人の優しさに助けられて、車のボンネットから救出!黒猫の「ネロ」が我が家に来るまで

人の優しさに助けられて、車のボンネットから救出!黒猫の「ネロ」が我が家に来るまで

昨年、見ず知らずの人の車のボンネットから子猫を救出しました。警察が駆けつけ、さらに通行人が次々と手伝ってくれるという大事態に…。そんな5時間に及ぶ子猫大救出&保護の体験談です。

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ネロと出会ったきっかけ

2018年9月11日、私はスーパーでの買い物の帰り道に、どこからか聞こえる子猫の鳴き声に気が付きました。

私が通りかかったのは自宅から目と鼻の先にあるコインパーキングでした。車の下にでも子猫がいるのかなと、私はそのコインパーキングに駐車されている車の下を覗いて歩きました。

しかし、声はすれども姿が見えません。子猫の声はまるでサイレンのようにけたたましく、どこか緊急性を感じました。1つ1つの車を見て回り、ある1台の車から声がしていることを突き止めました。

そこからまさかあんなに大事態に発展してしまうとは、この時私は予想していませんでした。

子猫は車の内部に入り込んでいた

まさか車内に置き去りにされているのでは…と思い車内を覗いてみましたが、そこにも姿はありませんでした。耳を澄ませてみると、子猫の叫び声はなんとボンネット付近から強く聞こえました。

私はネットニュースで「子猫がボンネットに入り込んで寝床にしてしまう」という記事を読んだばかりだったので、これがその状況かとピンときました。

「車の持ち主がその子猫に気付かずに車を発進させてしまうと、子猫がエンジンの熱や部品に巻き込まれることで死んでしまうこともある」と書いてあったので、私はどうにか子猫を外に出さなければと焦りました。

子猫がボンネットに・・・警察に恐る恐る電話してみた

子猫は肌寒くなる秋口にボンネットで暖を取り住処にすることが増えるそうです。

ドライバー向けに「車を発進する前にボンネットをバンバンと叩いて、子猫を驚かせて外に逃がす」というボンネットバンバンプロジェクトがあることもネットニュースに書いてありました。

しかし、その車は知らない人の車なので勝手に触ることはできず、ましてやバンバン叩くなんてことは大犯罪になってしまいます。

困った私は、せめて車の持ち主を特定することができる警察にお願いして、車の持ち主に子猫がいることを告げてもらおうと、地域管轄の警察署に電話をしました。

たかが子猫のことで警察に電話するなんて…と怒られるかもしれないと、恐る恐る電話したことを今でも覚えています。

しかし、なんとお巡りさんをここに派遣して下さると言って下さいました。私はすごくほっとして、心強さを感じました。そうして私はお巡りさんの到着までしばらく待ちました。

通行人の方々の温かい協力

電話を切ると、そこに2人の男の人が立っていました。ウロウロしている私を不審に思ったのだとビクビクしていましたが、そうではありませんでした。

「猫の声、朝から聞こえてて心配してたんだよ。」と近所の床屋のマスターさん。
「猫がボンネットに?!僕も手伝いますよ!」と通りすがりの若い方。
私はとても嬉しくて、同時に大変申し訳ない気持ちになりました。

そこにお巡りさんが到着し、現場を説明しました。

子猫が入っている車の持ち主を特定できましたが、登録してある電話番号は固定電話であったために持ち主に連絡がつきませんでした。

床屋のマスターさんはお店があるので帰宅されて、到着したお巡りさんと通行人の方、そして猫が入り込んだ車の隣に駐車してあった車の持ち主の方も協力して下さって、私を含め4人で子猫の救出が始まりました。

子猫の5時間の大救出の末に

しばらくお巡りさんが手伝ってくれていましたが、人の事件や事故の方が優先です。

ギリギリまで協力して下さった後、お巡りさんはお仕事に戻られました。その時、もし子猫を保護出来たら警察署に連れて来てくださいと言っていました。

私たちは車の左右に分かれ、地べたに這いつくばって片手にスマホのライトを持ち、片手でタイヤと車体の隙間から腕をボンネットに入れて子猫を出そうという作戦を実行していました。

時折かわいい子猫の足が車体の隙間から飛び出していたので、タイヤと車体の隙間なら子猫を掴むことができるかもしれない、と考えたからです。

ついに子猫を救出!

