ジェネッタの特徴
【ジェネッタの基本情報】
- 英語表記:Genetta
- 原産国:アメリカ合衆国
- 被毛の種類:短毛種(ショートヘア)
- 体重:2kg〜4.5kg程度
- 体高:10~20cm(短足種)※20~30cm程度の個体もいる
ジェネッタは、野生のジェネット(ジャコウネコ科の動物)に似た斑点模様と、マンチカンのような短い足を併せ持つ、非常にユニークな外見が最大の特徴です。英語表記は「Genetta」と綴られます。2006年にアメリカ合衆国で作出が開始された、まだ歴史の浅い猫種(ハイブリッド種)であり、国際的な猫血統登録団体(TICAなど)には公認されていません。
原産国はアメリカ合衆国です。ベンガルやマンチカン、サバンナなど複数の猫種を交配のベースとしており、その野性的な外見と家庭猫としての飼いやすさの両立を目指して作出されました。
被毛の種類は短毛種(ショートヘア)に分類されます。毛質は滑らかで手触りが良く、光沢があるのが特徴です。ベンガルから受け継いだヒョウ柄のような斑点模様(スポテッド)や渦巻き模様(マーブル)がくっきりと現れます。
体重は個体差がありますが、成猫で約2kgから4.5kg程度が一般的です。体高(地面から背中までの高さ)は、マンチカンの遺伝的特徴である短い足を受け継いでいるため、一般的な猫に比べて低くなります。この短い足と、ベンガルのようなしなやかで筋肉質な体が組み合わさった、独特の体型をしています。
ジェネッタの性格
ジェネッタは、非常に活発で遊び好きな性格をしています。ベンガルの持つ野性的な好奇心と、マンチカンの人懐っこさや甘えん坊な側面を併せ持つ傾向があります。
家族に対しては愛情深く接し、コミュニケーションを取ろうとすることも多いでしょう。賢いため、飼い主の行動をよく観察しています。
ただし、運動欲求が非常に強いため、退屈するとイタズラをしてしまう側面もあります。
ジェネッタの歴史

ジェネッタの歴史は非常に新しく、2006年にアメリカのブリーダーによって作出が開始されました。目的は、アフリカに生息する「ジェネット」という小型のジャコウネコ科の動物に似た外見を持ち、かつ短い足を持つ家庭猫を作出することでした。
この特徴的な外見を実現するため、ベンガルやマンチカン、サバンナ、オリエンタルショートヘアなど、複数の猫種が交配のベースとして用いられています。
現在もまだ品種としては確立途上であり、2025年現在、TICAやCFAといった主要な血統登録団体では公認品種ではなく、希少な猫種です。
ジェネッタの毛色や模様の種類
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— InieMinieCats (@InieMinieCats) March 18, 2015
- シルバー
- ブラウン
- ブラック
- スノー
- レッド
ジェネッタの最大の魅力は、ベンガルから受け継いだ野性的な被毛の模様です。光沢のある毛並みに、はっきりとした斑点模様(スポテッド)や、渦巻き模様(マーブル)が現れます。
シルバーは、地色が白に近い明るいシルバーで、黒や濃いグレーの模様(スポテッドまたはマーブル)が入ります。クールで野性的な印象が際立つカラーです。
ブラウンは、最もベンガルらしいカラーリングで、暖かみのある茶色や黄褐色の地色に、黒や濃い茶色の模様が入ります。ヒョウ柄のイメージに最も近いカラーです。
ブラックは、一見すると真っ黒に見えますが、光の加減で地色と模様の濃淡(ゴースト・マーキング)が浮かび上がる「ブラック・スモーク」や「メラニスティック」と呼ばれるタイプです。
スノーは、地色がクリーム色やアイボリーのような淡い色合いで、模様は薄い茶色やグレーになります。全体的に柔らかく、上品な印象を与えるカラーです。
レッドは、比較的新しいカラーバリエーションとして、地色が赤みがかったオレンジ色や明るい茶色で、模様がそれより濃い赤茶色になるタイプも存在します。
これらの毛色や模様は、交配に使われる猫種(特にベンガル)のバリエーションに準じており、非常に多彩です。
ジェネッタの飼い方

