トルコの門外不出の幻の猫「ヴァン」
猫の種類はたくさんありますが、その中でも「ヴァン猫」をご存知でしょうか。ヴァン猫は真っ白い被毛で、目の色が琥珀色と青色のオッドアイが特徴の猫です。
トルコの東部にある都市ヴァン地方を起源にあることからヴァン猫と呼ばれるようになりました。
希少性が高く幻の猫ともいわれているヴァン猫は保護指定種に登録されており、トルコ国外どころか県外に持ち出すことも規制されています。
絶滅の危機にあるヴァン猫の保護や繁殖に取り組んでいるヴァン猫研究センターの方々のより、1992年はたった30匹しかいませんでしたが2014年頃には144匹にまで増え、近年ではおよそ1000匹のヴァン猫がいるとも報告されています。
ヴァン猫の身体的な特徴
美しいオッドアイ
ヴァン猫の大きな特徴ともいえば目が青色と琥珀色をもつオッドアイです。中には両目が青色や琥珀色のヴァン猫もいます。
生まれたばかりの頃は灰色の目ですが、生後25日頃以降になるとだんだんと目の色が変わりはじめ、生後40日頃ではっきりされます。ヴァン猫のように白色の猫で、目の色が青色の場合は聴覚障害を起こしやすい傾向があるようです。
細い絹のような毛並み
ヴァン猫の被毛は細い絹のような艶のある柔らかい毛並みで、シングルコートです。セミロングの長さで季節に応じて変化し、冬の方が夏よりも被毛が長く柔らかいです。
被毛が細くて長いため、毛が絡んでしまうとブラッシングで解けにくいのでこまめなブラッシングによる被毛の手入れが必要です。
真っ白い被毛カラー
柔らかいフワフワとした毛並みを引き立てるかのようにヴァン猫の被毛は、美しい真っ白いカラーが特徴でもあります。
耳の傍に黒い斑点(子猫時代のみ)
子猫の頃に両耳の間に黒い斑点が1〜2個見られることがあります。この耳の傍にある黒い斑点は生後1〜2ヶ月頃になると自然に消えるといわれています。
ヴァン猫の特性
泳ぎが得意
お風呂が好きな猫はいますが、基本的に猫は水に対して嫌う傾向があります。しかしヴァン猫は水に対して興味があり、水遊びが大好きで泳ぐこともあります。そのためヴァン猫は猫では珍しく泳ぎが得意で「トルコの泳ぐ猫」といわれています。
トルコの生きる文化遺産と言われる希少性
とても希少性が高く、絶滅の危機に扮していることから「トルコの生きた文化遺産」と言われています。
2010年、トルコが開催地となったバスケットボール世界選手権では、象徴するマスコット的存在として選ばれたこともありました。
聡明
ヴァン猫は賢く頭が良いので、すぐに物事を習得することができる聡明な性格をもっています。また猫のようにマイペースな一面もあり、束縛されることが嫌いなようです。
感情豊か
水遊びなどとにかく遊ぶことが大好きで、高い所に上がったり、細い所や隙間を歩く、ハンモックや紐によじ登ったりぶら下がるなど、どんな物に対しても興味をもちます。そのため行動が活発で好奇心旺盛なので、キャットタワーなど運動ができる飼育環境が好ましいです。
人懐っこい
猫は警戒心が強い動物といわれていますが、ヴァン猫は人懐っこい性格でもあるので初対面の人でも仲良く接することができるといわれています。その中で心を許した人と遊ぶことが大好きなようです。
ヴァン猫はトルコのみでしか飼えない!
真っ白い美しい被毛に琥珀色と青色のオッドアイが特徴のヴァン猫。原種が絶滅したといわれており、今でもヴァン猫の頭数がとても少なく大変貴重なため、トルコ国外への持ち出しの禁止とともに、ヴァン州でのみ飼育可能といわれています。
また譲渡に関しても保護や研究するためのヴァン猫研究センターの管轄区内限定であります。
そのため日本でヴァン猫を飼うことができません。ヴァン猫の仲間である「ターキッシュバン」という猫では日本でも飼育することができます。
ターキッシュバンも希少性の猫もあるため主にブリーダーからの入手方法となり30〜40万円するといわれています。かなり貴重なヴァン猫ではターキッシュバンよりもはるかに値段が高いと思われますが、明確な価格が分かっていません。
ターキッシュバン、ターキッシュアンゴラとヴァン猫は別種
ヴァン猫と同じトルコ原産のターキッシュバンとターキッシュアンゴラという猫がいます。一見白色被毛でオッドアイをもつことから同じ猫と思われがちですが、実は別種であります。
ターキッシュバンに関しては体の被毛は白いですが、頭部と尻尾だけ色や模様がつくバン・バターンがあるのが大きな特徴です。
またターキッシュアンゴラとヴァン猫との違いは顔の形です。ヴァン猫の顔は丸いのに対し、ターキッシュアンゴラの場合はくさび型の顔をしています。またヴァン猫の方が目の形が丸く、被毛の長さもヴァン猫の方が短いです。
決定的な違いとしてはヴァン猫のみ、子猫頃に耳の傍に黒い斑点が見られるので、ヴァン猫かどうか見分けることができます。
作家 村上春樹さんも魅了した幻のヴァン猫
真っ白い被毛にオッドアイが特徴のヴァン猫。希少性が高く幻の猫といわれており、有名作家の村上春樹さんがトルコに旅した紀行文の中に「もし出来ることならヴァン猫に会いたい」と話しており、その美しい魅力は全世界に広まっています。
保護指定種に登録されていることもあり、トルコ国外への持ち出しは禁止されておりますが、保護や繁殖活動により少しずつ頭数が増えてきています。
またヴァン猫と似ているトルコ原産のターキッシュバンとターキッシュアンゴラも数が少なく、トルコでは国宝級の貴重な猫でもあります。
絶滅させないためにも私たち飼い主ができる事を見つけて守ってあげましょう。いつか幻のヴァン猫に会えたら嬉しいですね。