スコティッシュフォールドは病気になりやすい?かかりやすい病名と予防の方法

スコティッシュフォールドは病気になりやすい?かかりやすい病名と予防の方法

折れ耳がかわいらしい特徴ともいえるスコティッシュフォールドには、かかりやすい病気がいくつかあります。そんなスコティッシュフォールドはどのような病気にかかりやすいのか、できる予防法は何かあるのかなどをまとめました。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

スコティッシュフォールドは病気になりやすい?

前足を上げるスコティッシュフォールドの子猫

日本で人気の猫種といえば、スコティッシュフォールドが挙げられますよね。そしてかわいいスコティッシュフォールドは、病気になりやすい猫種だといわれることがあります。

しかしスコティッシュフォールドの平均寿命は、一般的な猫の平均寿命と比較しても大きな違いはありません。ではなぜスコティッシュフォールドが病弱といわれるのかというと、遺伝性の病気が多いということが原因なのです。

スコティッシュフォールドに多い病気

歩いているスコティッシュフォールド

骨軟骨異形成症

スコティッシュフォールドの特徴でもある折れ耳は、実は突然変異によって発生した耳の軟骨異形成が遺伝したものなんです。この軟骨の変異は、骨軟骨異形成症という遺伝病で、耳だけではなく手足やしっぽなどでも起こります。

四肢の骨がこぶ状に大きくなる「骨瘤」ができたり、骨が変形したりすることで関節が曲がらなくなり痛みが生じたりします。そのほかの症状は、歩きたがらない、ジャンプできなくなるなどがあります。

スコティッシュフォールド特有の座り方であるスコ座りは、実はこの病気による痛みをかばっていることが原因とされています。そのため、香箱座りが苦手なスコティッシュフォールドもいます。

できてしまった骨瘤を取り除けばいいのかというと、残念ながら取り除いても再発してしまう病気です。なので、鎮痛剤を使用した緩和療法がとられます。

肥大型心筋症

肥大型心筋症とは、心臓の筋肉が内側に厚くなり、心臓の働きを十分に得られなくなる病気です。原因ははっきりとわかっていない部分が多い病気ですが、スコティッシュフォールドは、遺伝的にかかりやすいといわれています。

初期症状がほとんどなく、予防が難しい病気です。進行すると血栓ができる、胸水が溜まる、呼吸が荒くなる、運動をしなくなる、血栓症により後足が冷たくなり麻痺するなどの症状がみられます。こういった症状があらわれた時点で重症です。

嚢胞腎

嚢胞腎とは、先天的に嚢胞と呼ばれる液体が詰まった袋のようなものができ、それが腎機能を障害する病気です。原因は遺伝であることが多く、スコティッシュフォールドではなりやすいとされています。

病態は慢性腎不全と似ており、食欲低下、水をたくさん飲みおしっこの量が多い、体重減少、嘔吐などの症状です。

ゆっくり進行するため、この病気に気づかないこともあります。嚢胞腎は完治することができない病気のため、対症療法がとられます。早期発見であれば、より効果的な対症療法ができるケースもあります。

尿路結石症

尿路結石症は腎臓、尿管、膀胱、尿道に、結晶や結石ができてしまう病気です。結石が詰まりおしっこが出なくなってしまったり血尿が出たりします。水を飲む量が少ないことや、食事のミネラルバランス、体質などが原因です。

基本的に猫種に限らず多い病気ですが、スコティッシュフォールドではなりやすいとされています。結石に種類によって異なりますが、治療は療法食で結晶や結石を溶かし、再びできないように維持食にしたり、水分を多く摂取することが基本になります。状態によってはカテーテルを使用して膀胱を洗浄したり、外科手術によって結石を取り出します。

耳ダニ感染症、外耳炎

折れ耳のスコティッシュフォールドは、耳の中に湿気がこもりやすく、カビや耳ダニなどの感染症や外耳炎を起こしやすいです。

耳にかゆみがあり、足で耳をかく、頭を振る、家具などに耳をこすりつけるしぐさが見られたり、耳から異臭がしたりすることがあります。治療は耳の洗浄をして、耳ダニの駆除薬、抗生物質、炎症を抑える薬を使用します。

眼瞼内反症

まぶたが内側に入り込んでしまい、被毛が眼球や結膜に触れて炎症が起こる病気です。まぶたが内側に入る理由は、他の目の病気や加齢など様々ですが、スコティッシュフォールドの遺伝が要因ともされています。

スコティッシュフォールドが遺伝性の病気になる確率

スコティッシュフォールドの親子

スコティッシュフォールドが折れ耳になる割合は、5割程度といわれています。折れ耳のスコティッシュフォールドは骨軟骨異形成症であり、折れ耳同士の交配で誕生した猫は、骨軟骨異形成症の症状が強く出ます。そのため、折れ耳同士の交配は世界的に禁止です。

また、折れ耳と立ち耳の交配でも、高い確率で関節の障害や骨軟骨異形成症を発症することがわかっています。嚢胞腎では、両親のどちらかが嚢胞腎の場合、生まれた子猫は50~100%の確率で嚢胞腎を発症します。

スコティッシュフォールドに多い病気を予防する方法

病院にいるスコティッシュフォールド

定期検診を受ける

骨軟骨異形成症や嚢胞腎など、遺伝による病気を予防する方法は残念ですがありません。ですが定期検診を受けて、早期発見をすることで、効果的な対症療法が受けられる場合があります。

骨軟骨異形成症は早期に発症がわかれば、段差をなくしたりと、足に負担にならないような対策をとれます。遺伝による病気以外では、早期発見によって重症になることを防げます。年に1~2回は定期健診を受けましょう。

食事、水分

尿路結石症の予防は、バランスの取れた食事と水分補給です。総合栄養食を基本に与えましょう。

飼育環境、体のケア

スコティッシュフォールドの飼育環境を清潔に保つことも大切です。特に猫トイレは汚れたままだと、おしっこを我慢してしまい、尿路結石症になりやすくなってしまいます。

猫の体のケアも大切です。定期的に耳掃除やブラッシングをすることで体の異変の早期発見になります。

まとめ

2匹のスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドは遺伝的にかかりやすい病気が存在します。それは折れ耳のスコティッシュフォールドに関係している病気や、心臓と腎臓に関する病気も含まれます。

尿路結石症や外耳炎など、他の猫にも多い病気も、スコティッシュフォールドは「かかりやすい」ことがわかっています。定期検診、食事や体のケアなどで病気の対策をしましょう。

投稿者

30代 女性 ひなた

スコティッシュフォールドは、病気になりやすいですよね。
飼っていたスコティッシュフォールドも、外耳炎になったり、心筋炎をおこして心臓病になったりしました。お薬を飲ませてなんとか、病状はよくなりましたが、10年くらいしか生きれませんでした。子猫の頃から病弱だったので、色々と心配しました。動物病院によく通いました。しかし、少しも苦労に思いませんでしたよ。ひたすら、病気が治ってほしいと願っていました。先住猫とも仲が良くて賢い猫ちゃんでした。病気は早期発見、早期治療が大切ですね!

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