どうして完全室内飼育が推奨されているの?
近年、保護猫を迎える際、『完全室内飼育で飼うこと』を条件にしている団体や保護猫カフェが多く見られます。
さらに、環境省からも猫の完全室内飼育が推奨されています。
それはどうしてでしょうか?
なぜなら、外の世界は確かに刺激に満ちていますが、同時に多くのリスクも潜んでいるからです。
室内で猫を飼育することにより、リスクを回避し、猫の平均寿命を延ばすことができます。
この記事では、完全室内飼育のメリットと、それによって猫の生活がいかに豊かになるかについて現役保護猫カフェオーナーが詳しく解説します。
メリット1.感染症の予防
室内で飼育された猫は、外で生活する猫に比べて感染症にかかるリスクが著しく低くなります。
外の世界では、野良猫や他の動物、ノミやダニの接触を通じて、さまざまな病気が伝播するリスクがあります。
これには、猫エイズ(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)、猫カリシウイルスなどが含まれます。
これらの病気は時に命に関わることもあり、室内飼育によってこれらのリスクを最小限に抑えることができます。
また、感染症だけではなく猫同士の喧嘩による怪我も防ぐことができます。
メリット2. 事故のリスクが低くなる
室内飼育は、猫が交通事故に遭うリスクを大幅に低減します。
道路交通は猫にとって非常に危険で、特に都市部では事故のリスクが高まります。
また、交通事故以外にも高所からの転落や、危険な物質への接触など、外は危険なもので溢れかえっています。
水を飲もうとジョウロに顔を突っ込んで、ジョウロが取れなくなってしまう猫も毎年動物病院に来るそうです。
安全な室内飼育をすることによって、不幸な事故を減らすことができるでしょう。
メリット3. ご近所トラブルが起こらない
猫が外で騒音を出したり、他人の庭を荒らしたり、近隣のペットと争ったりすることによる近隣とのトラブルを避けることができます。
例えば、放し飼いをしている猫が隣の家の車に登って傷をつけてしまい裁判沙汰に…。なんていう話もあります。
ご近所の方に迷惑をかけない為にも、猫は目の届く範囲でお世話するのが良いですね。
メリット4. 迷子の危険性が低くなる
外を自由に歩き回る猫は、道に迷ったり、別の地域に移動してしまったりする危険があります。
そうなると猫は帰り道がわからなくなってしまい、いつもは帰ってくるはずの時間に帰ってこない…という事件が発生してしまいます。
家族が行方不明になるということは、とても心配で「生きているのか、どこにいってしまったのか…」と不安になりますよね。
また、首輪もしていない、人懐こい猫の場合は「迷子の猫なのかな?」と善意で他の人が保護してしまうケースも考えられます。
これに対して、室内で飼育されている猫は、常に安全な環境の中にいるため、きちんと脱走対策をしていれば、そうそう迷子になる心配がありません。
メリット5. 虐待のリスクがなくなる
残念ながら、外にいる猫は人間による意図的な虐待のリスクにさらされることがあります。
室内飼育は、このような悪意ある危険から猫を守ることをできる手段です。
例えば、毒餌を撒かれている地域、水にハイターを入れられている地域、もっと酷いものになると直接捕まえて猫を傷つけるような人も、とても悲しいですが、確かに存在します。
あなたの家族を守るため、室内で愛情たっぷりにお世話しましょう。
室内で快適に暮らすために
以上のメリットを見た上で、「でも、広い世界で生きてきた野良猫をいきなり狭い部屋の中に閉じ込めるのは可哀想じゃないの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
元々、猫は自分のテリトリーで過ごすのが好きな動物なので、無駄に広い場所を用意する必要はありません。
また、家の中が退屈にならない為に高低差をつけたり、窓を見やすくしてあげたり、おもちゃで毎日遊ぶなど、飼い主が工夫してあげることで、家の中でも十分楽しく過ごすことが出来ます。
家の中の刺激が少ないからと危険な外に放すのではなく、家の中でいかに楽しく生活できるかを考えましょう。
まとめ
猫といえど、大切な家族であることに違いはありません。
なるべく幸せに過ごして長生きしてほしいと思うのは飼い主の共通の願いといえるでしょう。
抑えられるリスクは少なく、猫にとって快適な部屋で過ごさせてあげられるよう、完全室内飼育で環境を整えてあげられるといいですね。