ヨーロピアンショートヘア|猫種の特徴や性格、値段の相場から寿命まで徹底解説

ヨーロピアンショートヘア|猫種の特徴や性格、値段の相場から寿命まで徹底解説

ヨーロピアンショートヘアの性格、特徴、寿命は?この記事では、賢く飼いやすいヨーロッパ原産の猫種について、詳しい飼い方、かかりやすい病気、日本での価格相場や飼育費用まで網羅して解説します。

ヨーロピアンショートヘアの基本情報

ヨーロピアンショートヘア

英語表記

ヨーロピアンショートヘアは、英語で「European Shorthair」と表記されます。その起源から「セルティックショートヘア」と呼ばれることもあります。

原産国

原産国はヨーロッパ全域とされています。特定の国ではなく、ヨーロッパの土着の猫、いわゆるイエネコがそのルーツとなっています。

被毛の種類

被毛は短毛種(ショートヘア)に分類されます。毛は硬めで密度が高く、密集して生えているのが特徴です。

体重

体重は個体差がありますが、オスが約5.5kgから6.8kg、メスが約3.6kgから5.5kg程度が目安です。中型から大型の猫に分類されます。

体高

体高は平均して約30cm〜35cm程度とされています。これは一般的な猫の平均的なサイズと大きく変わるものではありません。

ヨーロピアンショートヘアの特徴

子猫のヨーロピアンショートヘア

ヨーロピアンショートヘアは、ヨーロッパにおいて古くから人々と共に暮らしてきた土着の猫を起源とする、非常に歴史の古い猫種です。そのルーツは古代ローマ時代まで遡るといわれています。

見た目は、アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアといった他の短毛種と似ていますが、比較するとややスリムで、より軽快な印象を与える体型をしています。

全体的に筋肉質でがっしりとした、頑丈な骨格を持っているのが特徴です。その身体能力は高く、かつてはネズミを捕獲するハンターとして重宝されていました。

被毛は短く密度が高いため、寒さにも比較的強いとされています。伝統的な姿としては、鮮やかな緑色の目と、キジトラ柄(ワイルド模様)が挙げられますが、実際には非常に多様なバリエーションが存在します。

ヨーロピアンショートヘアの性格

ヨーロピアンショートヘアのアップ

ヨーロピアンショートヘアは、非常に賢く、順応性が高い性格をしていることで知られています。環境の変化にも比較的強く、新しい家庭にも馴染みやすい猫種です。

飼い主に対しては忠誠心が強く、愛情深い一面を見せます。その知性の高さから、飼い主の気分や状況を敏感に察知して行動することもあります。

また、遊び好きな活発さも持ち合わせています。ハンターとしての本能が残っており、おもちゃなどで遊ぶことを好みます。

その一方で、程よい独立心も兼ね備えています。飼い主に甘える時間も楽しみますが、一匹で静かに過ごしたり、自分で遊びを見つけたりすることも得意です。

そのため、べったりと依存する関係ではなく、猫らしいバランスの取れた関係を築きたいと考える人に適しています。その順応性の高さから、猫の飼育が初めての人からベテランの飼い主まで、幅広い家庭にフィットする理想的な猫種といえるでしょう。

ヨーロピアンショートヘアの歴史

ローマ時代の柱

ヨーロピアンショートヘアの歴史は非常に古く、その起源は古代ローマ時代にまで遡ります。当時、ヨーロッパ全土でネズミによる被害が深刻であり、ネズミを捕獲する能力に優れた猫が重宝されていました。

彼らはローマ軍の遠征にも同行し、ヨーロッパ各地に広がっていったと考えられています。まさにヨーロッパにおける「イエネコ」の元祖ともいえる存在です。

長い間、彼らは特定の品種としてではなく、ヨーロッパのどこにでもいる一般的な短毛の猫として存在していました。

20世紀に入り、イギリスでブリティッシュショートヘア、アメリカでアメリカンショートヘアというように、各地域の土着猫を選抜・交配して固定化する動きが活発になりました。

その流れの中で、ヨーロッパ大陸の土着猫も一つの品種として確立しようという試みが始まり、「ヨーロピアンショートヘア」として公認されるに至りました。

ヨーロピアンショートヘアの毛色や模様の種類

ヨーロピアンショートヘアの後ろ姿

ヨーロピアンショートヘアの毛色や模様は、特定のパターンに限定されず、非常に多彩なバリエーションが存在します。

ブラック、レッド、ブルー、クリームといった単色(ソリッド)から、縞模様(タビー)まで、あらゆるカラーとパターンが認められています。これは、彼らが特定の外見を求めて交配された歴史が浅く、土着猫としての多様な遺伝子を受け継いでいるためです。

