1.猫が踊りを披露する
猫が踊りを見せるという内容の話は日本の各地に存在していて、例えば現在の神奈川県横浜市泉にこんな伝承があります。
昔、東海道に一軒の醤油屋がありそこの主人が猫を飼っていましたが、その店では夜になると手拭が一本ずつなくなるという不可解な出来事が起こっていました。そしてある日、普段は使われていない空き部屋から、なにやら楽しそうな音楽がしているのを主人が聞きつけます。
そっとのぞいてみると、そこではたくさんの猫達が集まって宴会を開いており、その中心で主人の飼っている猫が手拭を頭にかぶり踊りを披露していたそうです。
伝承の痕跡がある
このお話は猫の踊り場というタイトルなのですが、実際の横浜市泉区にはこの伝承を元に名づけられた場所が点在しており、横浜市市営地下鉄踊場駅付近には1737年(元文2年)に建てられた猫の供養塔があり、駅構内も猫のモチーフが使われているなど、この伝承が昔から信じられてきた痕跡が見られます。
猫は踊る?
では実際に猫は踊ることがあるのか?というと人間のようにリズムに合わせてダンスすることはやはりないでしょうが、例えば猫は相手の自分をより大きく見せるために伸びあがって見せたり、他にも遠くの獲物を見ようとして立ち上がる場合もあります。
このようなことから猫が2本足で立ち上がる姿を見て、昔の人は踊っているように感じた可能性はあるでしょう。
2.猫はおまじないで戻ってきたり、逆に出ていったりもする
いなくなった猫が戻ってくるとされるおまじないはたくさんありますが、有名なものは「立ち別れ いなばの山の峰におふる まつとし聞かば いま帰り来む」という和歌を家のドアなどに貼っておくと猫が戻ってくるという内容のおまじないです。
また、これは筆者の祖父が実際に言っていた話であり、なぜその字を書くのかは未だにはっきりしないのですが、かまぼこ板に漢字の「下」という文字を書いておくと猫が出ていくというおまじないがあるそうです。
筆者の祖父の体験談
祖父の若い頃は戦争があったため生活は非常に困窮しており、祖父はかまぼこ板に「下」と言う文字を書くとともに、当時、家で飼っていた猫に3年しか飼えないぞと日頃から言っていたそうです。
祖父はとても動物好きだったので人間の生活がやっとの戦時中においても居ついた猫を追い出すことができず、なんとか自然に野良に戻るようにおまじないをしていたのかもしれません。
そしてなんと祖父が言っていた3年後、その猫は本当に家を出ていってしまったそうです。
猫は人の感情が読める?
このように猫はおまじないをすると、戻ってくるとか逆に出ていくとか信じられているようですが、猫は人間の感情を読み取るような不思議な力があると考えられることもありますから、おまじないをしている飼い主を猫がどこからか見ていて、戻ってきたり、逆に出ていってしまったりすることは可能性としてはないとは言い切れないかもしれません。
3.事故に遭った猫に可哀想と言ってはいけない
車が多くなった今日、とても悲しいことに車の事故にあってしまった猫の遺体を見かけることもあります。そんな時にかわいそうと感じてしまうのはごく当然のことであり、人間として当たり前の感情と言えますが、例えば子供の時にこのような場面に遭遇し、猫に同情して親にたしなめられたという経験はわりと多くの人がしているのではないでしょうか。
猫が人間に憑依しないためのおまじない
この死んだ猫が人間に憑依するという伝承も昔からあるようで、山口県などでは猫の遺体を見たら「猫神うつんな親子じゃないぞ」と言って猫の霊を避けるのだそうです。
また、このような民間伝承においては死んだ猫に憑依されたと言って、精神を病んでしまったという人の話もあります。
同情しすぎを警告?
もしかすると昔の人は、このような動物の死に相対した時、可哀想だと思い過ぎて人間の方が心を病んでしまうことに警鐘を鳴らしたのかもしれません。
可哀想だと感じる優しい心は確かに必要ですが、それと同時に生きている私達に必要なことは、このような猫が少しでも減るような対策を考えていく、前向きさなのかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?猫にまつわる俗説や伝承はたくさんあるようです。そこには一見、なんの根拠もないように思える言い伝えや伝承もありますが、中には猫の習性からそう言われていると考えられているものや、昔の人の教訓が込められていたりする場合もあるでしょう。
ぜひみなさんも興味があれば、猫の伝承について調べてみてくださいね。