猫の病気を解説!7つの病名や症状、原因、治療の方法まで

【獣医師監修】猫の病気を解説!7つの病名や症状、原因、治療の方法まで

猫は人よりも4〜5倍のスピードで年をとるため病気の予防や早期発見が何よりも大事です。実際に猫はどんな病気にかかりやすいのか不安や今後について気になる飼い主さんは少なくないと思います。私が動物病院に働いてから病気と戦う猫とその飼い主さんにたくさん出逢いました。そこで今回は猫がかかりやすい病気を7つピックアップし、それぞれどんな症状がみられ原因や治療法ついてもお話ししたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1. 猫がかかりやすい病気 慢性腎不全

ベッドに座る高齢猫

原因

中毒や尿道閉塞などで起こる急性腎不全とは違い、慢性腎不全は徐々に腎臓機能が低下する病気です。病気になるハッキリとした原因は不明なところが多いですが、腎単位である「ネフロン」が破壊され、数が減少することで腎不全を引き起こします。

何らかの感染や炎症などでもネフロンがダメージを受けるので、この病気は老化によってネフロンの数が減少していくため、慢性腎不全を発症すると考えられます。

元々猫は人や犬に比べてネフロンの数が少ないため、この病気を発症しやすく、15才以上の約30%以上の猫が慢性腎不全になっているといわれています。

症状

  • 多飲多尿
  • オシッコの色が薄くなる
  • 独特な強いニオイがしない

慢性腎不全はゆっくりと進行していく病気なため、上記のような病気の初期症状になかなか気づきにくいことが多いです。病気が徐々に進行すると、しだいに以下のような症状が見られるようになります。

  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 体重減少
  • 脱水状態で皮膚の戻りが悪い
  • 貧血状態で口腔粘膜が白い
  • 口臭がキツイ(アンモニア臭)
  • 毛艶が悪くなる

治療法

病気が初期状態であれば、腎臓に負担となるタンパク質やリンの含有量を制限した療法食に切り替えたり、吸着剤などの薬を服用したりすることで病気の進行度を遅らせます。

しかし末期状態になると、必要である水分も失われてしまい脱水状態を起こすため、点滴治療を行います。また猫の状態が貧血傾向であれば、造血剤の投与も行います。

2. 猫の目に関する代表的な病気 結膜炎

目薬をさされている猫

原因

猫は結膜炎になりやすく、猫風邪の原因である猫ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどのウイルスや細菌に感染したことが原因で、この病気を発症することが多いです。

またこの病気は、目にホコリやゴミなどの異物の混入や角膜炎やドライアイなど、元々目に何らかの病気をもっていたことが原因でも、結膜炎を発症することがあります。

症状

結膜炎は瞼の内側にある結膜が炎症が起こしてしまう病気です。猫が結膜炎を発症すると目の痒みや痛みがおこるので、しきりに目を気にして掻いたり、床に擦りつけたりするなどの行動をとります。

また結膜が赤く腫れたり、目ヤニや涙の量が多くなったりしますので、常に目の周りが濡れたり、目が開きにくかったりするなどの症状が見られます。

治療法

この病気の主な治療は、抗生物質や抗炎症剤の目薬を使用します。もし猫風邪により結膜炎を発症した場合は、インターフェロンが入っている目薬を点眼します。

3. 猫の皮膚に関する病気 皮膚糸状菌

後ろ足で首を掻いている猫

原因

この皮膚の病気は主に皮膚糸状菌に接触することで感染します。すでに皮膚糸状菌に感染している猫などの動物に接触したり、菌に汚染されている環境下にいたりすることにより、皮膚糸状菌に感染します。

そのため、他の猫との接触をしている野良猫は、皮膚糸状菌に感染している可能性が高いです。また免疫力・体力が弱い子猫や高齢猫、ストレスにより免疫力の低下によることも皮膚糸状菌にかかりやすい要因です。