ソリッド(単色)

ソリッドは、全身が一色で統一された毛色のことを指します。ブラック(黒)、ブルー(灰色)、レッド(茶トラのような赤褐色)、クリームなど、基本的な色が揃っています。

タビー(縞模様)

タビーは、猫の毛色として最も一般的ともいえる縞模様のことです。ヨーロピアンショートヘアの伝統的な姿とされるキジトラ柄もこのタビーに含まれます。

模様の出方によって、マッカレルタビー(サバのような細い縞)、クラシックタビー(渦巻き模様)、スポッテッドタビー(ヒョウのような斑点)などに分類されます。

ヨーロピアンショートヘアの飼い方

猫部屋にいるヨーロピアンショートヘア

運動と遊び

ヨーロピアンショートヘアは、ハンターとしての歴史を持つため、運動神経が良く活発です。室内飼いであっても、そのエネルギーを発散できる環境を整えることが重要です。

キャットタワーを設置して上下運動ができるようにしたり、猫じゃらしなどのおもちゃを使って毎日遊ぶ時間を設けたりしてください。知的な猫種でもあるため、知育玩具などを取り入れるのも良いでしょう。

しつけのポイント

この猫種は非常に賢く、物覚えが良いため、しつけは比較的しやすいとされています。トイレの場所や爪とぎの場所も、一度覚えればきちんと守ってくれることが多いです。

粗相や問題行動をした際には、大きな声で叱るのではなく、その場ですぐに「ダメ」と短い言葉で伝えるのが効果的です。褒められることも好むため、上手にできたときにはたくさん褒めてあげましょう。

飼育環境の準備

順応性が高い猫種ですが、安心して過ごせる環境は必須です。高い場所や狭い場所など、猫が隠れたりリラックスしたりできる「安全地帯」を用意してあげてください。

また、活発に動き回れるよう、室内の整理整頓も重要です。誤飲やケガにつながるような危険なものは片付け、安全な生活スペースを確保しましょう。

適切なフード選び

フードは、一般的な猫と同様に、ライフステージ(子猫用、成猫用、シニア猫用)に合った総合栄養食を選ぶことが基本です。

ヨーロピアンショートヘアは筋肉質でがっしりとした体型ですが、運動量が不足すると太りやすくなる傾向もあります。フードのパッケージに記載されている給与量を守り、体重管理に気を配りましょう。

被毛のお手入れ(シャンプー・トリミング)

被毛は短毛種であり、毛が密集しているものの、お手入れは比較的簡単です。トリミング(毛のカット)は基本的に必要ありません。

ブラッシングは、週に2〜3回程度を目安に行いましょう。ラバーブラシや獣毛ブラシなどでマッサージするようにとかすことで、抜け毛を取り除き、皮膚の健康を保つことができます。

シャンプーは、猫が水に慣れていない限り、無理に行う必要はありません。汚れがひどい場合や、獣医師に推奨された場合のみ検討しましょう。

ヨーロピアンショートヘアをお迎えする方法

サイトを見る女性

ブリーダーから迎える

ヨーロピアンショートヘアは、日本では非常に珍しい猫種です。そのため、国内で専門に繁殖しているブリーダーを見つけるのは困難な場合があります。

もしブリーダーから迎えることを希望する場合は、海外のキャッテリー(猫舎)の情報を探すか、国内の猫種団体に問い合わせて情報を得る必要があるかもしれません。

ペットショップから迎える

日本国内の一般的なペットショップで、ヨーロピアンショートヘアが店頭に並ぶことは極めて稀です。

アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘア、あるいは日本猫(雑種)と間違われることもありますが、血統種としてのヨーロピアンショートヘアに出会う機会は少ないのが現状です。

里親として迎える

血統書にこだわらないのであれば、里親募集サイトや保護猫カフェで、ヨーロピアンショートヘアに似た外見や気質を持つ猫を探すという選択肢もあります。

ヨーロッパの土着猫がルーツであるため、日本で「雑種」や「ミックス」として保護されている猫の中にも、彼らに近い特徴を持つ賢く飼いやすい猫は多く存在します。

ヨーロピアンショートヘアの気をつけたい病気やケガ

眠るヨーロピアンショートヘア

ヨーロピアンショートヘアは、特定の品種改良による遺伝的疾患が比較的少ない、頑健な猫種とされています。しかし、他の猫種と同様に注意すべき一般的な病気は存在します。

肥大型心筋症

肥大型心筋症は、心臓の筋肉(心筋)が厚くなり、心臓の機能が低下する病気です。これは猫において最も一般的に見られる心臓病の一つです。

初期症状はほとんどなく、進行すると呼吸が早くなる、疲れやすくなる、食欲が落ちるなどの症状が現れます。定期的な健康診断で早期発見に努めることが大切です。

尿路結石症(尿石症)

