虹の橋を渡った駅猫おさむの愛溢れる秘話

虹の橋を渡った駅猫おさむの愛溢れる秘話

先日虹の橋を渡った、茨城県ひたちなか海浜鉄道那珂湊駅の駅猫おさむ君。大勢の方がその死を悼みました。人が大好きだったおさむ君は、旅立ちの時も人のそばを選びました。お世話係の方から在りし日の秘話を伺いましたのでご紹介させて頂きます。

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おさむ君天国へ。長い間おつかれさまでした

まもなく始発列車が走り始めるちょうどその頃…

ひたちなか海浜鉄道那珂湊駅の駅猫・おさむ君は、6月23日4時20分に永眠しました。

2009年7月に就役以来、人気者だったおさむ君。おさむ君訃報のツイートが投稿されるとその死を悲しむ多くのコメント、沢山の献花やお別れの言葉が続々と届いたとのこと。おさむ君が大勢の方に愛されていたことを物語っています。

駅猫のお世話をご担当されていらしたひたちなか海浜鉄道管理部管理課の野村さんに在りし日のおさむ君の思い出やお気持ち等貴重な秘話を伺いました。おさむ君の死を悼みここにご紹介させて頂きます。

おさむ君を偲んで

那珂湊駅の駅猫誕生秘話

おさむ君は推定年齢17歳。2009年7月24日、那珂湊駅に迷い込んだところを駅員に保護されたそうです。面倒を見ているとそのまま住み着き、「駅猫」として飼い始めることになりました。

また実はもう一匹、相棒なる猫さんが!!おさむ君が来た約3ヶ月後、2009年10月16日におさむ君についてくるようにして登場したキジトラさんは「ミニさむ」と呼ばれています。現れた当時はおそらく生まれて1年未満の子猫で、おさむ君を頼っていたようです。

おさむ君がいなくなりミニさむちゃんのことも心配なので伺ってみたところ、「大きな変化はないものの、いつも食事をしている場所のすぐ横に献花台ができているので、何か感じ取っているのかなという雰囲気」と仰せでした。

いつしかコンビに。2匹の性格は?

2匹の性格についても詳しく教えて頂きました!

おさむ

どこかのんびりしている感じで基本的に人への警戒心はほとんどありません。呼ぶとすり寄ってくる程人懐っこい猫です。普段は全くと言っていいほど鳴きませんが、食事をせがむ時には意外と大きな声で鳴きます。

高齢とはいえ、猫じゃらし等のおもちゃで遊ぶのも好きで、遊んでいる時は普段ののんびりした様子とはうって変わり「さすが猫!」という感じ。写真を撮られるときは、被写体になっているのがわかっているような雰囲気でした。

ミニさむ

ちょっと警戒心強めで、動きはなかなか機敏。猫らしい猫、という感じの気まぐれさを持っています。

おさむには絶大な信頼がある様子で、一緒にいるとほぼ寄り添うように歩き、たまにじゃれあうこともありました。

普段はほとんど姿を見せず、駅舎の屋根裏にいるか散歩に出ていて、特に人が多いと出てきません。自分のタイミングで食事をするときだけ現れます。直近では、18~19時頃に食事に出てくることが増えています。

自由なお仕事スタイルで駅猫をしていたおさむ君

駅猫たちの業務と言ったら、駅員風の帽子を被りイベントに登場したり、記念撮影に応じたりする姿を想像する方も多いかもしれませんが、那珂湊駅の駅猫業務は、猫さんに負担がかからないようあくまでも自然な姿や自由を尊重するスタイルです。

お仕事内容をあえて言うならば「駅構内の巡回(散歩)」、「お客様のお出迎え」とのこと。「他社さんのような『駅長』ポジションでもなく、普段は自由にさせているので、だいぶスタイルが違うと思います」と野村さんは仰せでした。猫さんのことをよく考えていらしたことがわかりますね。

晩年のおさむ君

職員の方々に見守られ自由きままな猫らしい生活スタイルのおさむ君は、晩年、といっても昨年の初め頃までは大きな体調の変化もなく元気だったそうです。「そこから少しずつ体重が減り始め、今思えばもうその時点で甘えてくる回数が増えていたように思います。私のデスクや椅子を占領していました」と野村さん。

食事をせがんでいるように見えたのですが、実際はあまり食べていなかったとのこと。GW明けからさらに体重が減り、1年で1.5キロ近く痩せてしまい、抱っこをした時も「こんなに軽かったかな」と感じる程だったそうです。

最後の1か月は寝て過ごすことが多かったのですが、最後の1週間はまた久しぶりに甘えてくることが増えていたとか。自分の最期を察知して、残されたわずかな時間は大好きな野村さんにたっぷり甘えようと思ったのかもしれませんね。

おさむ君の最期

最期を看取ったのは当直勤務の係員、当日の始発の準備のために駅舎に来るのを待っていたかのように急に容態が変わり息を引き取ったそうです。

21日(金)には病院で診察して頂き戻ってきてからも特別変わった様子もなかったのに、22日(土)には食事を取る様子もなく歩いてもふらつき、雨が降っていたのに外でうずくまって動かないので、「さすがにおかしい」と駅舎内のケージに入れたとのこと。

2009年に迷い込んで以来、大勢の方々に愛され、職員の方々に可愛がられた人懐こくて甘えん坊のおさむ君。愛を知り人が大好きになったおさむ君は、一人で静かにこの世を去るよりも職員の方に見送られる最期を自ら選んだのかもしれないと感じたのは筆者だけでしょうか…

おさむ君への思い

最後におさむ君への思いを野村さんに伺いました。お気持ちを大切に原文のまま記載させて頂きます。

私も家で猫を飼っており、生まれる前から家に猫がいました。2016年4月に入社し、「飼ってるし慣れてるよね」という流れから夏頃に世話係を引き継いだようなかたちです。

「猫に慣れている人は猫のほうもわかる」と聞きますが、おさむには分かっていたのでしょう。会社ではおさむが「先輩」ですから、おさむのほうが「面倒みてやるか」「お手並み拝見」という感じだったかもしれません。

あと1ヶ月で、現れてからちょうど10年というところでした。年齢的にもいつまでか、という感じでしたが…。

和歌山の「たま」、会津の「ばす」についで駅猫となったおさむが、ついにその二匹のもとへ旅立ちました。芸備線の「りょうま」も含め、みんなで仲良く見守っていてほしいですし、我々も安心して見ていてもらえるように成長していかなければ、と思います。

まとめ

おさむ君の駅猫誕生秘話や在りし日のご様子を伺っていくうちに、人に愛され人を愛し最期も人のそばを選んだおさむ君の生涯の喜びや幸せを感じることができました。迷い込んで来たご縁、実はおさむ君自らが那珂湊駅や職員の皆さんを選んでやってきたのかもしれませんね。

那珂湊駅での10年という年月は人の愛を学び幸せになる為の時間だったのでしょうか?きっとおさむ君は、大勢の皆さんの愛で満たされて幸せな気持ちで旅立ったことでしょう。

野村さん、このたびは貴重なお話をたくさんお聞かせ頂きまして、どうも有難うございました。

【駅猫おさむ・お別れ会】

日時:2019年7月6日(土)13時~
場所:那珂湊駅ホーム