1.唯一無二のべっこう柄

べっこう猫とは、黒と茶色の2色が複雑に混ざり合った毛色の猫のことです。その独特な模様は「べっこう」に例えられることが多いですが、他にも「サビ猫」「二毛猫」「ぞうきん猫」などと呼ばれることもあります。なお、いずれも毛色の呼び方であり、品種で分類すれば「雑種」です。
このような複雑な模様が生まれるのは、遺伝子が関係しています。猫の遺伝子の基本は黒、茶、白の3色。その中で黒と茶色のみの遺伝子を引き継ぐと、べっこう柄になるのです。模様の出方は個々に異なり、1匹として同じ模様の猫はいません。ちなみに、黒・茶色の組み合わせに白が加わると、三毛猫になります。
べっこう猫の模様の出方は、三毛猫やキジトラ猫などと比べると不規則性が高く見えるかもしれません。しかし、よく観察してみると、マーブル模様や虎模様、ブチ模様など、なんだか見たことあるような模様が隠れています。中にはグレー調や薄茶色のべっこう柄を持つ猫もおり、そのユニークな容姿に愛着が湧く人も多いようです。
2.ほとんどがメス

不思議なことに、べっこう猫のほとんどがメスです。前述の通り、べっこう猫と三毛猫は遺伝子の構造が似ています。三毛猫のほとんどがメスというのは有名ですが、べっこう猫も同じ理屈なのでしょう。
そのため、べっこう猫にはどこかしなやかな印象を持つ人が多いようです。佇まいに気品があふれており、逞しさの中に繊細さが垣間見えることが多いのです。
ちなみに、オスのべっこう猫は約3万分の1の確率でしか生まれないとも言われています。オスが誕生したとしても、生殖能力がないという説も。その希少性も、べっこう猫の大きな魅力と言えるでしょう。
3.穏やかな性格

ほとんどがメスであることから、穏やかな性格の子が多いのもべっこう猫の特徴です。協調性が高いため、飼い主や他の猫に対して無神経な態度を取ることは滅多にありません。時には我慢のしすぎてストレスを抱えてしまうほど、気配りが出来る猫なのです。
また、母性本能が高いことも特徴のひとつ。愛情深く、子供や子猫を温かく見守ることが出来ます。家族とトラブルを起こすことが少ないため、多頭飼いや子供のいる家庭でも安心出来るでしょう。
一方、警戒心が強い一面も併せ持ちます。これも非常にメスらしい性質で、見慣れない人間にはなかなか心を開きません。とても繊細なので、環境の変化や家族の増減には耐性が弱いと言えます。
4.幸運を呼ぶ猫

三毛猫が「幸運を呼ぶ猫」として親しまれているのは、有名な話です。白は幸福、茶色は健康、黒は魔除けのシンボルとして、国内外問わず縁起がいいといわれます。
べっこう猫は、このうち茶色と黒を持っています。三毛猫が幸運を呼ぶと言われているため、三毛猫の仲間であるべっこう猫も同様だと考えられているのでしょう。
実は、べっこう猫は三毛猫と同じように白の遺伝子も持っているのです。遺伝子は持っているものの、毛色として出なかったということ。スピリチュアルな観点でも、三毛猫とべっこう猫は親戚のように扱われているのでしょうね。
まとめ

べっこう猫の魅力は、その特徴的な容姿だけではありません。ほとんどがメスであるために、女性らしい佇まいや性質を持っていることも愛される理由です。時には「ぞうきん猫」などネガティブな呼称が付けられてしまったこともありますが、その美しい模様は人目を引き付ける魅力があります。
海外ではあまりメジャーな毛色ではありませんが、日本と同じように「Tortoise cat(べっこう猫)」と呼ばれているそうです。優雅でオリエンタルな雰囲気があふれるべっこう猫。今までよく知らなかった方は、ぜひ注目してみてくださいね。