辺りはすっかり暗くなり、私が子猫を発見してから5時間が経っていました。すると協力して下さった方が突然叫びました。

「掴んだ!掴んだかも!!!」

その男性がタイヤと車体の隙間に入れていた腕を抜くと、この手はマックロクロスケのような黒い綿毛を掴んでいました。その男性の手のひらに乗ってしまうほど、小さな小さな子猫でした。

その男性は私の腕に子猫を乗せました。

すごく熱い体温、
とても速い鼓動、
頼りない体の軽さに似つかない懸命な鳴き声…

私たちをまるで出産に立ち会ったかのような感動が包みました。私と男性2人は子猫を囲みながら、ただ「良かった…」としか言葉が出ませんでした。

私は子猫を保護できたことも嬉しかったのですが、こんなに暗くなるまで、地べたに這いつくばって洋服を汚しても子猫の救出に協力して下さった方々の温かい気持ちに胸がいっぱいでした。

警察の方も、たかが猫なんて言わずに真摯に対応して下さいました。本当に本当に、感謝の気持ちでいっぱいでした。

子猫は猫風邪でした

#保護した日のネロ#

子猫はくしゃみと鼻水が酷く、目の粘膜が大きく腫れていて眼球がほとんど見えませんでした。動物病院に連れていくと「猫風邪による結膜炎」と診断され、抗生物質の投与と目の軟膏を処方されました。

#猫風邪の結膜炎で目が腫れたネロ#

このままだと腫れた粘膜がくっついて治ってしまい、目が開かなくなってしまう恐れがあるとのことだったので一所懸命目を開かせて軟膏を塗りこみました。4日ほどするとだいぶ腫れも引いてきて、きれいな黄緑の瞳が見えました。

#結膜炎が治っていく過程#

子猫の届け出と正式譲渡

動物病院に行った帰りに警察署へ猫を連れていきました。

犬や猫も「落とし物」として処理されるとのことで、お巡りさんが落とし物の手続きの書類を作成しました。お巡りさんが子猫の写真を2枚ほど撮り、私はその猫がオスかメスか、首輪の有無などの質問に答えていきました。

#物品:ねこ#

そうして作成された書類の「物品:ねこ」という記載にニヤッとしてしまいました(笑)

2週間飼い主が現れない場合、ようやく私が正式に飼い主になるとのことでした。

犬や猫は落とし物とは違い生き物ですので、警察署で管理はできません。ですので、この2週間は警察が私に「警察の代わりにお世話をお願いします」という形の処理になるとのことでした。

飼い主不在、晴れて我が家の一員に!

そうして2週間が過ぎたころ、自宅に「所有の権利を放棄します」という書類が届きました。飼い主が現れなかった、という意味です。こうして子猫は正式に我が家の一員となりました。

もし保護した猫を飼えなかった場合、その子は保健所に行くしかありません。

「飼えないなら見逃した方が、猫にとって幸せなこともある。それが複雑な気持ちです。」

そうお巡りさんがおっしゃっていたことが深く心に残りました。

我が家は犬猫多頭飼いですので、みんながネロを守り育ててくれました。最初は威嚇したり距離を保っていましたが、犬や猫の本能で「弱き者、守るべき者」ということが分かったのでしょう。

#ネロを守るウーノ#
ネロを抱くオム#

子猫が気付かせてくれた、人の温かさ

#現在のネロ#

保護した子猫は、今ではすっかり元気になり毛色も真っ黒になりました。

なので私はその子に、黒という意味の「ネロ」という名前を付けました。ネロはオスで、我が家で一番の甘えん坊です。最近去勢手術も無事に済ませましたので、ようやく落ち着いてのんびり生活できそうです。

ひょんなことから大救出劇に発展してしまった今回、私はネロに「人の温かさ」を教えてもらったような気がします。

もし私一人の力だったら、きっとネロを救出することができなかったでしょう。暗いニュースばかり飛び交う世の中ですが、誰しも心の片隅にちゃんと優しさを持っているんだと私は確信しました。

そんなことを子猫のネロに教えてもらったような気がします。