ジェネッタは、そのルーツであるベンガルとマンチカンの両方の特性を考慮した飼育環境が求められます。特に運動欲求を満たすことが健康管理の鍵となります。
活発な運動欲求を満たす遊び
ジェネッタは非常にエネルギッシュで運動能力が高い猫種です。短足ながらもジャンプ力があり、走り回ることを好みます。
運動不足はストレスや問題行動の原因となるため、室内でも十分に体を動かせる環境が必須です。キャットタワーは、短足でも登りやすいようにステップの間隔が狭いものや、スロープ状になっているものを選ぶと良いでしょう。
また、1日に最低でも10分から15分程度、猫じゃらしなどのおもちゃを使って飼い主が集中的に遊んであげる時間を2回以上設けることが理想です。
賢さを活かしたしつけ
ジェネッタは非常に賢く、物覚えが良い猫種です。そのため、しつけは比較的入りやすいと言えます。トイレの場所や爪とぎの場所は、早めに教えればすぐに覚えてくれるでしょう。
ただし、好奇心旺盛でイタズラ好きな一面もあります。入ってほしくない場所や触ってほしくない物には、あらかじめ物理的な侵入防止柵を設置したり、片付けたりする対策が必要です。
安全で運動できる飼育環境の準備
ジェネッタは室内飼育が絶対条件です。好奇心から外に出てしまうと、事故や感染症のリスクが非常に高まります。
室内では、特に上下運動ができる環境を整えてください。キャットタワーの設置は必須ですが、それに加えてキャットウォーク(壁に取り付ける棚)を設置し、部屋全体を立体的に使えるようにすると、彼らの満足度は格段に上がります。
また、短足種は腰や関節に負担がかかりやすいため、フローリングなどの滑りやすい床材には、カーペットやコルクマットを敷いて滑り止め対策を施すことが推奨されます。
体格に合わせたフードの選び方
フードは、ジェネッタの活発な運動量を支えるため、良質な動物性タンパク質が豊富に含まれた総合栄養食を選びましょう。
短足種は太りやすい傾向があり、肥満は関節への負担を増大させます。体重管理には特に注意が必要です。フードのパッケージに記載されている給与量を守り、おやつの与えすぎにも注意してください。
年齢や体調に合わせて、子猫用、成猫用、シニア用とフードを切り替えていくことも大切です。
被毛のお手入れ(ブラッシング)
ジェネッタは短毛種であり、被毛のお手入れは比較的簡単です。しかし、コミュニケーションと健康チェックを兼ねて、週に1〜2回程度のブラッシングを行うことが理想です。
ラバーブラシや獣毛ブラシなど、皮膚を傷つけない柔らかいブラシで優しくマッサージするようにとかしてあげましょう。換毛期には抜け毛が増えるため、ブラッシングの頻度を少し増やすと良いでしょう。
シャンプーは基本的に不要ですが、汚れがひどい場合や獣医師に指示された場合は行います。トリミング(毛のカット)の必要はありません。
ジェネッタをお迎えする方法

ジェネッタはまだ歴史が浅く、非常に希少な猫種です。そのため、一般的な猫種であるスコティッシュフォールドやアメリカン・ショートヘアのように簡単に出会うことはできません。
ブリーダー
ジェネッタをお迎えする最も現実的な方法は、専門のブリーダーから直接譲り受けることです。ジェネッタはまだ国内でのブリーダーの数も非常に少ないため、海外のブリーダーも含めて探す必要があるかもしれません。
ブリーダーから迎える場合、親猫の遺伝子検査の結果や飼育環境を直接確認できるメリットがあります。信頼できるブリーダーを根気よく探すことが重要です。
ペットショップ
ジェネッタがペットショップの店頭に並ぶことは、非常に稀です。マンチカンやベンガルは多く見られますが、ジェネッタの取り扱いがある店舗はほぼ無いと考えてよいでしょう。
里親
里親募集サイトや動物保護団体などで、ジェネッタが募集されるケースも極めて稀です。新しい猫種であり、流通頭数自体が少ないため、里親として出会える可能性は非常に低いでしょう。
ジェネッタの気をつけたい病気やケガ

