猫がうちを選んだとしか思えない!不思議な迷子猫との出会い、家族になるまで

猫がうちを選んだとしか思えない!不思議な迷子猫との出会い、家族になるまで

昔からノラ猫を拾って飼うということはよくあることでした。実際に私も子供の頃にノラ猫が生んだ子猫を拾って来たり、庭に来るようになったノラ猫を餌付けして飼うようになったりすることもありました。しかし、今回のように猫がうちを選んだに違いないと思わせるような出会いは初めてでした。

猫との不思議な出会い

本当に不思議な猫に出会いました。猫事態不思議な生き物ですが、この猫は特に変わっていました。私は神奈川県に住んでいます。一昨年の3月に千葉県に住む娘から猫を保護したから預かってほしいと突然連絡がきました。

防犯柵でくつろぐ猫を発見

事情を聞いてみると、娘夫妻が自宅マンションに帰宅した時のことでです。4階の部屋まで行くと、その猫は、玄関扉の横にある窓の防犯柵と窓ガラスの間に挟まってじっとしていたというのです。

そのこと自体不可解です。マンションのエントランスにはドアがあって人間の出入り以外は閉じているので猫が入り込むのは困難です。しかも、その窓と柵の間には自分から好んで入ったようで、怯えた様子もなく居心地よさそうにしていたのです。

飼い主探し

この状況からマンション内の誰かの部屋から脱走したと考えるのが一番自然でした。マンションはペット可だったので、同マンション内に住む大家さんに連絡しました。

しかし、飼い主に心当たりはないということでした。人について間違って玄関を入ってしまった可能性もあるので、外の安全な場所へ置いたのですが、ほぼ半日間、そこを動かなかったので心配になって保護し、娘が飼っている犬のホームドクターに事情を話して健康状態を見て頂きました。

ドクター曰く、推定年齢は3才位。長毛なのに抜け毛の付着がなくブラッシングで手入れされている様子。汚れていないので、外へ出たばかりと考えられるということでした。健康状態にも特に異常はなく去勢前の雄と判明しました。

警察に届けを出す

とても切なくなりますが、ドクターは引越しの際に捨てられるケースもあると話していました。娘のマンションはペット可ですが、ペット同居の場合は入居時には追加で費用がかかるし、もしかしらこっそり飼っていて名乗り出ることができない人なのかもしれないとも考えて最寄りの警察にも届けました。

もし、自分の猫が部屋から脱走して行方不明になったら、動物病院か警察に問い合わせるだろうと思ったからです。一番の手がかりは飼い主がポスターで探していることを知らせてくれることです。

何よりも先にそれを実行する人が多いです。しかし、それには少し時間がかかると思ったので様子を見るためにうちで預かることにしました。警察では拾得物扱いになり、保管先をうちで手続きしました。

娘は犬を飼っていましたし、何よりも旦那さまが猫アレルギーだったので家に置くことはできなかったのです。うちへ来るまでも動物病院へ預けていました。

猫は長旅の末、千葉県から神奈川県へ

いよいようちへ来ることになりました。しかし、うちには9匹の猫が既にいました。そのうち7匹はうちで生まれた猫達です。両親はもう死んでしまっています。その昔は最高で14匹の猫が暮らしていました。みんなとても気のいい猫達ですが、子猫ならともかく成猫を受け入れた経験がないので、果たしてうまくやって行かれるのか心配でした。

お家にやってきた初日

ウチへ来たばかりの頃ケージ内で

そこで、現在80才という高齢でありながら40年に渡って多くの保護猫の里親探し活動をボランティアで続けていらっしゃるその道の達人のご意見を伺うことにしました。飼い猫の中に新たな成猫を迎えることなど日常茶飯事だと普段からお聞きしていたのです。

そこでご教授いただいたのは、迎えた猫を大きいケージに入れて飼い猫達の中に置くということです。別の部屋に隔離するのではいつまでも慣れないので、取っ組み合いの喧嘩になる心配のないケージで対面させ慣れさせるという方法です。

早速ケージを購入。リビングの真ん中に設置して様子をうかがいました。飼い猫達は興味津々でケージの周りをぐるぐる徘徊し臭いをかぎ、たまたま目が合ってしまうと「ふーっ」と言い合います。

ケージ内でくつろいだ様子

しかしこの猫が変わっているのは自分からは決して仕掛けないことです。ほとんどは他に猫なんていないという具合にケージの中で涼しい顔で過ごしているのです。初日からご飯もよく食べました。しかも好みがはっきりしていて気に入ったものしか食べません。