症状

猫が皮膚糸状菌症発症した場合、猫の額や耳先、四肢の先などに円形状の脱毛がみられ、この病気の特徴ある症状でもあります。

脱毛部分やその周りにフケが多く出たり、皮膚がカサカサしたりします。また症状の度合いによっては激しい痒みがおこるため、掻きむしって血が出てくることもあります。

治療法

猫の皮膚糸状菌症の治療法は、抗真菌薬の軟膏やローションタイプなどの外用薬を患部に塗布します。病気の症状が全身に広がっている場合、状態がひどい場合は抗真菌薬の内服を飲ませます。

4. 猫の口や歯に関する病気 歯周病

猫の歯をチェックしている獣医師

原因

猫が歯周病をおこす原因は歯に付着している歯石です。歯石は食べ物のカスと口腔内の常在している細菌によりできた歯垢が、石灰化したものです。

猫は人よりも歯垢から歯石になるまでの時間が2~3日間と非常に短く、かつ猫は歯磨きを嫌うので歯石へとなりやすく、歯周病を引き起こしてしまうのです。

歯周病の状態がひどい場合は、7才以上の猫に多く見られるといわれていますが、2才くらいから歯石が付着するので、比較的年齢が若い猫でも歯周病にかかる口腔内の病気でもあります。

症状

歯周病の初期段階では猫の歯肉が赤く腫れる歯肉炎がおき、しだいに歯肉から出血し、痛みを伴う歯周炎へと進行していきます。痛みや出血のため固いドライフードを避け、軟らかいウェットフードを好むようになります。

症状がひどくなるとヨダレの量が多くなり口から垂れてきたり、歯と歯茎の間に大きな隙間ができてしまい歯がグラつき、抜け落ちたりしてしまうこともあります。また歯と歯茎の間に歯周ポケットを形成し、膿が溜まるようになります。

治療法

まだ歯垢の段階であれば簡単に取り除くことができますが、石灰化し歯石へと変わってしまうと歯科専用器具でないと取り除くことができません。

その場合は猫に全身麻酔をかけた状態でスケーラーなどの歯科専用器具を使い、歯に付着している歯石や歯周ポケットに溜まっている汚れを取り除く必要があります。病気が進行し、歯がぐらついている場合は抜歯を行います。

そして仕上げに歯石が再び付着しにくくなるように歯の表面を滑らかにするポリッシングを行います。口腔内の炎症を抑える抗生物質の投与をしたり、飲み薬を飲ませたりします。

5. 猫の心臓に関する代表的な病気 心筋症

苦しそうにパンティングしている猫

原因

心筋症とは心臓にある筋肉自体が何らかの異常により心機能が低下する心臓の病気です。猫が発症する心筋症は「肥大型心筋症」「拘束型心筋症」「拡張型心筋症」があげられますが、その中で特に非常にかかりやすい病気は「肥大型心筋症」です。

肥大型心筋症は肥大する明確な原因がないにもかかわらず、心筋が分厚く肥大してしまう病気で、特に左心室の肥大がおこります。肥大型心筋症の主な原因は遺伝子変異や家族性発症といわれています。

メインクーンやラグドール、アメリカンショートヘア、ノルウェージャンフォレストキャットなどがあげられます。

症状

心筋症の初期段階では無症状の場合が多く、しだいに元気喪失や食欲低下、疲れやすくなるなどが見られます。急性の場合は肺水腫や胸水などの心不全により、呼吸が異様に早くなってしまい開口呼吸をすることがあります。

また場合によっては血栓ができてしまい後肢の不全麻痺や失神、最悪の場合は突然死することもあります。

治療法

猫に多い肥大型心筋症を発症した場合、ACE阻害薬などの内科療法となりますが病気の進行度や症状によって投薬する薬を選択します。症状が落ち着いたとしても、QOLの維持のためにも投薬は生涯続ける必要があります。

6. 猫の泌尿器系に関する代表的な病気 尿路結石症

トイレの砂を掻く猫

原因

猫のオシッコのphが極端にアルカリ性や酸性に傾くことで結晶・結石ができてしまう病気です。オシッコがアルカリ性に傾くとストラバイト結石、反対の酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結石を形成しやすくなります。