尿路結石症は、腎臓や膀胱、尿道などに結石(石)ができ、排尿に障害が出る病気です。頻繁にトイレに行く、排尿時に痛そうにする、血尿が出るなどの症状が見られます。

特にオスは尿道が細いため、結石が詰まって尿毒症を引き起こす危険性があります。新鮮な水をいつでも飲める環境を整え、日頃から飲水量や尿の状態をチェックすることが予防につながります。

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)は、腎臓に「嚢胞」と呼ばれる液体の入った袋が多数でき、徐々に腎機能が低下していく遺伝性の病気です。

近縁種や他の猫種でも見られる病気であり、注意が必要です。水をたくさん飲む、尿の量が増えるといった症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

ヨーロピアンショートヘアの寿命

ハートをもつ医師

ヨーロピアンショートヘアの平均寿命に関する明確なデータは多くありませんが、一般的に14歳から16歳程度と考えられています。これは、一般的な猫の平均寿命(約14〜15歳)と同等です。

彼らは土着猫をルーツに持つため、比較的丈夫な猫種とされています。

もちろん、寿命は個体差が大きく、飼育環境や食事、医療の進歩によっても左右されます。ストレスのない環境を提供し、適切な健康管理と栄養バランスの取れた食事を心がけることで、より長く健康に過ごすことが期待できます。

ヨーロピアンショートヘアの価格相場

電卓とお札

ヨーロピアンショートヘアの価格相場を算出することは非常に困難です。なぜなら、この猫種は日本国内での流通が極めて少なく、専門のブリーダーやペットショップでの取り扱いがほとんどないためです。

もし日本国内でお迎えする機会があった場合、その希少性から価格は高めに設定される可能性があります。

海外のブリーダーから個人輸入するという方法もありますが、その場合は生体価格に加えて、輸送費、検疫費用、各種手続きの代行費用などがかかり、総額は数十万円以上になることが予想されます。

ヨーロピアンショートヘアの飼育費用

キャットフード

ヨーロピアンショートヘアを飼育するための費用は、他の一般的な猫種と大きく変わりません。ただし、日本では希少なため、生体価格(初期費用)は別途考慮が必要です。

以下は、生体価格を除いた場合の飼育費用の目安です。

費用の種類 項目
目安金額(年間)
初期費用 飼育環境準備(ケージ、トイレ、食器、キャットタワーなど) 約 30,000円~
混合ワクチン接種(初年度) 約 10,000円~
避妊・去勢手術 約 20,000円~
年間費用 フード・おやつ代 約 60,000円~
トイレ砂・消耗品代 約 24,000円~
医療費(ワクチン、健康診断、ノミ・ダニ予防) 約 30,000円~

初期費用

生体価格とは別に、猫を迎えるためには様々な準備が必要です。トイレ本体と砂、食器、キャリーバッグ、ケージやサークル、キャットタワー、おもちゃなどを揃える費用がかかります。

また、お迎えした猫の健康状態に応じて、初年度のワクチン接種費用や、避妊・去勢手術の費用も必要になります。

月々の飼育費用

毎月継続的にかかる費用としては、主食となるキャットフードやおやつの費用が中心です。また、トイレの砂や爪とぎ、ペットシーツなどの消耗品費もかかります。

これらは使用する製品のグレードによって変動しますが、毎月6,000円から10,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。

その他の費用(医療費など)

毎月の費用とは別に、毎年必要となる費用があります。感染症を予防するための混合ワクチン接種(年1回)、ノミ・ダニの予防薬、そして定期的な健康診断の費用です。

また、これらとは別に、突然の病気やケガに備えた医療費も考慮し、ペット保険への加入や、万が一のための貯蓄をしておくと安心です。

まとめ

木に登るヨーロピアンショートヘア

ヨーロピアンショートヘアは、古代ローマ時代から続くヨーロッパの土着猫をルーツに持つ、非常に歴史深く頑健な猫種です。賢く、順応性が高く、遊び好きでありながら独立心も持つという、バランスの取れた性格が最大の魅力です。

お手入れが比較的簡単な短毛種であり、初めて猫を飼う人にも適しています。

ただし、日本では非常に希少な猫種であり、出会う機会は限られています。もしヨーロピアンショートヘアとの暮らしを望むのであれば、そのルーツや特性を深く理解し、責任を持って迎える準備をすることが大切です。