堂々としている猫

そうこうしている内に一週間が過ぎ、私の監視下でケージから出すことを試しました。この時には、この猫にとってうちの猫達が危険な存在ではないと認識していたのだと思います。ケージから出しても隅に隠れるわけでもなく、他の猫を威嚇するわけでもなくリビングの真ん中で堂々と横になってくつろいでいるのです。

私が跨いでも全く動じません。うちの猫ですら跨ぐとびっくりして逃げる子もいます。人間も猫も恐れていないのです。飼われていたとしたら、相当可愛がられていたに違いないとしか思えません。

どうにかして飼い主のもとへ返してあげたいと思わずにはいられませんでした。しかし、娘から飼い主が探しているとの情報は依然としてありませんでした。

ケージから外へ

段階的にケージから出して行くよう心がけました。ゆっくりと焦らずに進めて行くことが重要と達人からのアドバイスに従いました。監視下で外に出すことに問題がなければ、次の段階としてケージのドアを開け放しにしておくことにしました。

他の猫達は新顔の猫と一緒に初めて見るケージですから用心して中には入りません。気が向くと外へ出て他の猫達と顔を合わせます。6匹いる雌猫の中で非常に気性が荒く、敵意をむき出しにする子が1匹いました。

角を曲がった拍子の出会い頭に「あ!危ない」とドキッとしてもその猫は一瞬で目をそらし、身のかわし方も絶妙でした。臆病で争いから逃げる猫はいくらでもいます。しかし、こんな風に人間のように争いを好まない性格が猫にもあるのだと初めて知りました。

ちょっとタイミングを逃して攻撃されることもありますが、相手にせずに、すっとどこかに行ってしまうのです。こうして、他の猫達に慣れていきましたと言いたいところですが、寧ろ他の猫達がこの猫がいることに慣れていったという様子です。

野良猫と格闘する事件

ほとんどの時間をケージの外で過ごすようになったある日のこと猫達が日光浴をする2階のベランダに近所の猫なのか木を伝わって上ってきたことがありました。ものすごく気の荒い真っ黒な猫で威嚇するうなり声が近所中に響き渡りました。

猫達は我先に部屋へ飛び込んでみんなで一番高いところに上り身を寄せ合って震え上がっていました。ところがこの猫は勇敢にも相手に向かっていって撃退しようとしたのです。

2匹の間にホウキで割って入って引き離そうとしたのですが、2匹は転がって1階の庭に落ちました。怪我も心配でしたが預かりものなのに外へ出て行方知れずになったらどうしようと慌てて庭へ下りて行くと、黒猫の姿は既に見えませんでしたが、この猫は草の茂みの中に立ってこちらを見ていました。

猫は近づくときっと逃げる!と思いながらも早くつかまえなくちゃ!と気が焦り、訳の分からないことばで話しかけ一生懸命引き止めておこうとしながら
走り寄ると、「逃げようなんて考えたこともない」といった、きょとんとした目で私を見ていました。

抱き上げた時も体に力は入っていなく。急いでウチへ入りました。幸い怪我もありませんでした。

また、ある時は1階の息子の部屋の窓からふと庭を見ると、どうやって外に出たのか窓と同じくらいの高さの台の上に丸くなってこちらを見ていました。きゃーっと叫んで、窓から手を伸ばして抱き上げると、やはり逃げる様子なくされるがままに私に抱きかかえられて無事に部屋に戻りました。

生まれ変わり?

この時に、もしかしたら、過去に死んだ猫の生まれ変わりじゃないか?と頭をよぎりました。

都合良く次も猫に生まれ変わることなんてあるはずないとは思いつつも。猫好きの友人達に話すと、生まれ変わりっていうよりも、死んだ猫達がその猫が困っているところを娘の家に呼び込んだんじゃないかとふざけていう人もいました。

手招きして「こっちこっち、この家ならok!」という具合に。

とうとうウチの猫に

先住猫ブーフィー(左)と仲良く日光浴

飼い主情報が得られないまま日は流れて警察に連絡をすることになっている6ヶ月が経ってしまいました。

千葉の警察に電話をすると、やたらと愛想の良い女性の警察官が「今、確認しました。今日からお宅の猫ちゃんですよ!」と嬉しそうにというか私が嬉しいだろうと思っているようで弾んだ声で言いました。

こうして余りにもあっけなくウチの猫になりました。時々耳元で、「ねえ、どこで生まれてどんな暮らしをしていたの?」とつい聞いてしまいます。

可愛い瞳でこちらを見るだけで返事はありませんけれど。ますます落ち着き払った様子で毎日を送っています。猫屋敷にようこそ猫ちゃん。

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