猫が流産した時の対処法や症状、原因、予防法まで

猫が流産した時の対処法や症状、原因、予防法まで

猫の妊娠及び出産妊娠している猫に何らかの原因によって妊娠が維持できなくなり流産をおこしてしまうことがあります。何が原因で流産をおこし、どんな症状がみられるのでしょうか?また流産のリスクを下げるためにはどんな予防策が必要なのか調べてまとめてみました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が流産したらどうすればいい?

猫の家族

流産とは母猫の胎内にいる胎児の一部、もしくは全てが死亡してしまうことをいいます。猫の一般的な妊娠期間は約63日といわれており一回の出産に最大で8頭の子猫を産みます。しかし何らかの原因によって妊娠を維持することができなくなり流産や死産がおこることがあります。

様子がおかしいと感じたらすぐに病院へ

もし妊娠中の猫の様子に異変が生じ、何らかの症状がみられた際は、流産や死産している可能性があるため、早急に動物病院に連れて来てください。

流産や死産の中には、母猫の胎内に一部の胎児が残っていることや、胎盤の一部分が子宮にとどまっている可能性があります。そのままの状態にしてしまうと、流産後の母猫の体調は悪くなるため、治療が必要である場合や、場合によっては卵巣子宮摘出をさせる必要があります。

猫が流産した時の症状

子猫と母猫

猫の流産の症状は妊娠期間によって異なります。猫の流産は、どの妊娠期間のあいだでも起こることがあり、妊娠後期の約2%が流産しているといわれています。また、その流産した胎児の約20%が、何らかの奇形を持っているともいわれています。

陰部からの出血

妊娠初期におこる流産では、特に目立った症状はありませんが、まれに陰部から出血することがあります。

不明瞭な排出物

そして妊娠してから30日経過した場合は、母猫の胎内で流産、及び死産がおこると、血液とともに、不明瞭な排出物が一緒に出てくることがあります。

そのため、妊娠している母猫の陰部から出血していることや、陰部から不明瞭なものが出ている場合は、流産している可能性があります。

猫が流産してしまう原因

床に座っている猫

猫が流産してしまう原因は様々ですが、主に細菌感染、何らかの物理的な衝撃、染色体異常、栄養不良などが可能性としてあげられます。

感染症による流産

また猫の感染症である猫汎白血球減少症(猫パルボ)や、猫白血病ウイルス感染症に母猫が感染していた場合は、高い確率で流産や死産がおきます。もし子猫が生まれたとしても、すぐに死亡するケースが多いです。

物理的な衝撃による流産

物理的な衝動による流産の主な原因では、高いところから誤って落下してしまうことや、胎児がいるお腹にぶつかった(圧迫をあたえた)ことがあげられます。

母猫のお腹に何らかの衝撃があった際は、場合によっては子宮が破裂している可能性があり、出血や陰部を気にして舐める行動がみられます。

致死遺伝子による流産

他に、猫の流産をおこす要因としては、近親交配によるものや、親猫の遺伝子の中に、致死遺伝子をもっている場合があげられます。致死遺伝子とは、突然変異を起こし、保有している個体を死に追いやる遺伝子のことをいいます。

栄養不足による流産

栄養不良について妊娠中の母猫は、ふだんよりも食事量を多くあたえ、栄養をつけなければいけません。しかし食事量が足りなく、その結果、母猫の栄養不足になってしまうことで、流産や死産のリスクが高くなります。また、早産や低体重で生まれる原因にもなり、成長もあまり良くないといわれています。

猫の流産を予防するには?

女性の隣にいる猫

ワクチンの接種

猫汎白血球減少症や猫白血病ウイルス感染症など、感染すると高い確率で流産や死産を招く感染症がありますので、ワクチン接種による予防をすることです。

ですがワクチン接種は、ふだんでも様々な感染症予防や、免疫力を維持させるために必要な予防策でもありますので、毎年接種することが大事になります。

落下などの事故を予防する

ふだんの生活で、妊娠中の猫の活動範囲を配慮する必要があり、特に交配から14日経過した頃は着床時期のため、安静させる必要があります。

猫は本能的に高いところを好む動物ですが、落下事故を引き起こす恐れがあり、上下運動など体の負担となるような過度な運動をさせないよう、生活環境をつくることが大事です。猫が飛び乗らないように、間に段差やスロープを設置させてあげましょう。

また妊娠経過とともに、母猫のお腹が大きくなっていくので、お腹をいろいろなところにぶつけてしまうことや、ふだんなら通れる隙間も、大きなお腹で突っかかってしまうので、注意する必要があります。

いつもより多めの食事

また妊娠中の母猫の栄養不足も、流産を引き起こす要因でもありますので、いつもより大体3~4割ほど多く、食事を与えるようにしましょう。しかし、太りすぎになってしまうとかえって難産になる場合があります。妊娠初期は妊娠していない時期と同じ位の量で構いませんが、妊娠中~後期にかけては母猫の体格をみながら増やしてください。食べているのに背骨が出ていればフードの量が足りません。

最近では妊娠中用につくられた、高栄養のフードがありますので、食事内容も気をつけることで、栄養問題を防ぐことができるため、安心して出産に望めますし、生まれてくる子猫も、栄養面や低体重のリスクを減らすことができます。

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まとめ

可愛いらしい子猫と隣にいる母猫

妊娠中の猫の陰部から出血や、不明瞭な排出物が出てきた場合は、流産している可能性があります。猫は一度の出産に、平均で3~5匹の子猫を生みますが、流産した場合、一部の胎児がお腹の中に残ってしまうことがあり、母猫の体に悪影響を及ぼすため、早急に動物病院に連れていきましょう。

流産をおこす原因は、感染症や過度な運動、母猫の栄養不良など様々ありますが、感染症予防のためにワクチン接種をし、母猫に十分な栄養をつけて、過度な運動を控えることで、流産リスクを抑えることができます。

猫の妊娠期間は約2か月間と非常に短いため、猫が妊娠した際は、必ず獣医師による診察を受けてください。

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