ジェネッタはハイブリッド種(異種交配種)であり、まだ歴史が浅いため、特有の遺伝性疾患については不明な点が多いです。しかし、交配のベースとなった猫種の遺伝的リスクを受け継いでいる可能性があります。
椎間板ヘルニア・変形性関節症
短足種であるマンチカンをベースにしているため、足が短い猫種特有の関節疾患や背骨(椎間板)への負担には注意が必要です。
肥満は最大のリスク要因となるため、体重管理を徹底することが予防につながります。また、高い場所からの飛び降りをなるべくさせないよう、キャットタワーの段差を調整するなど環境整備も重要です。
ピルビン酸キナーゼ(PK)欠損症
交配のベースとなったベンガルに見られる遺伝性疾患です。これは、赤血球に含まれる「ピルビン酸キナーゼ」という酵素が欠乏することで、赤血球が破壊され貧血を引き起こす病気です。
遺伝子検査でキャリア(遺伝子を持つが発症しない個体)かどうかを調べることができます。信頼できるブリーダーは、親猫の遺伝子検査を行っているはずです。
肥大型心筋症(HCM)
ベンガルやマンチカンなど、多くの猫種で報告されている心臓病です。心臓の筋肉が内側に向かって厚くなり、心臓の機能が低下していく病気です。
初期症状がほとんどなく、進行すると呼吸困難や血栓症を引き起こす可能性があります。定期的な健康診断、特に心臓の超音波(エコー)検査を受けることが早期発見につながります。
ジェネッタの寿命

ジェネッタの平均寿命は12歳から15歳程度と考えられます。
これは、一般的な家庭猫の平均寿命(14〜15歳)や、ベースとなったベンガルやマンチカンの寿命を参考にした推定値です。ジェネッタはまだ歴史が浅く、猫種としての平均寿命に関する十分な統計データは存在しないのが現状です。
飼育環境や食事管理、定期的な健康診断など、飼い主のケア次第で寿命は大きく左右されます。
ジェネッタの価格相場

ジェネッタの価格相場は20万円から35万円程度です。
ジェネッタは世界的に見ても非常に希少な猫種であり、日本国内でのブリーダーも極めて少ないため、価格はやや高額になる傾向があります。
また、月齢、血統、毛色や模様の美しさ(スポテッドの鮮明さなど)によって価格は大きく変動します。輸入する場合は、輸送費や検疫費用などが別途必要になります。
ジェネッタの飼育費用

| 項目 | 目安費用(年間) |
|---|---|
| フード・おやつ代 | 60,000円~100,000円 |
| 消耗品費(トイレ砂など) | 15,000円~30,000円 |
| 医療費(ワクチン・検診) | 20,000円~40,000円 |
| 光熱費(エアコン代など) | 15,000円~30,000円 |
| 合計(年間) | 110,000円~200,000円 |
※この他に、初期費用としてお迎え費用(生体価格)、飼育環境の準備費用(約3〜5万円)、病気やケガの治療費が別途かかります。
ジェネッタを飼育するためにかかる費用は、一般的な猫の飼育費用に加えて、希少種ならではの初期費用や、将来的な医療費を考慮する必要があります。
初期費用(お迎え費用)
ジェネッタは生体価格が20万円から35万円程度とやや高額です。これに加えて、キャットタワー、トイレ、食器、キャリーバッグなどの飼育必需品を揃える費用が3万円から5万円程度かかります。
日常的な飼育費用(フード、消耗品)
ジェネッタは活発であるため、食事は高タンパクで高品質のフードが推奨されます。そのため、フード代は一般的な猫よりも高めに見積もっておくと良いでしょう(年間6万〜10万円程度)。
トイレの砂や爪とぎなども、年間を通して継続的にかかる費用です。
医療費(ワクチン・健康診断)
毎年の混合ワクチン接種(約5,000円〜8,000円)、ノミ・ダニ予防薬、定期的な健康診断の費用がかかります。
ジェネッタは、ベースとなった猫種の遺伝性疾患(肥大型心筋症や関節疾患など)のリスクを考慮し、年に1回は血液検査や超音波検査を含む詳細な健康診断を受けることが望ましいです。
万が一、遺伝性疾患が発症したり、大きなケガをしたりした場合は、高額な治療費が必要になるため、ペット保険への加入も強く推奨されます。
まとめ
ジェネッタは、ヒョウのような美しい模様と、マンチカンのような短い足を併せ持つ、非常にユニークで魅力的な猫種です。その性格は活発で遊び好き、そして家族には深い愛情を示します。
しかし、まだ歴史が浅く非常に希少であるため、お迎えするための価格は高額であり、専門のブリーダーを見つけることも容易ではありません。
また、短足種特有の関節への配慮や、ベンガル由来の活発な運動欲求を満たすための環境整備が不可欠です。ジェネッタの特性を深く理解し、終生にわたり十分なケアと環境を提供できるかを慎重に検討することが重要です。