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。
特にぶどう、レーズン、いちじくは中毒を起こしやすく、最悪の場合死に至ることもあります。その他、マンゴーやパイナップルなど、食物アレルギーを引き起こす可能性のある果物も避けた方がよいでしょう。
乳製品が苦手な猫には無理に食べさせない
猫にも食べ物の好みがあり、乳製品が苦手で食べない猫もいます。猫がヨーグルトを嫌がる場合は、健康のためとはいえ無理に食べさせず、乳酸菌のサプリメントを上手に活用しましょう。
尿路結石につながるため過剰に摂取させない
ヨーグルトにはカルシウムが豊富に含まれていますが、適量を超えた過剰摂取を続けると、尿路結石を発症するリスクが高まります。
尿路結石は、結石が尿管に詰まり、おしっこや痛みを引き起こすことがあります。健康維持のために与えている猫に辛い思いをさせないためにも、適切な量と頻度を守りましょう。
ヨーグルトで腎不全が治るわけではない
腎不全の猫にヨーグルトが有効という噂がありますが、科学的に証明されているわけではありません。乳製品に含まれるマグネシウムやリンの摂りすぎは腎臓に負担をかけるので、猫に与える場合は獣医師と相談して判断を仰いでください。
まとめ
私たちの体にさまざまな健康効果をもたらしてくれるヨーグルトは、猫にとっても健康をサポートしてくれる心強い食べ物です。果物や砂糖を加えたヨーグルトは避け、無糖・無脂肪のプレーンヨーグルトを選びましょう。
猫に与える量は、1日にティースプーン1~2杯程度が目安です。子猫の場合は、生後3ヵ月以降から、成猫の半分程度の量を与えても大丈夫です。
猫がヨーグルトを摂取しすぎると、肥満や尿路結石、乳糖不耐症による消化器症状などの副作用のリスクが高まりますので、意しましょう。
ヨーグルトは、猫におやつとして与えるだけでなく、投薬や食欲増進など、さまざまな用途で利用することができます。猫の体質に合えば、腸内環境の改善、口腔ケア、免疫力アップなどの健康効果も期待できます。
ただし、病気のある猫はヨーグルトを与える前に獣医師に相談し、食後に下痢や嘔吐が見られた場合は、すぐに受診しましょう。ヨーグルトの与え方、量、頻度に気をつけながら、愛猫の健康な体をサポートしてあげましょう。