フードやオヤツに含まれているマグネシウムやカルシウム・リンなどのミネラルバランスが合わないことが、尿路結石症を引き起こす原因といわれています。

また飲水量の低下もオシッコが濃縮するため、尿路結石症になる要因として考えられています。元々猫はあまり水を好んで飲まず、冬場になると更に飲水量が少なくなるため、尿路結石症になりやすいです。

症状

トイレに何回も行くがオシッコの量が少なかったり、ソワソワと落ち着きがなくトイレにいる時間が長かったり、排尿痛、血尿などの症状が見られます。陰部を気にしてよく舐めている行動もとることがあります。

しかし結晶が多かったり、結石により尿道に詰まってしまったりするとオシッコが全くでなくなります(尿道閉塞)。特にオス猫の方がメス猫と比べて尿道が細長いため、非常に詰まりやすいので注意です。

オシッコが全く出ない状態が長く続いてしまうと腎臓に障害をあたえ、急性腎不全を引き起こし、尿毒症となり場合によっては命を落とす危険があります。

治療法

ストラバイトの場合は、溶解することができるので専用の療法食に切り替えます。しかし結石となってしまった場合や、大きさや数によっては外科的手術が必要になる場合があります。

一方でシュウ酸カルシウムは溶解することができないため、外科的手術を視野に考えなくてはいけません。また尿道に詰まって尿道閉塞を起こした場合は、尿道の入り口からカテーテルを挿入する処置を行いますが、カテーテルが入らないなど状況によっては外科的手術をしなければいけません。

ですが、ストラバイト・シュウ酸カルシウムがまだ結晶しかできていない場合は療法食を食べさせたり、オシッコのphを調節する薬・サプリメントなどを服用したりする内科療法を中心に行います。

7. 猫に多い感染症 猫風邪

目の周りを拭かれている子猫

原因

猫風邪にかかる主な原因は、猫風邪にかかっている猫との接触で感染します。飛沫感染で感染するため、多頭飼いで1匹でも感染すると一気に全ての同居猫にうつってしまいます。

特に体が弱い子猫や外に出入りする猫、保護猫(野良猫)に多くみられます。また季節の移り変わりのシーズンやストレス、ワクチン未接種による免疫力低下の場合も猫風邪に感染しやすいです。

症状

猫が猫風邪に感染すると何回もクシャミをしたり、黄色や緑っぽい鼻水が出たりします。鼻づまりにもなりやすく鼻で呼吸ができなくなるため息苦しくなったり、臭覚が鈍くなるためフードの匂いを感じとれず、食欲低下もおこったりすることがあります。

他にも発熱や結膜炎により目ヤニが大量に出たり、口内炎により歯肉が赤く腫れて痛みを伴い、ご飯が食べられなくなったりします。

治療法

この病気の主な治療法は、猫風邪の原因であるウイルスの増殖を抑制するインターフェロンの投与を行ったり、細菌感染を防ぐために抗生物質の投与をしたりします。

また病気により猫が全然ご飯を食べておらず、脱水を起こしている場合は点滴も行います。猫風邪により結膜炎を発症している場合は、抗生剤やインターフェロンが入っている目薬を点眼します。

猫風邪の原因であるウイルスは一度でも感染すると体内に残ってしまうため、一旦は症状が改善しても免疫力が落ちたときに、再び症状がぶり返して現れてきやすいため注意が必要です。

まとめ

笑顔の女性獣医師に抱かれた猫

猫にかかる様々な病気の中でも慢性腎不全や結膜炎、尿路結石症、猫風邪など、特に猫がかかりやすい病気・感染症があります。

慢性腎不全のように元々の猫の体の構造や年齢によることで発症しやすい病気もありますが、中にはバランスが偏っている食事内容やストレス、生活環境(外に出入りしている)、ワクチンの未接種などにより、発症しやすい病気もあります。

猫は人よりも年をとるスピードが早く、人にとっての1年は猫の場合は4〜5年間といわれています。病気の早期発見のために定期的に検査を受けることも非常に大事ですが、バランスのよく適切な食事内容や完全室内飼いにし、ストレスフリーな生活環境、ワクチン接種を受けるなど日常の生活の質を良くすることで、猫が病気や感染症にかかるのを防ぎ、健康で長生きすることができます。