Laylaの猫コラム 「猫は飼い主を選んでやってくる」ボブという名の猫のお話

出会い

ボブとジェームズの出会いは、ある日怪我をしたノラ猫をジェームズが見つける事から始まります。

当時売れないストリートミュージシャンだったジェームズは、日銭を稼ぐのがやっとの生活。帰る場所もなく、ついには路上生活をするホームレスに。人生に絶望し、薬物依存になってしまいます。

その後ボランティア団体のサポートにより、公営アパートに住みながら薬物の更生プログラムを受け始めます。

そんな時、怪我をした茶トラの猫がジェームズの前に現れます。

『可哀想だけど、お前の面倒はみてやれない…』

そう言って立ち去ろうとしますが、ジェームズはどうしても怪我をしたその猫を放っておけませんでした。

ノラ猫を病院へ連れていくジェームズ

せめてこの怪我だけでも…とジェームズは身銭をはたいて動物病院へ連れていきます。

「２週間も安静にすれば良くなるよ」

医師のその言葉にホッとしますが、治療費を聞き愕然。22ポンド(約3600円)、それは当時のジェームズが１日中歌って稼げる額を超えるものでした。

『２週間だけ』とジェームズは猫を保護しますが、段々とその存在に癒され、愛情が湧いてきます。

お別れの時

２週間が経ち、ジェームズは猫を数キロ離れた公園へ連れていきます。

『俺にはお前を養ってやるお金がないんだ』

さよならを告げますが、何と帰宅すると、猫はジェームズの家の前で待っていました。その姿を見た時、

『この猫も自分と同じ、帰る場所がどこにもないんだ…』

そう感じたそうです。

幸運を運ぶ猫だった

ジェームズは猫を＂ボブ＂と名付け、一緒に生きる事を決めます。

ある朝ジェームズがストリートライブに向かうと、ボブは後をずっと追いかけ、バスに乗り込んでしまいます。そして大人しくジェームズの肩に乗ります。

仕方なくボブを連れてライブを行うと、この日の収入は３倍に。可愛いボブに、多くの人が足を止めたのです。

相棒になったボブとジェームズ

それからボブとジェームズのコンビは有名になり、沢山の人が彼らに会いにきてくれました。

演奏後のハイタッチが何とも可愛らしく、

ボブはマフラーのプレゼントをいっぱいもらいます。

薬物依存を克服

豊かな暮らしを手に入れた彼らですが、同時に嫌がらせなど、数々の困難も訪れます。そしてまた稼ぐ事のできない、元の暮らしに戻る恐怖を味わいます。

ストレスからジェームズは薬物に手を出しそうになりますが、以前とは変わった事があります。

それは、愛するボブの存在。

ジェームズはボブに出会って、初めて生きる意義を見い出したそうです。

＂自分を必要としてくれる誰かがいる＂

その事がジェームズに勇気を与え、苦しい禁断症状も乗り越えます。もがくジェームズの側を、ボブは片時も離れず見守ってくれたそうです。

映画デビューへ

薬物依存を克服し、また路上で活躍するボブとジェームズを、出版社が注目します。それからボブとジェームズの物語が書籍化され、2017年には映画化までされました。

１人の男性の人生を変えたボブ。けれど、あの日怪我をしたボブをジェームズが救わなければ、この素晴らしい未来はなかったのです。

最後に

ジェームズは本の印税を全てチャリティーに寄付しています。

『ボブと暮らせればそれでいい』

そんな欲のない、愛に溢れたジェームズだからこそ、ボブは彼を選んだのだと思います。ドン底まで落ちた彼に、天は最高のパートナーというギフトを恵んでくれたのですね。

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