猫が抱っこされる人を選んでいる理由

1.信頼できる人にしか抱かれたくないから
猫は本来、ある程度の高さから落下しても対応できる柔軟な身体をしているため、安全に着地できます。とは言え、いつ落とされるかわからないような人には抱かれたくないはずです。
抱かれるということは、今いる場所から強制的に移動させられ、かつ体を拘束される行為です。そのため、信頼できる人にしか抱かれたくはないでしょう。
2.しつこい人には抱かれたくないから
何をするにもしつこくしてくる人がいます。猫にも社会性はありますが、基本的には自立心の強い、他人に影響されない生き方を好む動物だと考えられています。そのため、いつもしつこく撫でたりかまったりする人には、抱かれるのも敬遠してしまうことでしょう。
3.抱かれると嫌なことをする人には抱かれたくないから
いつも抱っこされると必ず嫌なことをする人がいます。それは、決してその人の悪意からではなく、「歯磨き」とか「爪切り」などの、必要不可欠な行為の場合もあります。
しかし猫には、その必要性が分かりません。そのため、抱っこされるといつも嫌なことをする人には抱っこされるのを嫌がるのです。
また、いつもなら喜んで抱かれる人であっても、「あ、嫌いな歯磨きをするつもりだな」と察知されてしまうと、そのときに限っては抱かれまいと逃げてしまうことも多いです。
4.そもそも嫌いな人には抱かれたくないから
猫にも、それ以上他人に踏み込まれたくないパーソナルスペースがあります。しかし、抱かれている状態は、相手の体と自分の体が密着しています。パーソナルスペースに土足で踏み込まれてしまうような状態なので、当然嫌いな人に抱かれたいわけはありません。
5.降りたい時に降ろしてくれる人に抱かれたいから
抱かれている間は、猫にとっては拘束されている状態です。そのため、長時間抱かれていたいと言う猫は、ほとんどいないでしょう。
猫が降りたいという意志をボディランゲージで示したときに、それを察してすぐに降ろしてくれる人には、安心して抱かれることができるでしょう。
猫はなぜ相手によって反応を変えるのか

自分にとってメリットのある人と積極的に関わりたい
猫は、周囲の人たちに対して「我関せず」といった表情で、飄々と暮らしているように見えるかもしれません。しかし実際には、ご家族のことをとてもよく観察し、それぞれの性格や行動パターン、猫への接し方などを把握しています。
そのため、お腹が空いた時には誰にアピールすればご飯をもらえるのか、ご飯の時間ではなくてもおねだりをすればおやつをくれるのは誰か、一緒に遊んでくれるのは誰かといったことをしっかり理解しています。そして、自分の現在の要求に対して対応してくれる適切な人を選んで行動します。それが、私たちには相手によって反応を変えているように見えるのでしょう。
怖い人や何をするかわからない人とは関わりたくない
猫は、自分に対して脅威を与える人、つまり怖いと思っている人や、自分に対して何をするかわからないような人とは関わりたくないと思っています。この気持ちは、私たちにも当てはまる心理です。
警戒心が強く、自立心の強い猫にとっては、積極的に関わる相手や、逆に接触を回避すべき人を選ぶことが、自分の身を守り、安心して暮らしていくために必要不可欠な手段なのです。
自分に無関心な人は嫌いではない
猫にとって、自分に無関心な人は、決して嫌いではありません。なぜなら、自分に関心がない人は、自分にとって脅威を与えることもないからです。そのため、自分に無関心な人に対しては、まるでその人が空気でもあるように振る舞い、積極的に近寄ることもない代わりに、特別避けるようなこともありません。
それどころか、何かのきっかけでその人に興味を覚えたら、自分から近づいて行くようになります。猫と仲良くなりたいなら、積極的に猫に接触しようとするよりも、まるで猫に関心がないように振る舞う方が近道だと言えるでしょう。
まとめ

複数のご家族で暮らしている場合、もしかすると「私は猫から嫌われているので寂しい」と感じている方がいるかもしれません。おそらくその方は、猫に対してご飯をあげたり、ブラッシングをしたり、おもちゃで一緒に遊んだりということをあまりされていない方ではないでしょうか。
もしかすると、地声が大きかったり動作が大きくて突発的に動くことが多いために、知らず知らずに猫に脅威を与えているのかもしれません。または、猫と仲良くなりたい気持ちが強すぎて、猫にしつこくしすぎて苦手意識を持たれたのかもしれません。
できるだけ、猫を驚かせたり怖がらせたりしない言動や距離感を意識して、猫に接するようにしてみましょう。そうすれば、今よりも猫との距離感を縮めていくことができ、「抱っこされる人」として選んでもらえるようになれることでしょう。